クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン

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第18話 初心者のふり

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「お、俺ですか? 何かの間違いじゃ……」
「こんな人が盗賊のボスの訳ないでしょ! いい加減にしなさい!!」

 フェリシアは俺に怒ったように言うと、今度はその細身の男を縛ったロープを解いてゆく。
 全く、全然人の言う事を聞かないな。
 
 なぜ俺がこの細身で冴えなそうな男が盗賊団のボスだと判断したのか?
 
 その理由は男のレベルにある。彼のレベルは85もあったのだ。
 先程の鉄腕のアデリーナは62。手下の盗賊たちはすべて40以下であった。
 男は盗賊たちを余裕で一人で相手取るくらいのレベルの高さがある。
 そんな男がなぜ村民に紛れて捕まっているのか?
 
 
 ――もしもの時の保険の為に、身分を偽装しているとみるのが妥当だ。

 
「おい、気をつけろよ」
「はいはい」

 また子供をあしらように扱われる。
 まあ、ある意味これはこれで悪くはないが……。
 その時、俺は男から僅かな殺気が漏れ出るのを見逃さなかった。
 即座に駆け出す。

「もう、ほんとしつこい――」

 ロープを解き終わり、俺に文句を言うために向き合ったフェリシアに男が隠し持った剣が迫る。
 
「いかん!」

 エドワードがそう言って駆け出すやいなや――
 
 フェリシアは気づいて必死に防御しようとするが間に合わない。
 エドワードも距離があって間に合わない。

 二人ともが、「もう駄目だ!」――と思ったその時。


 
 

 二人は口を大きく開けてその目を見開き、愕然とする。

 俺が男の手を掴んで剣を防ぎ、もう一つの手に持った短剣で男の首を突き刺していたからだった。

 男は驚愕の表情を浮かべたまま、口から血を吹き出した後、絶命する。
 フェリシアとエドワードは共に絶句して固まっている。

 手には人の肉を刺した不快な感触が残っていた。
 俺はそれを振り払うように、短剣を振ってついた血のりを飛ばし不快感を強引に抑え込む。
 これからこの世界で生き抜いていく為にはこういった機会はきっとまた訪れるだろう。
 
「じゃあ借りは返したぞ。こいつは中々強かった」
「強かったって、そんな一瞬で倒しといて…………動きが全く見えなかったわ……」

 フェリシアは茫然自失に呟く。
 俺はちょっとやり過ぎたかなと反省する。
 彼らと俺では天と地ほどのレベル差があるんだ。
 ちょっと早めに動いたつもりでも、人外のスピードに感じてしまうのかもしれない。

「はじめてじゃ。はじめて全く動きを捉えられんかった。こんなことははじめてじゃ……」

 エドワードは天を仰ぎながら何事か呟いている。

「なんであんたこいつが盗賊のボスだって思ったの? てかほんとにこいつ盗賊のボス? 私に攻撃はしてきたけど……」
「そんなに強いのに盗賊たちに捕まる道理がないだろ」
「強いってなんでわかんのよ」
「実際に対峙してみてどうだった。アデリーナと比べて?」
「…………」

 フェリシアは少し考えた後、口を開く。

「おそらく遥かに格上」
「お前と比べては?」
「……多分あちらが上」

 確かフェリシアはレベル70台でさっきの男は85あった。
 先程の僅かな邂逅でそこまで実力を測れるのかと俺は感心する。

「で、感謝の言葉は? お前、あのままだったら死んでたぞ?」
「…………ありがとう」

 頬を少し赤く染めて渋々ながらフェリシアは答える。
 
「もっとはっきりと!」
「ありがとう! 見くびっててごめんなさい!」

 両手を握りしめて、叫ぶようにフェリシアは返す。
 恥辱を感じているのか目に少し涙を溜めててかわいい。

 俺がニヤニヤとフェリシアを眺めているのが気に入らなかったのだろう。
 フェリシアはすぐさま俺に噛みついてくる。

「ってあんた最近冒険者になったって嘘でしょ! 初心者のフリして私のことからかったんでしょ!」
「初心者は初心者だよ。その初心者に負けた天穹騎士団さん。ふふーん」

 フェリシアはぷるぷると怒りに震える。

「一体、なんの勝負よ! それにもし、私が負けたとしても天穹騎士団は負けてない!」
「はいー、負け惜しみー」
「もう、ずるい! 嘘ついて、実力隠してたんだもん!!」
「はいー、負け犬の遠吠えでーす」
「もう!!」
 
 フェリシアは俺をポカポカと叩いてくるので俺は逃げる。
 その俺たちを置いて、いつの間にかエドワードたちは姿を消していた。
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