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「今日はありがとうございました」
別れ際にお礼を言われたので
「気にするな」
と言って別れたわけだが、正直言うと名残惜しかったというのが本音である。
というのも彼女とはもう少し話をしたいと思っていたからだ。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。
だが、いつまでもそうしてはいられないので気持ちを切り替えて次の目的地へと向かうことにした。
その後も旅を続けるうちに段々と街並みも変わってきたような気がする。
今まで立ち寄った街の中では最も規模が大きいのではないだろうか?
そう思ったのには理由がある。
それは行き交う人々の数が多いということだ。
それだけ多くの人達が暮らしているということであるし、それだけ繁栄しているということだろう。
そんなことを考えながら歩いていると、前方に一際大きな建物が見えてきた。
どうやらあそこが目的の場所のようだ。
そう思い近づいていくと入り口に立っていた兵士から呼び止められた。
どうやら身分証か何かを見せなければならないらしい。
当然そんなものは持っていないので正直に無いと答えるしかなかったのだが、そこで問題が発生した。
なんと門番の一人が俺を見てこう言ったのだ。
「お前、もしかして勇者じゃないか?」
その言葉に一瞬動揺してしまったもののすぐに平静を装って否定する事にした。
だが相手もそう簡単には引き下がってくれそうにない様子だ。
どうしたものかと思っていると意外な助け舟が現れたのだ。
それは目の前にいる男だった。
彼は俺の姿を見るなり駆け寄ってくるとこう言ってきたのである。
「おお! やはりそうか、よくぞ戻られたな」
男は感極まった様子で涙を流しながら抱きついてきたのだが、俺は何が何だかわからず困惑していた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ! 一体何のことだ!?」
そう叫ぶように言うと男を引き剥がした。するとようやく落ち着きを取り戻したのか涙を拭うと自己紹介を始めた。
「すまない、つい興奮してしまったようだ。
私の名前はアルガス、この国の大臣を務めている者だ。
実は君に折り入って頼みがあるのだが聞いてくれるかね?」
そう聞かれた俺は頷いてみせた。
すると彼は安心したように息を吐くと話し始めた。
その内容は以下のようなものだった。要約すると、魔族の国である暗黒領域から和平を結びたいという申し出があったというのだ。
そのために使者として派遣されたのが彼だということらしい。
そこまで話を聞いたところで新たな疑問が生まれたので尋ねてみることにした。
「なあ、一つ聞きたいんだが、なんでわざわざ人間が出向く必要があるんだ? 別に部下に任せればいいだけの話じゃないのか?」
その質問に対して返ってきた答えは次のようなものだった。
曰く、魔族というのは人間を敵視しており非常に危険であるため可能な限り人間との接触を避けているのだという。
そのためこのような役目はいつも同じ種族の人間が担当するのだという話だ。
つまり今回に限っていえば彼が選ばれたということになるのだろう。
そしてもう一つ気になったことがあったのでそれについて聞いてみたところ、予想通りと言うべきかなんというか、
やはりというか案の定と言うべきかあっさりと認めてしまったため呆れてしまったほどだ。
「仕方ないだろう? もうこれしか方法がないのだから諦めてくれ」
そういって肩をすくめる彼に、もはや何も言う気が起きなくなってしまったのだった。
そんな会話をしているうちにいつの間にか城門の前に辿り着いていたようだ。
見張りをしていた兵士がこちらを見るなり敬礼をしてきたのでこちらも返すとそのまま中へと入っていくことになった。
門をくぐり抜けた先に広がっていたのはまさに別世界と呼ぶに相応しい光景であった。
見渡す限りどこまでも続く草原が広がり、所々に木々が立ち並んでいる程度で他には何もないように思えた。
しかしそれも当然の事なのかもしれない、何せここは魔界なのだから、人間の住む地上とは全く違う価値観や文化が育まれていてもおかしくはないはずである。
だからこそ慎重に行動する必要があると思った俺は、
「取り敢えず街を目指すとしようぜ。ここら辺に人はいないみたいだし、情報収集なら街に行けば何かわかるだろうからな」
と言ったところ二人共頷いてくれたため早速出発する事になった。
しばらく歩いていると目の前に森が見えて来たのでそこを通る事にしたのだが、中に入ってみると意外と深いようでなかなか
出口を見つける事が出来ずにいた。
それでも何とか頑張って歩き続けているうちに開けた場所に出たのだがそこで奇妙なものを見つけてしまったのである。
そこには古びた小屋があったのだ。
こんなところに何故こんなものがあるのだろうかと思いつつ近づいてみると中から声が聞こえてきたのだ。
しかもその声は若い女性のもののようでどうやら誰かと言い争っているような様子だったので気になった俺達は近づいてみる事にした。
「ですから何度言われようとお断りしますと言っているでしょう!」
そう言いながら声を荒げているのは黒い髪の女性で年齢は20代前半くらいに見える。
彼女は必死の形相で目の前の男を説得しようとしているようだがどうやら上手くいかないらしく苦戦しているようだ。
対する相手の男は余裕の表情を見せているようでそれが余計に彼女を苛立たせているようだ。
しかしそれも無理はないことだろう、何しろその男は2メートル近くあるのではないかというほどの巨体であり、
筋肉隆々でスキンヘッドで顔には傷がある上に目つきが非常に悪く見るからに凶悪そうな雰囲気を漂わせていたのだから無理もないというものである。
別れ際にお礼を言われたので
「気にするな」
と言って別れたわけだが、正直言うと名残惜しかったというのが本音である。
というのも彼女とはもう少し話をしたいと思っていたからだ。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。
だが、いつまでもそうしてはいられないので気持ちを切り替えて次の目的地へと向かうことにした。
その後も旅を続けるうちに段々と街並みも変わってきたような気がする。
今まで立ち寄った街の中では最も規模が大きいのではないだろうか?
そう思ったのには理由がある。
それは行き交う人々の数が多いということだ。
それだけ多くの人達が暮らしているということであるし、それだけ繁栄しているということだろう。
そんなことを考えながら歩いていると、前方に一際大きな建物が見えてきた。
どうやらあそこが目的の場所のようだ。
そう思い近づいていくと入り口に立っていた兵士から呼び止められた。
どうやら身分証か何かを見せなければならないらしい。
当然そんなものは持っていないので正直に無いと答えるしかなかったのだが、そこで問題が発生した。
なんと門番の一人が俺を見てこう言ったのだ。
「お前、もしかして勇者じゃないか?」
その言葉に一瞬動揺してしまったもののすぐに平静を装って否定する事にした。
だが相手もそう簡単には引き下がってくれそうにない様子だ。
どうしたものかと思っていると意外な助け舟が現れたのだ。
それは目の前にいる男だった。
彼は俺の姿を見るなり駆け寄ってくるとこう言ってきたのである。
「おお! やはりそうか、よくぞ戻られたな」
男は感極まった様子で涙を流しながら抱きついてきたのだが、俺は何が何だかわからず困惑していた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ! 一体何のことだ!?」
そう叫ぶように言うと男を引き剥がした。するとようやく落ち着きを取り戻したのか涙を拭うと自己紹介を始めた。
「すまない、つい興奮してしまったようだ。
私の名前はアルガス、この国の大臣を務めている者だ。
実は君に折り入って頼みがあるのだが聞いてくれるかね?」
そう聞かれた俺は頷いてみせた。
すると彼は安心したように息を吐くと話し始めた。
その内容は以下のようなものだった。要約すると、魔族の国である暗黒領域から和平を結びたいという申し出があったというのだ。
そのために使者として派遣されたのが彼だということらしい。
そこまで話を聞いたところで新たな疑問が生まれたので尋ねてみることにした。
「なあ、一つ聞きたいんだが、なんでわざわざ人間が出向く必要があるんだ? 別に部下に任せればいいだけの話じゃないのか?」
その質問に対して返ってきた答えは次のようなものだった。
曰く、魔族というのは人間を敵視しており非常に危険であるため可能な限り人間との接触を避けているのだという。
そのためこのような役目はいつも同じ種族の人間が担当するのだという話だ。
つまり今回に限っていえば彼が選ばれたということになるのだろう。
そしてもう一つ気になったことがあったのでそれについて聞いてみたところ、予想通りと言うべきかなんというか、
やはりというか案の定と言うべきかあっさりと認めてしまったため呆れてしまったほどだ。
「仕方ないだろう? もうこれしか方法がないのだから諦めてくれ」
そういって肩をすくめる彼に、もはや何も言う気が起きなくなってしまったのだった。
そんな会話をしているうちにいつの間にか城門の前に辿り着いていたようだ。
見張りをしていた兵士がこちらを見るなり敬礼をしてきたのでこちらも返すとそのまま中へと入っていくことになった。
門をくぐり抜けた先に広がっていたのはまさに別世界と呼ぶに相応しい光景であった。
見渡す限りどこまでも続く草原が広がり、所々に木々が立ち並んでいる程度で他には何もないように思えた。
しかしそれも当然の事なのかもしれない、何せここは魔界なのだから、人間の住む地上とは全く違う価値観や文化が育まれていてもおかしくはないはずである。
だからこそ慎重に行動する必要があると思った俺は、
「取り敢えず街を目指すとしようぜ。ここら辺に人はいないみたいだし、情報収集なら街に行けば何かわかるだろうからな」
と言ったところ二人共頷いてくれたため早速出発する事になった。
しばらく歩いていると目の前に森が見えて来たのでそこを通る事にしたのだが、中に入ってみると意外と深いようでなかなか
出口を見つける事が出来ずにいた。
それでも何とか頑張って歩き続けているうちに開けた場所に出たのだがそこで奇妙なものを見つけてしまったのである。
そこには古びた小屋があったのだ。
こんなところに何故こんなものがあるのだろうかと思いつつ近づいてみると中から声が聞こえてきたのだ。
しかもその声は若い女性のもののようでどうやら誰かと言い争っているような様子だったので気になった俺達は近づいてみる事にした。
「ですから何度言われようとお断りしますと言っているでしょう!」
そう言いながら声を荒げているのは黒い髪の女性で年齢は20代前半くらいに見える。
彼女は必死の形相で目の前の男を説得しようとしているようだがどうやら上手くいかないらしく苦戦しているようだ。
対する相手の男は余裕の表情を見せているようでそれが余計に彼女を苛立たせているようだ。
しかしそれも無理はないことだろう、何しろその男は2メートル近くあるのではないかというほどの巨体であり、
筋肉隆々でスキンヘッドで顔には傷がある上に目つきが非常に悪く見るからに凶悪そうな雰囲気を漂わせていたのだから無理もないというものである。
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