乙女ゲームの攻略キャラに転生したけど、他の攻略キャラ達の好感度が上がる一方で……!?

隍沸喰(隍沸かゆ)

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第一章

4話 ④闇魔術組織ボス

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 せんやに説明して貰った後、せんやと二人きりで話したいと言ってシーシェンには離れてもらった。
「どう思う? こんな設定元からあったか?」
「ヴォンヴァートは全魔法使えたし魔力も無限大な可能性があるって言う伏線があったから、もしかしたら元々あった設定に君の追加設定が加えられたのかもね。でもヴォンヴァートがアルマタクトだったとは。確かに君の言う通り髪色そっくり」
「だろ?」
「このことは重要な話だから上に話すってシーシェン先生と話したけど、また君についての隠し事が増えたね」
「あはは……」
「休憩時間も終わったし、あと少しすれば実技の練習も終わるから」
「えーまだ喧嘩し足りない……」
「君はほんとに喧嘩が好きだな」
「俺の生きがいだからな!!」
「生きがい?」
「おう! 楽しいだろ、お前の場合乙女ゲーが生きがいみたいなもんだろ!」
「もっちろん! 君には他にもオススメしたい乙女ゲーがあってね、前世のゲームはなくなっちゃったけどこの世界でも乙女ゲーが出来るからたくさん教えてあげるね!」
「いや、もうこの世界だけで勘弁」
「えー……」
 手を振りながらせんやから離れ、シーシェンの元へ急ぐ。
「いつからこんなに喧嘩好きになったんだろう」
 殴り殴られに喜んでいれば、シーシェンからその言葉が出てきてぎくっとする。
「最近目覚めたんだよ」
「生きがいなのに?」
「昔から誰かとヤり合いたかったの!」
「ふうん。まあそれでいいですよ」
 シーシェンと戦っている最中だった。
 警報の音が鳴り始め、空中に赤文字が浮かぶ。先生達のスマホにも連絡が入り、せんやが生徒たちを集める。
「学園に闇魔術組織が襲撃してきました! 避難します、みんな俺について来て!」
「シーシェンは?」
「私は残ります。一応強いからね」
 自分で言うか?
 教師から戦う許可の出ていない生徒達は校舎の地下シェルターへ避難する。高等部の特進科2・3年生はチームを組んで戦うみたいだ。
「先生、先生! ザイドとアインがいません!!」
 そんな声がチヨ・アキヅキに好意を持つ勢の一人から発せられ、せんやが立ち止まったので全員が立ち止まる。せんやは焦りの表情を浮かべながら、考え込んでいる。
「イルフォントくん! シェルターまでみんなを頼む」
「先生は!?」
「二人を探してくる!」
 飛び出していくせんやを見て、自分も思わず飛び出していた。背中の方から驚くような声と自分を呼ぶ声があったけれど、せんやを追いかけるのに夢中だった。

イルフォント・アヴェリアル
 誕生日9/14 年齢16歳 趣味肉体を鍛えること 魔法土魔法 寮???
 特進科1年Aクラスの委員長。
 チヨ・アキヅキに好意を持つ。
親密度 0%
好感度 0%

 ゲームでも委員長で、キャラクター達の相談に乗ったり、彼らを導く様は頼もしかった。あの場は彼に任せておけば大丈夫だろう。
 プロフィールを閉じてから、せんやに目を向けると、ジトッとした目で眺められていた。
「前向かないと危ねえぞ~」
「なんでついて来てるんだよ! 今すぐ戻って!」
「いやに決まってんだろ。先生弱そうだし」
「失礼だな!?」
 ああもう、と言って並走してくる。そう言えばこいつめちゃめちゃ足が速くてよく陸上部の助っ人やってたっけ。喧嘩に強いだけじゃなく足も速いって追加設定しとけば良かった。
「どこに向かってるんだ?」
「ストーリー覚えてない? 闇魔術組織が襲撃した時、ザイドが一人敵に向かっていくのをアインが追いかけてみんなとはぐれるんだ」
「ストーリー飛ばしてたから」
「飛ばしてたぁ!? ちゃんと読めよ!」
「それでどこに行ったんだ?」
「学園の端っこにある庭園付近」
「そんなところあるんだ」
「二人は敵組織と戦って重症、医療室で1週間は目覚めなくなる。急がないと……!」
「シーシェン連れてきた方が良くないか?」
 主人公の魔法って確か、その場にいるだけで味方を強化することだったはず。でも……俺がいるとそれ使えなくね?
 そう伝えると、「だから戻れって言ってるんだよ!」と怒られてしまった。
「じゃあ先に行って。遠くから様子見とくから」
「なんで来たんだ……!!」
 仕方ねえだろ、お前が怪我でもしたらと思ったらなんか走ってたんだよ。とは伝えてやらねえ。絶対に調子に乗る。
 庭園付近に到着すれば、すでにもうザイドとアインは敵組織と戦っているようだった。
 せんやが駆け付けて強化されたのか少し持ち直したようには見える……それでも劣勢に変わりはない。
 対峙している敵のうちの一人、黒い髪、ピンクの瞳の男がその集団のリーダーっぽい。……どっかで見たことがあるような。どことなくシーシェンと雰囲気が似ている気がする。
 バチッと目が合い、相手は目を見開く。
 それからザイドやアイン、せんやに目もくれず、一人こちらへやってくるではないか。それを見たザイドが駆け付けようとするが、敵が目の前に立ちはだかり舌打ちする。
「久しぶりだな、リリア」
「その名で呼ぶなあああああああ!」
「魔法学院に保護されてから、性格がだいぶ変わったな。リリア」
 この男、ずっとリリアと呼ぶ気か!
「殴るぞ?」
「やってみろよ」
 挑発されて頭に血が上り、殴り掛かれば、相手に拳を止められる。
「もしかして覚えてないのか? 俺のこと」
「お前のことなんて知るか」
「昔みたいにお兄ちゃんって呼べよ」
 そのセリフを聞いて、昔の記憶が蘇える。こ、こいつ、確か。
「ウォーゼン・シェンラン……」
「思い出したのか?」
 シーシェンの弟……。闇魔術組織の研究員だ。
「兄貴が裏切ってからは、俺が闇組織のボスなんだ」
「シーシェンが裏切ってから?」
「兄貴が闇魔術組織のボスだったんだ。知らなかったのか?」
 知らなかった。いっかいの研究員とばかり思っていたけど……。たった数年で独房から出られているから魔法学園側もボスと知らないのかもしれない。
「おい、お前ら知り合いかよ」
「ザイド……!」
 ザイドは敵を倒したらしい、近くにきて話を聞いていたようだ。
「お前のことは前から怪しいと思ってたんだ……魔法が使えないくせに魔法学園にいる。闇魔術組織に送り込まれたスパイだったってことか」
 え、えええええ。ちょっと、曲解が過ぎないか? お前俺に負けまくったからって勝手に敵にするなよ。
「違うな。そいつは俺達の実験体だ。でもまあいらないなら連れて帰るつもりだけどな」
「ふ、ふざけんな! 誰があんなところに戻るか!」
「戻らなくても俺が殺してやる……!」
 ザイドが魔法を発動しようとするが、魔法陣は跡形もなく消え去る。
「お前……何をした!」
 とザイドに睨み付けられた。
「知らないのか? リリアには魔法が効かない……こんな妙な実験体を逃すわけにはいかないだろ?」
「魔法が効かないだと? だから実技の授業でもずっと先生と殴り合いをしてたのか……!」
 コイツ今まで気づかなかったのか? バカなんじゃないか?
 ザイドは「それなら」と俺に殴り掛かってくる。それを避ければ、さらに追撃に合う。すべて避けていると、ザイドの後ろにアインが駆け付けてくるのが見えた。
「ザイド! 何やってるんだ! 敵はヴォンヴァートくんじゃないだろ!」
「こいつは敵組織と繋がってやがったんだ!」
「そ、そんな」
 ショックを受けたようなその顔に、イラッとする。
 何だコイツら、そんなに俺のこと信用できねえのか?
 いやまあ入学してから数日しか経ってねえし会話もほとんどしてないけど。何よりアインのやつザイドのこと信じすぎだろ。少しは疑え。
「いい加減にしろ君達! 勝手な行動をとった上に、ヴォンヴァートくんが敵だと決めつけるなんて!」
 せんやが駆け付けてきて言う。おいおい、お前までこっちに来たら敵に囲まれ――てますねこれは。
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