乙女ゲームの攻略キャラに転生したけど、他の攻略キャラ達の好感度が上がる一方で……!?

隍沸喰(隍沸かゆ)

文字の大きさ
20 / 52
第一章

4話 ③爽快な実技

しおりを挟む

 そう言えばシーシェンの好感度ってどうなってるんだろ。

シーシェン・シェンラン
 誕生日3/10 年齢20歳 趣味研究 魔法全魔法
 保健室の先生。元闇魔術組織。

 え、これだけ⁉︎
 ってそうか、攻略キャラじゃねえから好感度とかは表示されねえのか。
 残念だな。
 校庭に着くと、もうすでに何人かの生徒が集まっていた。実技の授業には副担任も同伴するらしい。全員が集まった頃に、せんやと副担任の先生がやってくる。
「え……」
 せんやが仲良さげに話しているのは……
「し、シーシェン!!」
「こらこらヴォンヴァートくん。シーシェン先生って呼ぼうね? お兄ちゃんでもいいですよ」
 くっ……こ、こいつとは会いたくなかったのに、こいつが副担任だったなんて。
「みんなに紹介するね、副担任のシーシェン・シェンラン先生」
「よろしくお願いします」
 せんやの目がハートである。お前、推し多すぎ。
 ん? でも待てよ。シーシェンがいるということは……
「シーシェン、俺と組もうぜ!」
「生徒と組めば?」
 なんだその突き放すような声は。
「……俺が相手すると魔法使えなくなるから組めねえだろ」
 せんやがそれを聞いて頷く。
「確かに……」
「仕方がないなあ。お兄ちゃんって呼んでくれたら相手してあげますよ」
 ずっとスルーしてるのに何回言うんだこいつは。
「…………おにーちゃん……」
「聞こえないですね」
「おに――」
「――先生、それ以上俺の生徒をからかわないでくださいね」
 出た。せんやの笑ってない笑顔攻撃。
「……まあ、いいか」
 俺の顔を見て満足そうに微笑む。くうう。コイツ苦手だあああ。
「待った!! 師匠と組むのは俺だ!」
「いやいや俺でしょ?」
「何言ってるの? 僕だよ?」
 出たな好感度15%以上勢。
「お前ら聞いてなかったのか? 俺と相手すると魔法が使えなくなんの。実技の授業なのに魔法使えなくてどうするよ」
「その魔法が使えなくなるって言うのがよく分かんないんだけど……」
 確かに……俺もよく分かってねえ。なんか喧嘩が一番強いって追加したら、勝手に追加された設定だ。
「それが俺の魔法みたいなもんなんだよ……。そして俺も使えねえ」
「昔の後遺症みたいなものですね。いろんな魔法をその身で受けてきたから、魔力の防衛本能が働いて君の周囲には君の魔力で魔法が消え去るようにバリアが貼られている。魔力は常にそのバリアに注がれているから魔法が発動できない」
 こいつちゃんと研究員なんだった。
「じゃあ、バリアさえ解けば俺も魔法を使えるのか!?」
「呼吸するように無意識のうちに行っていることだからバリアを解くのは難しいね」
「すべての魔法を打ち消す魔力ってことは……ヴォンヴァート……くんの魔法って」
「うん。全魔法が使えるってことですね」
「これが潜在能力ってやつか!?」
「まあ魔力の質が良くても使えないんじゃ意味ないですけど」
 こ、この野郎……。
「確かに、全魔法を使えるシーシェン先生に相手してもらった方がいいのかも……」
 せんやがそう言うと、好感度15%以上勢はしぶしぶ引き下がっていった。
「シーシェン……先生、魔法使わなくていいぜ。喧嘩しようぜ、喧嘩!」
「はあ。まあいいけど」
 結論から言うとシーシェンはそれなりに強かった。
 一番強くなってからは相手が弱くて弱くてつまらなかったけど、相手になる奴がいて良かった……。
「さっきの君の魔力の話だけど――」
「ああ、俺は全魔法が使えるはずだけどバリアに全部回してる天才なんだよな」
「――全部嘘です」
 がくっ。
 となるのは無理もない。顔面に拳を喰らった。痛い。でも今はこの痛さが爽快な気分を運んでくる。久しぶりの喧嘩だあ!
「全部嘘って、せんやも知ってるのか?」
「知りませんよ。研究室の者は知ってますが」
「じゃあ俺の魔力って何なんだ」
「君はアルマタクトの一部です」
「ん?」
 アルマタクトって確か乙女ゲームのタイトルで、この世界の魔力の塊のことだ。
 世界中に欠片が散らばっていて、それを集めるのが魔法学園の高等部特進科の生徒達。
 そして俺達のような魔法使い(俺は例外だけど)に力を与えるのもアルマタクトで、彼らに力の使い方を教えるために集めているのも魔法学園。
 魔法学園の地下にはアルマタクトの巨大な結晶が眠っている。すべて魔法学園が地道に集めてきたものだ。
 そのアルマタクトさえなければこの世界に魔法なんてものがないと言うほど重要で、ゲームでは闇魔術組織も巨大なアルマタクトを狙って学園を襲撃したり、回収に行ったアルマタクトの前で鉢合わせしたりする。
 そのアルマタクトの一部だって?
「どう言うこと?」
「正確に言えば闇魔術組織のアルマタクト実験――アルマタクトで人造人間を作れば全魔法を無限の魔力で扱える生命体ができる可能性があると始められた実験、そこで生まれたのが君です。研究員達の期待とはうらはらに、君はアルマタクトとして周囲から魔力を吸い上げ、魔法使いへ魔力を与える生物になり、力の根源であるため魔法の利かない生物として生まれました」
「吸血鬼は?」
「それが分かってないんだよね」
 俺が変な設定追加したからな……。
「まあでも、アルマタクトは人間の死体から魔力の結晶として回収できることもあるので、血液に魔力が流れているならそれを吸収しているのでしょう」
 こっわ!!
 アルマタクトって人間の死体からも回収されてるの!?
 俺の言いたいことが分かったらしい、シーシェンは笑顔で頷く。
「そう言う特殊な案件は稀です。研究室に送られてくるので、君達が目にすることはないよ」
「人間には等しく魔力が流れてるのか?」
「稀だよ。だから魔法学園があるんだし。魔法は親から子に継承されていく、DNAみたいなものだね。まあアルマタクトの気分次第で遺伝子も関係なく魔法が使えるようになる子もいるけど」
「俺が血を吸ったら寿命が縮んだり……?」
「それはないよ。魔力が全部なくなっても死ぬことはないからね。血液を全部吸ったらさすがに死ぬけど」
 喧嘩に一番強いって設定がこんなにもヴォンヴァートの人生を変えてしまうなんて……。って待てよ? ヴォンヴァートの髪色ってアルマタクトに近い気がするけど、まさか最初からあった設定ではないよな? 前世の記憶を思い出してから、昔のことは過酷な人生歩んでるな、くらいの感覚だったけど、もともとあった設定かもしれないとは考えてこなかった。休憩中にせんやに聞いてみるか? でもせんやは知らねえってシーシェンは言ってたし……。まあいっか。
「休憩中にせんやに話していいか?」
「信用してるんですね」
「まあ……」
 気持ち悪い時はあるが根っからのいい奴だからな。
「私も付き合うよ。私から説明した方が分かりやすいでしょうし」
 どう言う意味だこら。
「さんきゅ」
「ほっぺにちゅーは?」
「するわけねえだろ!」
 そう言えば小さい時にしていたような……。ああ、思い出したくなかった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う

ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。 次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた オチ決定しました〜☺️ ※印はR18です(際どいやつもつけてます) 毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目 凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日) 訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎ 11/24 大変際どかったためR18に移行しました 12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです

悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました

藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。 (あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。 ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。 しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。 気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は── 異世界転生ラブラブコメディです。 ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

処理中です...