勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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15.

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その一言で背筋が凍り付く。
(嘘だろ)
そんな思いを余所に父は言葉を続ける。
「ああそうだ言い忘れていたな、村人の中に何人か手練れを入れて置いたから簡単にはやられはしないだろうが、果たしていつまで持つやら……」
(止めてくれ)
そう思ったが遅かった。
(もう、間に合わないかもしれない)
「父さん、何でも言う事を聞くから」
その言葉を聞くと、父は笑った。
「何でもか……なら今すぐ、私は貴方の忠実な配下となりますっと言ってもらおうか?」
そう言いながら笑ってこちらを見る。
(本当にそんなことが出来ると思って言っているのだろうか?)
そう思うとなんだか悔しくなってきたので反抗してみることにした。
「え? そんな簡単なことでいいの? そんなの余裕だよ、本当にそれで許してくれるんだね?」
そう言うとさらに笑われた。
「勿論だとも、お前如きが俺の言うことを聞かないはずがないだろう?」
(くそっ)
内心毒づきながらも答えることにする。
「俺は、貴方の忠実な配下になります」
そう言うと満足げな顔をする父に苛立ちを覚えたが、頭を撫でてくれる手は優しくて愛おしかった。
「それでいいんだ、流石は俺の息子だな」
父は上機嫌だ。
頭を撫でられながら思う。
(本当はこんなことしたくない、でもこうしないとみんな殺されてしまう、だから、ごめん、母さん、皆んな)
心の中で謝りつつ俺は決めた。
「父さん、俺は如何したらいいの?」
「城に帰ったらとりあえず、お仕置きが先だな、俺の部屋に行ってなさい」
「はい」
そう言って父の部屋へと向かう事にした。
(これで良かったんだろうか?)
そう自問しながらも答えは出ないままだった。
父と別れた後父親の部屋で待っていると何かを持って戻ってきた。
「父さん、お仕置きって何、ひぃ」
聞く間もなく腕を引っ張られると何かを腕につけられた。
(これは鎖?)
よく見ると先端に錠がついているのが分かる。
戸惑っていると父親が言う。
「暫くの間はこのまま生活してもらうからな」
そう言われて絶句する。
これからの日々を思うと絶望しかなかった。
そんな俺を見てニヤニヤと笑う父親を見ると悲しくなる。
(なんでこんなことになったんだろう)
そう思いながらも反抗する気力はなくなっていた。
もう疲れてしまったのだ。
抵抗することもなくただされるがままになる俺に何を思ったのか父親は言った。
「なんだ、つまらないな、もっと泣き叫ぶとかして抵抗してくれると思っていたのに」
がっかりした様子でそういう父親に対して俺は力なく笑うことしかできなかった。
(もうどうにでもなれ)
そう思って全てを受け入れることに決めたのだ。
そのまま俺は大人しくしていた。
その様子を見て満足したのだろう、そのまま何処かへ行ってしまったようだ。
一人取り残された俺はボーッとしながら窓の外を見ていた。
(今頃皆どうしてるのかな?)
そんなことを思いながら過ごしていると急に扉が開いた。
「リュート様、平気?」
俺の仲間たちだ。
「え?」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。
「大丈夫、私がついてる」
「そうですわ、私達がついていますもの」
「そうですよ、僕じゃ頼りないかもしれないけど」
口々にそんな事を言われて驚いた。
「何しに来たの?」
思わず言ってしまった言葉に後悔する。
すると、彼女達は言った。
「助けに来たに決まってるじゃないですか」
「そうですわよ、こんな場所にいつまでもいるなんて、貴方らしくありませんもの」
「そうそう、元気出してくださいよぉ」
それを聞いて涙が出てきた。
「お父様の元に行きましょう、おいたのお仕置きにしてはやり過ぎです、貴方は、後継者なのですから」
そう言われて涙を拭うと頷いていた。
「……うん」
その後俺達は魔王の間に出向いた。
「なんだ、お前達、俺は忙しいんだがな」
「リュート様の罰、いささか厳しすぎると思うんですけどぉ」
そう口答えしたのは聖女ミレアさんだ。
彼女は俺達と同じ世界から来た人間であり、俺とは幼馴染でもある。
「ほう、貴様のような無能者が私に意見するのか?」
「ええ、しますよ、だって私、貴方に何の恨みもありませんしぃ」
「ふん、まぁいい、で、何の用だ?」
そう聞かれてミレアさんは答えた。
「私の大切な人を返してください」
「ふむ、いいだろう、だがその前に一つ聞こう、お前の本当の願いとは何だ?」
「え?」
驚く彼女に続けて言う。
「俺の元に来て何がしたい? 言ってみろ」
「それは、平和に暮らしたいだけです」
「本当にそれだけか?」
「他に望みなどありませんよ」
「そうか、なら返してやろう」
「リュート、お前の罰は不問に処す、こっちにおいで」
そう言って手招きをする父に近寄る。
「お前は今日から、好きに生きなさい、そうそう、右腕は解任するからな」
「え?」
訳が分からず困惑していると父が笑いながら言った。
「いやなに、今までの事は全部嘘だったんだよ、これからは自由に生きろ」
その言葉を聞いた瞬間涙が出てきた。
やっと解放されるのだとそう思ったからだ。
こうして俺は自由になったのだった。
俺は、彼女らと城の一角で過ごしていた。
「リュート、如何したの?」
「あれ以来、父さんに呼ばれなくなったなって」
そう言うと彼女達は苦笑いをした。
「きっと飽きたんですわ」
「そうだといいなぁ」
そんな風に話していると、突然声をかけられた。
振り返るとそこには見知らぬ女性が立っていた。
誰だよと思っているとその人は言った。
「初めまして、私はエルザと申します、貴方達のお父上の命を受けてここに来ました」
そう言われたがなんの事かわからないので聞き返した。
「どういう事ですか?」
そう聞くと彼女から驚くべき事を言われたのだった。
その日の夜、寝静まった頃を見計らって部屋を抜け出そうとしている俺を彼女が引き止めた。
「こんな時間に何処へ行くつもりですか?」
「ちょっと散歩に……」
そう言って誤魔化そうとするが無駄だったようだ。
「嘘つきは嫌いですよ」
そう言われて何も言えなくなる俺に向かって言う。
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