勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
78 / 236

78.

しおりを挟む
そうして、しばらくの間、二人だけの時間を過ごした後、そろそろ帰ることにすることを伝えて立ち上がった。
名残惜しい気持ちはあったが、いつまでもここにいるわけにもいかないからな。
それに、いつまでもこうしていたら、帰りたくなくなるだろうし、
それに、フィリア達も心配しているだろうからな。
そう考えて、彼女から離れることにしたんだ。
それから、最後にキスをして別れたんだが、その時の笑顔が忘れられないんだよな。
まあ、それはそれとして、まずは冒険者ギルドに報告に行かなければならないだろう。
ということで、早速向かうことにしたのだが、その前に一つやることがあった。
それというのも、彼女のことだ。
彼女はまだ幼い女の子であり、本来なら親の元で暮らすべき年齢なのだ。
それなのに、彼女は一人で旅をしているという。
それが気になったのだ。
そこで、聞いてみることにした。
「なあ、お前は今までどうやって生きてきたんだ?」
それに対して彼女は答える。
「えっと、私はずっと孤児院で育ったんです」
なるほど、そういうことだったのか。
それなら納得できるな。
でも、そうなると、この子には家族がいないということになるのか?
そう思うと悲しくなってきた。
どうにかしてやりたいという気持ちが込み上げてくる。
とはいえ、俺にはどうすることもできないしな。
いや、待てよ。
一つだけ方法があるかもしれないぞ。
そう考えた俺は、彼女に提案してみることにした。
「もしよかったら、俺がお前を引き取ってやろうか?」
その瞬間、彼女の顔がパアッと明るくなったような気がした。
だが、すぐに俯いてしまった。
どうしたんだろうと思っていると、小さな声で呟いた。
「ありがとう……」
そんな姿を見ているうちに、自然と笑みが溢れていた。
やっぱりこの子はいい子だなと思ったよ。
だからこそ守ってやりたくなるんだ。
よし決めた!
絶対に幸せにしてやるぞ!
そのためにはどうすればいいか考えなければな。
とりあえずギルドに戻ってから考えることにしようかな。
そう決めて歩き出した時だった。
不意に袖を引っ張られたので振り返ると、そこには満面の笑みをたたえたアリアの姿があった。
そして、そのまま抱きついてくると耳元で囁いた。
「ありがとう、パパ!」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
一瞬何を言われたのか理解できなかったくらいだ。
我に返った時にはすでに手遅れだった。
完全に主導権を握られてしまった形だ。
今更断るわけにもいかなくなってしまったので、仕方なく受け入れることにするしかなかった。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか家に着いていたようだ。
中に入ると、早速夕食の準備に取り掛かることにした。
メニューはもちろんカレーだ。
とは言っても、ただのカレーではなく、野菜たっぷりのヘルシーな仕上がりになっている。
味付けもあっさりとしたものに仕上げてあるため、食べやすいはずだ。
もちろんお代わりもあるので安心してほしい。
というわけで完成したものをテーブルに並べると、さっそく食べることにした。
一口食べた瞬間、あまりの美味しさに感動してしまったほどだ。
これならいくらでも食べられそうだなと思っていたら、
あっという間に平らげてしまったようだった。
(ふう、美味しかった)
お腹の中を満たしたところで一息つくと、食器を片付けてからお風呂に入ることにした。
脱衣所に入ると服を脱いで裸になる。
そして浴室の中へと入るとシャワーで汗を流していくことにした。
石鹸を手に取り泡立てると全身をくまなく洗っていく。
特に股間部分は念入りに洗うことにした。
(よし、これで綺麗になったな)
満足すると湯船に浸かって温まることにする。
肩まで浸かると全身から力が抜けていきリラックスすることができた。
しばらくすると眠気がやってきたので風呂から出ることにした。
バスタオルで体を拭き取るとパジャマを着て寝室へと向かう。
ベッドに横になるとすぐに眠りに落ちていった。
翌朝目が覚めると時計を確認する。時刻は午前6時30分だった。
ベッドから起き上がると洗面所へ向かい顔を洗うことにした。
冷たい水が気持ちいいと感じるくらいには意識が覚醒してきたところで朝食の準備をすることにした。
冷蔵庫を開けると卵があったので目玉焼きを作ることに決める。
フライパンを熱して油を引くと、そこに卵を落とした。
ジュワーといい音がして食欲をそそられる。
ある程度火が通ったところで皿に移し替えると、今度はパンを取り出してトースターで焼くことにした。
焼けるまでの間にサラダを用意することにした。
レタス、トマト、キュウリ、ハム、チーズなどを切って盛り付けていく。
ドレッシングをかけて完成だ。
ちょうど出来上がった頃にトーストも焼けたようなので皿に載せてテーブルへ持っていくことにした。
飲み物はコーヒーにしようと思う。
カップを用意していると、チンッと音がしたのでオーブンから取り出すことにした。
こんがりと色づいた食パンが出来上がっていたので、それをお皿に乗せるとバターを塗ってから
ジャムを塗った。
さらにその上にハチミツをかけることで甘みを加えてみた。
我ながらいい出来だと思う。
あとはコーヒーを淹れるだけだな。
ポットでお湯を沸かすと、その間にカップやスプーンを準備する。
最後にドリップしたコーヒーをカップに注ぐと、テーブルの上に並べた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...