勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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そんなこちらの状態を知ってか知らずか、
彼女は優しく抱きしめてくると耳元で囁いてきた。
その言葉を聞いた途端、頭の中が真っ白になった気がした。
次の瞬間には意識を失っていたのだった……。
気が付くと、そこは見慣れた自分の部屋だった。
どうやら夢を見ていたらしい。
(それにしてもリアルな夢だったな……)
そんなことを考えながら起き上がると、ふと違和感を感じた。
なんだろうと思って下を見ると、そこには見慣れない膨らみがあった。
恐る恐る触ってみると柔らかい感触が伝わってくる。
そこでようやく理解した。
自分は今女の子になってしまっているのだということを、
その瞬間、一気に血の気が引いていくのを感じた。
それと同時に激しい焦燥感に襲われる。
このままではいけないという思いに駆られ、慌てて部屋を飛び出した。向かう先は屋敷の玄関だ。
そこではすでに起きていたアリア達が待っていた。
皆一様に不思議そうな顔をしている。
無理もないことだろう。何しろ今の俺の姿は
どう見ても女の子にしか見えないのだから、当然の反応と言えるだろう。
そんな中、いち早く我に返ったアリアが声を掛けてくる。
「おはようございます、ご主人様♡」
そう言って微笑みかけてくる彼女に対して、俺は平静を装って挨拶を返すことにした。
「あ、ああ、おはよう……」
声が上擦ってしまいそうになるのを必死に堪えつつ返事をすると、アリアの表情がパッと明るくなったように見えた。
彼女は嬉しそうな笑みを浮かべると、そのまま抱きついてきた。
突然のことに驚いていると、他の面々も次々と声を掛けてくる。
「おはようございます、ご主人様♡」
「おはよう、主様♪」
「おはよー、お兄ちゃん!」
口々に告げられる言葉に戸惑いつつも、何とか返事を返すことに成功した。
その様子を見守っていたニーナだったが、
やがて頃合いを見計らって話しかけてきた。
「それじゃあ行きましょうか」
そう言うと俺の手を取り歩き出そうとする。
そんな彼女に向かって声を掛ける者がいた。
それは先程まで寝ていたはずのニーナの妹であるミリアだった。彼女は眠そうな目をこすりながらもこちらに近づいてくると、
俺の腕を取って引っ張っていこうとする。
それに対して抗議しようとしたその時、
今度は別の方向から声を掛けられた。
振り向くとそこには見知らぬ少女が立っていた。
彼女はじっと俺のことを見つめている。
その視線に気圧されてしまい何も言えずにいると、
少女は無言のまま背を向けて歩き始めた。
仕方なくその後に続くことにすると、後ろから声をかけられる。振り向くとそこには先程声をかけてきた少女がいた。
彼女は何も言わず手を差し出してきたので
握手を交わすことにした。
「私はリリアよ。よろしくね!」
そう言って笑顔を見せてくる彼女にこちらも笑顔で応えることにした。
こうして俺達は一緒に街へと向かうことになった。
道中では色々と話をすることになる。
まずはお互いのことについて知ることから始めようということになったのだ。
最初に話を切り出したのはリリアの方だった。
彼女は自分のことを語り始める。
なんでも彼女は魔法使いなのだそうだ。
魔法の才能を見出されてこの学園に入学してきたらしい。
ちなみに年齢は16歳ということだそうだ。
次に俺の方について話す番がやってきた。
とは言っても特に語るようなことなどないのだが、
一応自己紹介だけはしておくことにしようと思う。
俺の名前はリュートという。
元々はただの村人だったのだが、俺は母親に父親がいないと言い聞かされてしかも、
「大きくなったらあなたは勇者となるのよ」
そでも実は倒すべき魔王が実の父親で俺は魔王クロードと母マリアの間にできた子だったと知ってからはかなり辛かったと
今までの経緯を話した。
そして、俺がなぜ勇者を目指すようになったのかや、
どうして今まで隠していたのかもすべて打ち明けることにした。
「それって、要はお父様である魔王とリュートさんの壮大な親子喧嘩ですよね?」
そこに世界を守るためにとかなくて申し訳ないがそういう認識でいいと思います。
それを聞いた瞬間、目の前が真っ暗になるのを感じた。
自分が信じていたものが音を立てて崩れ去っていくような感覚に陥る中、さらに追い打ちをかけるように女神様が告げるのだった。
「貴方は、魔王クロードには勝てません! なぜなら、彼を貴方は知らないからです」
その言葉を聞き終えると同時に、俺の意識は闇の中へと沈んでいった……。
気がつくと、そこはベッドの上だった。
どうやら気を失っていたらしい。
ゆっくりと身体を起こすと、周囲を見回す。
ここは俺の部屋だ。
ということは、さっきのは夢だったのか?
いや、違う。
あれは現実に起こったことだ。
その証拠に、今でもはっきりと覚えているからな。
俺がため息を着けば扉が開いて、そこから入ってきたのはルミナスだった。
彼女は心配そうにこちらを覗き込んでくると言った。
「大丈夫ですか? 随分とうなされていたようですけど」
それを聞いて、思わず苦笑してしまう。
まさか夢の中でまでルミナスの夢を見るなんて思わなかったからだ。
そんなことを考えている間にも、彼女は言葉を続ける。
「一体どんな夢を見たんですか?」
そう言われて、俺は正直に答えることにした。
すると、何故か呆れたような顔をされてしまった。
どうしてそんな反応をされるのか分からないまま見つめていると、不意に彼女が言った。
その言葉にドキッとするが、すぐに平静を装って
返事をすることにする。
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