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第一章
9話① 親密度と好感度
しおりを挟む「——うぎゃあああああああッ!!」
パンッパンッと手を叩いて白線の外に出る。周囲からは困惑した声が聞こえてくるけど、クラスメイトたちは拍手を送ってくれた。トーナメントも順調に勝ち進んでる。シロくんやオロクの試合も迫力があって結構見がいがあって面白かった。次の時間はオロクとザイドの試合がある、見て行くか。
「ザイドくん! ザイドくん! アインくんー!」
チヨ先生がきょろきょろと辺りを見渡している。姫野恋が横にピッタリ立ってやがる。
「二人とも出番なのに……」
闇魔術組織が侵入してきたばかりだからか心配してる。姫野恋が「俺が探してくる」とチヨ先生の返事も聞かずに歩き出した。俺も慌ててその背中を追いかける。
「おい、お前居場所分かるのか?」
「なんだお前、来たのか?」
なんか、たまーに自分と話してるみたいな感覚になってすごい違和感あるんだよな。姫野恋とはもう分離してるけど前の記憶があるせいで親近感と同族嫌悪が湧きやすいのかもしれねぇ。この二つの感情がモヤモヤさせてくるんだ。
「居場所なんて知らねえよ。でも探してやらねえと秋月が心配する」
「お前……前はクラスメイトだったんだから、二人の心配をしろよ」
「あ? 何勝手に俺を悪者扱いしてんだよ! 俺だってアイちゃんが心配だ!」
ウザイドくんを抜かすな。
呆れ返っていると、姫野恋は校舎の中へ入っていく。
「外はもういいのか?」
「お前いつまで着いてくる気だ? こう言うのは別れて探した方が早いに決まってんだろ」
た、確かに……。姫野恋なんかに正論言われると腹立つな。
「お、お前、オロクの頭撫でたり、そばにいてやったりしたって聞いたけど……」
「ははーん? オロクのことやっぱり好きだったか」
「それはねぇけど、あいつが心配なんだよ。お前は見てねぇだろうけど泣きじゃくって大変だったんだぞ。まあ、距離を置こうとは思ってんだけど、お前もそうしろって言いたかったんだ」
「なんでお前に従わなきゃなんねぇんだよ」
「あいつお前が寝てる間にキスしようとしてたぞ。迫られたって聞いたし?」
「それが? どうお前と関係あんだよ」
「…………。お前の方こそオロクのこと好きなんじゃねぇ?」
「やめろ。俺は姫野恋だ、もうヴォンヴァートじゃねえ。でも、最近のオロクはな~んかかわいいんだよなぁ……。ふわふわ~もちもちって感じで……失恋したからか?」
感情が奪われてたこと知らねえんだったな。たぶん、感情表現が前より豊かになったから……魅力が爆発してる。簡単に説明してやると姫野恋は「なるほどなぁ」と頭の後ろに腕を組む。
「そう言えばお前、好感度確認したか?」
「え? 好感度? まだ見てねぇけど?」
「世界一イケメン設定にくっついてきたスキル、外れた分俺の好感度全部ゼロ、プラス親密度も俺がヴォンヴァートじゃねえからゼロだ」
「俺たちの親密度と好感度も分離したってことかよ!?」
慌てて好感度画面を開いて確認する。
サイフェン・ブロイズ
誕生日4/30 年齢16歳 趣味お菓子作り 魔法水魔法 寮ヴォンヴァートと同室
親密度 89%
好感度 0%
ジュレア・ダイズ
誕生日2/16 年齢16歳 趣味鍛錬 魔法雷魔法 寮コゴと同室
親密度 84%
好感度 0%
——おいおい、こいつらの好感度ゼロになってる! チヨ先生が言ってた通り、親密度100パーになってから好感度は上がるってことか! つまり俺は三人衆に今後追いかけ回されなくて済むってことかよ! ラッキー!
コゴ・バリタカ
誕生日9/28 年齢16歳 趣味音楽鑑賞 魔法風魔法 寮ジュレアと同室
ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
親密度 100%
好感度 31%
「なんでお前だけ親密度100パーなんだよ!!」
「コッコーのことだろ。俺の方も親密度100パーなんだよそいつ」
姫野恋がステータス画面を覗き込んでくる。コゴの親密度を見たのか鼻で笑う。
「は? なんで? 姫野恋と親密度100パーはおかしいだろ」
「殴り足りねえからそいつ殴ってんだよ。俺にはせんやがいて来世ポイント貰い放題だから我慢しなくていい」
聞きたくねぇ。サブイボがたった!
「ど、どこまでいったんだ?」
「手を繋いだ!」
「そっか……」
ピュアな関係だった……。
「キスと~他にもマフラー一緒に巻いたり~抱きしめてやったり撫でてやったり~……そろそろ次の段階に進んでもいいよな?」
「次の段階って?」
「添い寝だろ!」
「その先は?」
「それはあいつが調子に乗るからまだだめだ」
チヨ先生の親密度と好感度は表示されてない、ゲームのヒロインだからな。姫野恋の欄も増えてるけどその二つの表示はないな。
他のクラスメイトたちは好感度がゼロになってる、親密度の数値は全員のは覚えてねぇな……。たぶん変わってねぇと思う。
そう言えば、シロくんはキスして来たけど……。
スクロールすると、シロくんの情報が見れた。
キリクゥ・ザ・ジィド
誕生日10/29 年齢16歳 趣味??? 魔法全魔法 寮???
ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
親密度 100%
好感度 21%
オロク・セン・デン・ポル
誕生日8/3 年齢16歳 趣味観察 魔法闇魔法 寮キリクゥと同室
親密度 68%
好感度 0%
やっぱりそうか……。
「シロくんと何か話したのか? こんなに親密度が上がるなんて」
「通知もいっぱいだ……。シロくんには拐われた時実験されたことも話したし、オロクのことも相談したし……。そう言えばシーシェンの魔力で味がすることも話したな。親密度がいつ100パーになったかは分からねえけど、たぶん、キスされる前だ」
「キスされたのかよ」
ジト目で見られる。やめろその目!
「お前の筋力が欲しい」
「俺は逆に筋力を取り戻して抵抗し放題だけどなー」
「抵抗する相手いねぇだろ」
「そうなんだよ! やりがいのある奴がいねえ! そうだ! お前相手しろよ! お前もまだ喧嘩強いって設定ついてんだろ? 俺とお前で喧嘩するなら来世ポイントも減らねぇ!」
ワクワクした顔でガッツポーズしながら早口で告げて来たけど、首を振って却下する。
眉を下げかけた姫野恋がピクッと眉を吊り上げる。
「今なんか聞こえなかったか?」
「え? 何も聞こえなかったけど?」
姫野恋が両耳に手を添えて両目を瞑る。パチッと見開いて嬉しそうな顔をする。
「アイちゃんの声だ! アイちゃ~ん!」
「お、おい待て……!」
片手を広げて走り出した姫野恋を追いかける。こいつほんとにアインのこと好きなんだな……。チヨ先生に怒られろ。
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