乙女ゲームの攻略キャラに転生したけど、他の攻略キャラ達の好感度が上がる一方で……!?

隍沸喰(隍沸かゆ)

文字の大きさ
17 / 52
第一章

3話 ⑥俺ともちゅー

しおりを挟む

 背後から突然声を掛けられて、体が硬直する。ふ、振り返ってはいけない。絶対に……。
「なんでお前がここに……? 授業終わったばかりだろ」
「なんでって。今日のこと謝ろうと思って。キリクゥも怒ってるみたいだし。5・6時間目が実技の授業だった時は早く終わるって知らない?」
「謝るくらいならするな!」
「謝らなくていいなら、……またしてもいいの?」
 耳元に息を吹き込まれるように囁かれ、ぞっとする。
「いやに決まってんだろ!!」
 席を立って逃げるようにその場を離れれば、オロクの顔を見そうになって目を逸らす。
「どうして目を合わせないの? もしかして、意識してる?」
「違うわ! こっち来んな!」
 逃げても逃げても距離を縮めてくるオロクから顔を逸らしていると、サイフェン、コゴ、ジュレアの立ち姿が目に入る。あれ、あの辺すごくどす黒い何かが空気を澱ませているような……。
「でも最初の一回は君からしてきただろ?」
「あれは事故で!! って言うかこの距離を保とうとするお前が悪い!」
 また誰かにぶつかられたらキスしちゃう距離だろうが!
「全部俺のせい? 君が小等部の生徒を避けなかったのがいけなかったんじゃない?」
「いやいやいや、こんな間近に顔があってどう避けろと?」
「今だって目を逸らしてるじゃないか。あの時目を逸らさなかった君が悪くない?」
 そう言われるとそうな気がしてくる。
「じゃあお前とは二度と目を合わせねえ……」
「それでもいいよ」
 その答えにほっとしていると、頬に冷たい感触が触れてくる。オロクの手だと分かって、逃れようと反対側へ顔を向けようとした時だった。奴の手は後頭部に移動する。オロクの瞳と真正面からガッチリと目が合った時だった。ぐいっと後頭部の手に引き寄せられ、周囲から息を呑む音と「「「「あああああああああああああ!!」」」」っと言う四種類の絶叫が聞こえてくる。
「ふ……んっ」
 間近にある黒い瞳に、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなって抵抗も乏しくなる。
 ちゅっと唇を吸われてから、離される。
「な、な……!! な!! 何すんだ!!」
「何ってキスだけど」
「どうしてするんだ!!」
「分からない?」
「分かるか!!」
「じゃあ、君のことが好きだからって言ったら?」
「嘘つけ!!」
 好感度0%なの知ってるんだぞ!!
 ごしごしと口を袖で拭っていたら、その手を掴まれる。目が合うと、また動けなくなって……思わず目をぎゅっと瞑る。
「ふふ。君は面白いね。じゃあさ、からかってるだけだって言ったら?」
「悪趣味すぎるだろ!!」
 一部始終を見ていたせんやが駆けつけてきて、俺とオロクの距離を両手で押し開いてくれる。
「オロク……くん! だ、だめじゃないか嫌がってる相手に無理やりなんて……!」
「嫌がってた? 抵抗しないで目を瞑ってたからてっきりして欲しいのかと思ったんだけど」
「んなわけ……!」
「あ、そうだ。キリクゥには内緒にしててよ。怒ったら怖いし」
「言いつけるに決まってんだろ!」
「ヴォンヴァートくん」
「な、なんだよ」
「キス、たくさんしちゃってごめんね」
 そう言って、オロクは踵を返し去っていく。
 平然と、と言うか……にこやかに笑って。
「お、オロクうううううううううう!! ぜってえ許さねえからな! 謝るくらいならするなああああああああああ!!」
 その後好感度15%以上勢には関係を問い詰められ、他の生徒からは妙な視線を寄越され……散々な目にあった。
 HRが終わり放課後となり、せんやに呼び出された生徒指導室へ行く。
「で、あれはいったい何が起きてたのかな?」
「俺もそれを聞きたかったんだ!」
「聞きたかったんだ、じゃない!! どんどん君に攻略されていってるじゃないか! 本当に興味ないのっ?」
「攻略されてないんだよ、見てくれ、好感度ゼロだから!」
 空中画面を表示して、オロクのプロフィールを表示して見せつける。
「これのどこが好感度ゼロだって言うんだ?」
「え?」

オロク・セン・デン・ポル
 誕生日8/3 年齢16歳 趣味??? 魔法??? 寮???
 ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに好意を持つ(好感度15%以上)。
 ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンに執着する(好感度55%以上)。
 ヴォンヴァート・リリア・インシュベルンを愛している(好感度100%以上)。
親密度 2%
好感度 100%
愛 15%

「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
「うるさい」
「いや、この間までゼロだったんだって。え、って言うか100%だとどうなるの?」
 せんやの魅了で50%だったのに、100%って。
 って言うか何この説明文こわ。
「ゲームではもう体の関係を持って愛し合ってる……みたいな」
「いやいやいや、先生と生徒だし恋愛要素はそんなに多くないゲームだったろ?」
「直接描写できないから、好感度でどこまでいってるか表示してたんだろ? アルマタクト界では常識」
「愛し合ってねえ……」
「確かに意味分かんないね。バグじゃない?」
「バグがあるかよこの世界で!」
 どう言うことなんだあああ。オロク・セン・デン・ポル。お前が分からない……!
「これは? 愛って何?」
「分かんない。前世でもそんなメーターなかったし……」
「……オロクってどんな奴なんだよ」
「簡単に言えば闇魔術組織のスパイ」
「え」
「報告するべきなんだろうけど証拠もないし、改心する予定だから放っておいたと言うか。攻略すれば何とかなると思ってたから……」
 ななななな、なんかいきなりぶっとんだ設定を教えられたんですけど。
「俺はどうすれば……」
「オロクの考えてることなんて分かんないし……できるだけ会わないようにするしかないと思う……」
「分かった。そうする」
「で? なんでこんなことになってんの?」
「知るか!! あいつが妙に距離が近くて、事故ってキスしたら、とつぜんむちゅむちゅちゅぱちゅぱしてきて」
「うううううオロクめ……俺の姫野くんに」
「なんて?」
 よく聞こえなかった。
「何でもないよ」
 え、なに。急な笑顔怖え。
「とにかく会わないようにすればいいんだな」
「あーでも……そろそろ学年別のトーナメント戦が始まるんだよね」
「え」
「会う機会は結構あるかも」
「会いたくねえ!!」
「しょうがないだろ、まあ気を付けて。君が吸血鬼だってことも知られないようにね」
「分かった」
 話も終わったし帰ろうかとしていれば、ガッと腕を掴まれる。
「助けてあげたよね?」
「ん? ああ」
 確かにこいつがオロクと俺を引き離してくれなかったらまたやられてたかも……。
「じゃあご褒美ちょーだい♡」
「は?」
「俺ともちゅーしよ……。んう……♡」
「じゃあな!!」
 扉を開いて、即座に逃げた。
 もうキスは勘弁。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました

藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。 (あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。 ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。 しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。 気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は── 異世界転生ラブラブコメディです。 ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

処理中です...