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第一章
2話 ⑤マーカータイム
しおりを挟む教室に着いてから通知を確認する。
《おめでとうございます! アイン・ロゼルアとの親密度が10%になりました!》
おお! アイちゃん!
って好感度は上がってないのか~……残念。
にしても……。
「リリアちゃん、今日は教材が配られるらしいよ」
「リリアくんのことリリアちゃんって呼ばない方がいいんじゃないかな。殴られるよ?」
「君は叩かれたことも殴られたこともないから分かんないんだよね。可哀そうに」
「叩かれない方がいいに決まってるでしょ?」
「ジュレアはどう思う? 叩かれたい?」
「お前ら変なことにこだわってんじゃねえよ。師弟が一番仲良しに決まってんだろ」
「「はあ?」」
うるせええええええええ。どうして俺の席の前がコゴで斜め前がジュレアで、こいつらが話しかけてくるだけでも面倒くさいのにサイフェンまでやって来て……。なんなんだこいつらずっとしゃべってないと落ち着かないのか?
これじゃあ教室でもアイちゃんと話せねえじゃん。
距離を縮めるためにアインのプロフィールでも見ておこう……と確認していると、アインの好感度が7%になっていた。通知まであとちょっとのところまで来てたのか。
ついでに他の奴らも確認してみると。
サイフェン・ブロイズ
誕生日4/30 年齢16歳 趣味お菓子作り 魔法水魔法 寮ヴォンヴァートと同室
ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
親密度 38%
好感度 38%
ジュレア・ダイズ
誕生日2/16 年齢16歳 趣味鍛錬 魔法雷魔法 寮コゴと同室
ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
親密度 17%
好感度 22%
コゴ・バリタカ
誕生日9/28 年齢16歳 趣味音楽鑑賞 魔法風魔法 寮ジュレアと同室
ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
親密度 29%
好感度 16%
え!? 何これ!? どう言うこと!?
マーカータイム?
ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
ワッツ?
す、すぐにでもせんやに聞かないと……!
早めに来たらしいせんやの姿を通路に発見して、席を立つ。せんやの目の下にクマが出来ているような気がしないでもないが、まあどうでもいい! ここは早めに聞く!
「せんやああああああああああああああ!」
「どこ行くんだ師匠!」
「リリアくん!?」
「リリアちゃんっ?」
せんやの腕を取り、やつらから逃れるように近くにあった倉庫へと身を隠す。
バタバタバタと足音が遠のいてから、手で塞いでいたせんやの口を離してやった。
「きゅ、急に何するんだヴォンヴァートくん。こんなところに連れてきて……君はもう攻略対象じゃないんだけど」
「それは良いから教えてくれ、親密度と好感度ってなんだ」
「え。攻略キャラの君にもその機能ついてるの? 見せて」
「見えるのか?」
「さあ、分かんないけど」
空中画面を表示してみんなのプロフィール画面に移動する。せんやも画面を表示させた。お、見える見える。げっ親密度100%好感度50%が7人も!? うわあ……こいつやってるんだな。
「え……何それ」
せんやが目にとめたのは例の三人のプロフィールだ。それから自分のプロフィールをスクロールしてその三人を表示する。親密度はゼロに近く、好感度はゼロだった。
「え、お前嫌われてんの?」
「そうじゃなくて……! どうして親密度MAXじゃないのに好感度が上がってるわけ⁉」
「え?」
「え? じゃないよ。親密度MAXになってから、恋愛感情が芽生えるから好感度が上がるんだろ?」
そういう仕様なら確かにおかしい、もしかして世界一イケメンのスキルみたいなものが働いているんじゃないだろうか。
って……え、つまりアインって少しは俺のこと好きなの?
「って待て。恋愛感情? やっぱりこれそうなの?」
「って言うか、どうして俺の方はジュレアの好感度が下がってるのに、君のが上がってるんだよ!」
「あ~それが実は……」
昨日の話をすると、せんやはぐったりとして「昨日の夜頑張って待ってたのに……」と呟いた。男同士は大変だと聞く。頑張ったんだろうな。
「せんやはそう言う意味で攻略するって言ってたのか?」
「違うよ! 俺が本気で好きだったのがジュレアなの! 昨日の夜はジュレアと……くうう、あと少しだったのに」
こわ。
引いていると睨み付けられる。
「どうして邪魔するんだよ?」
目が笑っていない、いや顔も笑ってないけど。
「ど、どうしてって、いつの間にかこんなことになってて……邪魔しようとしてたわけじゃ」
「なるほど……魔法が効かないから君には効かなかったのか。そうかぁ」
「せ、せんや?」
「いいだろう、君も攻略対象に入れて邪魔できなくしてやる!」
背伸びしてきて、唇を伸ばしてくる。ぎゃああああああああああ。ほっぺたにキスされる前に手で遮れば、手にもたくさんキスされた。
「どうして効かないんだああああ!」
「良かった~効かなくて」
「まだ諦めないぞ」
「ちょっと待って」
まだ何かしてきそうだったせんやの口を手で押さえて、耳を澄ませる。
「誰か来たみたいだ。人払いしてくる」
「う、うん」
倉庫の外に出れば、アインがきょろきょろとあたりを見回していた。目が合うと、駆け寄ってくる。
「いた! 探したぞ?」
「どうしたんだ?」
「どうしたって、君の友達が君を探してたから手伝ってたんだ。授業もあと少しで始まるのに先生も見つからないし……」
「――先生ならそいつが連れてったよ」
そう後ろから声を掛けてきたのは、ルシフェル・ギーウェンだった。
「見てたんだ、そこの倉庫に連れ込んで……いったい何やってたんだ」
「何って……相談?」
「倉庫でかよ」
はんッと笑って手を広げる。
「待っててアイちゃん。せんや呼んでくるから」
「う、うん」
今日はお開きだ、そう言おうと倉庫へ入ると、せんやが抱き着いてきて、頬にキスしてきた。
「せ、せんや⁉」
「何?」
「何じゃない。状況が見えてないのかお前には!」
「え?」
体を離して、せんやは俺の背後を見る。そして、顔を真っ青にして「人払いしてくるって言ったじゃないか!」と言ってきた。
「だからってすぐ飛びつくなよ」
「え……先生と、ヴォンヴァートが……キス」
「ほっぺただから。大丈夫スキンシップみたいなもんだ」
「――ふざけんな!!」
そう叫んだのは、ルシフェルだ。ルシフェルはずかずかとこちらに歩んできて、俺を押しのけ、せんやの腰を抱き――「「「え」」」――唇同士を重ね合わせた。
「……………………………………」
「………………………………」
それが離されると、ルシフェルはせんやのことをぼうっとした瞳で見つめる。せんやはと言うと涙目である。
ルシフェルはもう一度顔を近づけて、せんやの唇を吸う。
おいおい。
純粋なアインに見せるわけにはいかないとアインの腰を抱く。
「へっ」
「ん?」
アインが顔を真っ赤にして、俺を見上げる。男同士のキスを見て顔を真っ赤にするなんて……そんなに純粋だったのか。確かに先生と生徒と言うシチュエーションだけで見ればドラマにでもなりそうな場面だけど。
アインの頭を引き胸に押さえつける。
ふう……と安堵の息をついてから、ルシフェルとせんやを見やる。
「…………」
ルシフェルはせんやの腰を押さえつけ、後頭部の手で無理やり上を向かせている。口の中に舌を入れようとしているように見えるが……。せんやは受け付けていないように見える。
あれ、これ。せんや、嫌がってね?
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