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第一章
4話 ③爽快な実技
しおりを挟むそう言えばシーシェンの好感度ってどうなってるんだろ。
シーシェン・シェンラン
誕生日3/10 年齢20歳 趣味研究 魔法全魔法
保健室の先生。元闇魔術組織。
え、これだけ⁉︎
ってそうか、攻略キャラじゃねえから好感度とかは表示されねえのか。
残念だな。
校庭に着くと、もうすでに何人かの生徒が集まっていた。実技の授業には副担任も同伴するらしい。全員が集まった頃に、せんやと副担任の先生がやってくる。
「え……」
せんやが仲良さげに話しているのは……
「し、シーシェン!!」
「こらこらヴォンヴァートくん。シーシェン先生って呼ぼうね? お兄ちゃんでもいいですよ」
くっ……こ、こいつとは会いたくなかったのに、こいつが副担任だったなんて。
「みんなに紹介するね、副担任のシーシェン・シェンラン先生」
「よろしくお願いします」
せんやの目がハートである。お前、推し多すぎ。
ん? でも待てよ。シーシェンがいるということは……
「シーシェン、俺と組もうぜ!」
「生徒と組めば?」
なんだその突き放すような声は。
「……俺が相手すると魔法使えなくなるから組めねえだろ」
せんやがそれを聞いて頷く。
「確かに……」
「仕方がないなあ。お兄ちゃんって呼んでくれたら相手してあげますよ」
ずっとスルーしてるのに何回言うんだこいつは。
「…………おにーちゃん……」
「聞こえないですね」
「おに――」
「――先生、それ以上俺の生徒をからかわないでくださいね」
出た。せんやの笑ってない笑顔攻撃。
「……まあ、いいか」
俺の顔を見て満足そうに微笑む。くうう。コイツ苦手だあああ。
「待った!! 師匠と組むのは俺だ!」
「いやいや俺でしょ?」
「何言ってるの? 僕だよ?」
出たな好感度15%以上勢。
「お前ら聞いてなかったのか? 俺と相手すると魔法が使えなくなんの。実技の授業なのに魔法使えなくてどうするよ」
「その魔法が使えなくなるって言うのがよく分かんないんだけど……」
確かに……俺もよく分かってねえ。なんか喧嘩が一番強いって追加したら、勝手に追加された設定だ。
「それが俺の魔法みたいなもんなんだよ……。そして俺も使えねえ」
「昔の後遺症みたいなものですね。いろんな魔法をその身で受けてきたから、魔力の防衛本能が働いて君の周囲には君の魔力で魔法が消え去るようにバリアが貼られている。魔力は常にそのバリアに注がれているから魔法が発動できない」
こいつちゃんと研究員なんだった。
「じゃあ、バリアさえ解けば俺も魔法を使えるのか!?」
「呼吸するように無意識のうちに行っていることだからバリアを解くのは難しいね」
「すべての魔法を打ち消す魔力ってことは……ヴォンヴァート……くんの魔法って」
「うん。全魔法が使えるってことですね」
「これが潜在能力ってやつか!?」
「まあ魔力の質が良くても使えないんじゃ意味ないですけど」
こ、この野郎……。
「確かに、全魔法を使えるシーシェン先生に相手してもらった方がいいのかも……」
せんやがそう言うと、好感度15%以上勢はしぶしぶ引き下がっていった。
「シーシェン……先生、魔法使わなくていいぜ。喧嘩しようぜ、喧嘩!」
「はあ。まあいいけど」
結論から言うとシーシェンはそれなりに強かった。
一番強くなってからは相手が弱くて弱くてつまらなかったけど、相手になる奴がいて良かった……。
「さっきの君の魔力の話だけど――」
「ああ、俺は全魔法が使えるはずだけどバリアに全部回してる天才なんだよな」
「――全部嘘です」
がくっ。
となるのは無理もない。顔面に拳を喰らった。痛い。でも今はこの痛さが爽快な気分を運んでくる。久しぶりの喧嘩だあ!
「全部嘘って、せんやも知ってるのか?」
「知りませんよ。研究室の者は知ってますが」
「じゃあ俺の魔力って何なんだ」
「君はアルマタクトの一部です」
「ん?」
アルマタクトって確か乙女ゲームのタイトルで、この世界の魔力の塊のことだ。
世界中に欠片が散らばっていて、それを集めるのが魔法学園の高等部特進科の生徒達。
そして俺達のような魔法使い(俺は例外だけど)に力を与えるのもアルマタクトで、彼らに力の使い方を教えるために集めているのも魔法学園。
魔法学園の地下にはアルマタクトの巨大な結晶が眠っている。すべて魔法学園が地道に集めてきたものだ。
そのアルマタクトさえなければこの世界に魔法なんてものがないと言うほど重要で、ゲームでは闇魔術組織も巨大なアルマタクトを狙って学園を襲撃したり、回収に行ったアルマタクトの前で鉢合わせしたりする。
そのアルマタクトの一部だって?
「どう言うこと?」
「正確に言えば闇魔術組織のアルマタクト実験――アルマタクトで人造人間を作れば全魔法を無限の魔力で扱える生命体ができる可能性があると始められた実験、そこで生まれたのが君です。研究員達の期待とはうらはらに、君はアルマタクトとして周囲から魔力を吸い上げ、魔法使いへ魔力を与える生物になり、力の根源であるため魔法の利かない生物として生まれました」
「吸血鬼は?」
「それが分かってないんだよね」
俺が変な設定追加したからな……。
「まあでも、アルマタクトは人間の死体から魔力の結晶として回収できることもあるので、血液に魔力が流れているならそれを吸収しているのでしょう」
こっわ!!
アルマタクトって人間の死体からも回収されてるの!?
俺の言いたいことが分かったらしい、シーシェンは笑顔で頷く。
「そう言う特殊な案件は稀です。研究室に送られてくるので、君達が目にすることはないよ」
「人間には等しく魔力が流れてるのか?」
「稀だよ。だから魔法学園があるんだし。魔法は親から子に継承されていく、DNAみたいなものだね。まあアルマタクトの気分次第で遺伝子も関係なく魔法が使えるようになる子もいるけど」
「俺が血を吸ったら寿命が縮んだり……?」
「それはないよ。魔力が全部なくなっても死ぬことはないからね。血液を全部吸ったらさすがに死ぬけど」
喧嘩に一番強いって設定がこんなにもヴォンヴァートの人生を変えてしまうなんて……。って待てよ? ヴォンヴァートの髪色ってアルマタクトに近い気がするけど、まさか最初からあった設定ではないよな? 前世の記憶を思い出してから、昔のことは過酷な人生歩んでるな、くらいの感覚だったけど、もともとあった設定かもしれないとは考えてこなかった。休憩中にせんやに聞いてみるか? でもせんやは知らねえってシーシェンは言ってたし……。まあいっか。
「休憩中にせんやに話していいか?」
「信用してるんですね」
「まあ……」
気持ち悪い時はあるが根っからのいい奴だからな。
「私も付き合うよ。私から説明した方が分かりやすいでしょうし」
どう言う意味だこら。
「さんきゅ」
「ほっぺにちゅーは?」
「するわけねえだろ!」
そう言えば小さい時にしていたような……。ああ、思い出したくなかった。
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