乙女ゲームの攻略キャラに転生したけど、他の攻略キャラ達の好感度が上がる一方で……!?

隍沸喰(隍沸かゆ)

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第一章

2話 ①チヨ・アキヅキに

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「アイちゃん!!」
 目の前にいるアインの両手を取って、ずいっと顔を近づけて懇願する。
「な、なななな何だよ!? ち、近いぞ……」
「教えてくれアイちゃん、善行の積み方ってやつを!」
「え。善行を積むのか? どうして?」
 アインはぽかんと口を開けて呆ける。
「そ、それは……今までの自分 (不良)を改めて! 新しい自分 (転生した自分)を正しくするためにっ?」
「なんかよく分かんないけど……必死なのは分かった」
「分かってくれるのか……」
「でもまあ、今日のところは帰ろうぜ。寮で荷ほどきしなきゃいけないだろ」
「そーいやそうかもな……」
「俺ザイドと同じ部屋なんだぁ!」
 なんかめちゃくちゃ嬉しそう。
「なんでそんなにウザイドくんのことが好きなんだよ?」
「そりゃ大好きだから! 大切な大切な幼なじみだからな!」
 大好き……って簡単に言うなよ。まあこれがアインのいいところなのかな? いや待てよ、なんか違和感があるんだよな。こんなの普通か?
「俺のことは?」
「え?」
「俺のことは好きなのか?」
「えっと……」
 クラスメイトも何人か残っている教室のすぐそばで、そんなことを聞かれるなんて思ってもいなかっただろう。出会ったばかりで好きも嫌いもない。なのに……教室からは「ヒューヒュー」「モテモテだなアイン!」なんて言葉が飛んでくる。
「お、俺はザイドが好きだから!!」
 アインは顔を真っ赤にして、そう叫ぶように言い残して去って行ってしまった。教室に残るザイドも頭を抱えてはいるものの、頬は赤い。そんな様子にからかいを入れる生徒もちらほらいた。まるでこの異常な仲良しが普通かのように。
 なんか嫌な予感がするな。これは明日せんやを捕まえて聞くしかない。
「ヴォ、ヴォンヴァートくん」
 後ろから呼び掛けられて、振り返る。
「サイフェン?」
「う、うん。僕はサイフェン・ブロイズ、よろしくね」
 やっぱり近くで見ると美形だな、サイフェン。
「何か用か?」
「アインくんにフられちゃったね」
「変な言い回しはやめろ」
 睨み付けながら言い捨てると、「ごごご、ごめんなさい」と相手は一歩下がる。
「一緒に帰らない? 寮の部屋同じでしょ?」
「なんでそんなこと知ってるんだ?」
「今朝荷ほどきしに行ってたから、その時に名札を見たんだ」
「なるほど」
 じゃあ帰るか、と通路を進んでいくと、後ろからサイフェンが「いいの!?」と言いながらパタパタ駆け寄ってついてくる。隣に並んでこないので歩みを緩めれば驚いた顔をされる。
「どうした?」
「い、いや。何でもない……」
「ところでお前、善行を積むにはどうしたらいいと思う?」
「そう言えばアインくんにも言ってたね。……まだバレンタインイベント中だし、お菓子を配るとかどうかな!」
 見事に自分の得意分野へ方向転換させたな。
「まあいいか。めんどうくさいけど……お前も手伝えよ?」
「う、うん! 全力で手伝うよ……!」
「どこで作る?」
「帰ってから寮母さんに、寮のキッチンを借りられないか聞いてみるよ」
 ゲームの世界だし、バレンタインイベント中だし、こう言うご都合展開ではたぶんOKが出るんだろうな。
 それから寮に帰りつき、サイフェンは荷ほどきを始めた。俺にもダンボールがいくつか届いていたが、荷ほどきがだるくて備え付けのベッドに寝ころんで放っておいたらサイフェンがなぜか俺の分までやりだした。
 俺から言ってやらせたわけじゃないし、来世ポイントに影響はない。こいつ使えるな。
 空中画面を表示してみんなのプロフィールを確認していると、サイフェン・ブロイズと書かれた文字の下に《趣味お菓子作り。魔法水魔法。寮ヴォンヴァートと同室》と書き足されていた。もしかして、と他のやつのプロフィールを見ていけば、彼らのした自己紹介の内容が書き足されていた。どうやら俺が知った情報が反映されるらしい。
 ルッシーは……
 ルシフェル・ギーウェンのプロフィールを表示して確認すれば、好感度はマイナスにはなっていなかったがゼロであった。まあいいんだけどその前にさ。

ルシフェル・ギーヴェン
 誕生日5/12 年齢16歳 趣味ギター 魔法氷魔法 寮???
 チヨ・アキヅキに好意を持つ。
親密度 0%
好感度 0%

 これ何?
 マーカー引くよ?

 チヨ・アキヅキに好意を持つ。

 ここ何?
 そう言えば、他の攻略キャラのプロフィールにもこの説明文あったな。
 ザッと確認していけば6人はもう餌食になっているらしい。純粋で可愛いアイちゃんと便利なサイフェンだけは守らなければ……。
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