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新作小話
ラーズの贈り物(11部50話を先にお読みください)
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「うーん……」
ある日のこと、神の国の自分の神殿にて、ラーズは腕を組んでうなっていた。
「うーん……」
神殿にやってきたサーラがラーズのそばにやってきて、ラーズの顔をのぞきこんだ。
「どしたん?」
「悩んでるんだ。何かすごい贈り物をしたいんだが、何がいいかなあと思ってさ」
「だれに?」
「あっちのガーベラだよ」
「あっちガーベラどこ?」
サーラは飛んでいこうとした。
「今はきてないよ」
「なんだあ」
サーラは戻ってきた。
「たまにはアッと驚く贈り物をしたいなあ」
「ばくだん?」
「え? 爆弾ってどこでそんな言葉を覚えたんだい?」
ラーズは驚いている。
「なんかパティがつくってた」
「パティってパティウスが? パティウスが爆弾を作ってた?」
それはそれでやばい話である。一体パティウスはどんな爆弾をつくってるのやら。そしてそれをどこで使う気なのか、気になるところである。なんとこの世界にも爆弾が存在していた。火薬を元にするものではなく、魔法の玉の爆弾である。
「パティにたのんでもらう?」
「いやいや、あっと驚かすってそういう意味で言ったんじゃないよ。爆弾をあげるのは嫌な相手だよ。好きな相手にはあげないんだよ」
「そーなの? じゃあね、これあげて。じゃまだから」
サーラは部屋の中にあるでかい棚をさしていた。
「もってくのが大変だよ」
「そうかな」
「何をあげたらガーベラが喜ぶか考えないと」
「へびよろこぶよ」
「確かに喜ぶだろうけど、神の国の蛇をもってくわけにもいかないからなあ……」
「サーラあげて」
「いや、だめだよ」
「あそびたいのにー」
サーラはぶーと頬を膨らませていた。
「ネコヘビとあそんでくるー」
サーラは神殿を出て行った。「ネコヘビ」とはハンターのことのようだ。
「うーん、どうしようかな」
ラーズは神殿の中をきょろきょろ見回している。せっかくだからゆりと仲良くした記念に何かあげたいと思ったのだった。何をあげても喜ぶとは思うが、たまにはハロルドにもできないような贈り物をしたい。
「そうだ。聖地の神殿の方にいろいろあったなあ。行ってみよう」
ラーズは人間界の聖地に行くことにした。
人間界の聖地にはいろいろな神殿があるが、ラーズの神殿も建っている。神殿の規模としては小さい方だが、ラーズの虹の神殿は、ラーズが生まれた湖のそばに建てられていた。神殿の中はカラフルで、女性信者が多く訪れている。各神殿の管理は神官達がしているが、ラーズの神殿では、カラフルな紐で編まれた飾り物が売られていた。神官たちが作った物である。
ラーズが神殿にやってくると、神官たちは大喜びした。今現在ラーズの神官は5人、最近代替わりしたばかりで皆若い女性で、熱狂的ラーズファンばかりである。
「やあみんな、元気かい?」
「ラーズ様ー!」
「お会いしたかったです!」
「みなさーん、なんとラーズ様が降臨されましたよー」
神官の言葉に、神殿に来ていた信者達は「ぎゃー!!!!」と黄色い悲鳴をあげていた。中には老齢にさしかかった女性もいる。
『みんなよくここまで来てくれたね。ありがとう』
ラーズはあえて神の言葉でみんなに話しかけ、微笑んだ。信者達はみんなトロ~ンとした顔つきになった。
「ラーズ様、すてきぃ!」
「生きててよかった……」
「ラーズ様が目の前にいるうう!」
ラーズは穏やかな笑みを浮かべて信者達の手を握ってあげた。
「ああ、いい匂い~」
「ラーズ様の香水もございます」
「買うう!」
「私も!」
ラーズはひとしきり笑顔を振りまいて裏に引っ込んだ。
「それで、今日はどのようなご用ですか?」
神官長の女性が聞いた。
「実は、人間からの貢ぎ物の部屋が見たくてさ。ガーベラに何か変わった贈り物がしたいんだ」
「そうなんですか。どうぞ」
神官長が貢ぎ物の部屋の鍵を開けた。中には金目のものがごっちゃりと山積みになっている。ちなみに食べ物の貢ぎ物は神官達で山分け、信者達の手作りの人形や飾り物などは、よっぽど気に入れば、ラーズが神の国に持っていくこともあるが、大半のものは大きな袋に入れてしまわれていて、神官達が定期的に整理している。なにせ相当な年月が経っているので、大昔にもらった変わったものもあるかもしれない。だが、あまりにもいろいろな物が天井まで山積みになっているので、物を部屋から出すのも大変である。
「大掃除しようと思ってはいるんですが……どれも捨てることはできないし、売るのももったいないしで……」
「そうだねえ。ガーベラが喜びそうなもの、何かないかなあ」
「おすすめはやはり宝石ですよ。中でも……ちょっと手伝って」
「はい」
他の女性神官もやってきた。
「時間がかかりますので、1時間ほどしてから来てください」
「わかったよ」
神官達は3人で部屋の中の物を廊下の外に出し、ラーズは神殿の外に出て湖の上を飛び、虹の柱を作ったりもしていた。この湖は、ラーズが生まれただけあって、雨がなくても虹ができる不思議な場所なのである。
たっぷり時間をつぶしてからラーズが神殿に戻ると、でかい宝石の塊のようなものが一つ置いてあった。全体的にくすんでいてあまり綺麗ではない。
「こんなのあったっけ?」
ラーズは覚えていないようだ。
「相当昔に献上されたもののようですよ。表に出すと盗まれるかもしれないのでずっとあの部屋の奥の方においてあったんです」
宝石はかなりほこりをかぶっていたようだ。神官達が軽く掃除をしたのだろうが、まだ汚かった。
「洗ったら綺麗になりますよ」
「時間がなかったのでざっとふいただけです。すいません」
「むこうで綺麗にしてもらうよ。ありがとう」
「また来てくださいね~」
神官達に見送られて、ラーズはずっしり重い宝石をもって神の国に帰った。
ラーズはそのままジェラルド工房に宝石の塊を持っていった。
「ジェラルド、悪いけどこれ、綺麗にしてくれる?」
ラーズはそれをそのままジェラルドに渡した。
「これは見事な原石ですね。いいですよ。ちょっと待っててください」
ジェラルドはそれを抱えて工房に持っていった。
職人達があわててやってきた。
「ラーズ様、そこでポーズ取っててください!」
「いいよ」
ラーズのスケッチ会が始まり、しばらくラーズがモデルをしていると、ジェラルドが戻ってきた。
「綺麗になりましたよ」
「おお!」
くすんでいた宝石は日の光で綺麗に輝いている。さきほどの物とはまるで別物である。
「おおー」
「綺麗ですね」
職人達も声をあげていた。
「しかも一色ではなくいろいろな色の宝石が混じってるなんて!」
「綺麗だね。ありがとう」
ラーズは宝石を抱えて自分の神殿に戻った。そしてクーリーフンに頼んでゆりに渡してもらったのだった。
クーリーフンが神の国に戻ると、ラーズは待ちかねていたかのように「彼女喜んだ?」と聞いた。
「驚いてたよ。自分で渡せばいいのに」
「余韻があった方がいいだろー彼女から私に会いたいと思うはず」
「また彼女のところに行く気なの?」
「うん。今度は二人っきりがいいな。あれはあれで興奮したが、ハロルドと彼女が仲良すぎて妬ける」
「ぷっ」
クーリーフンは吹き出している。
「ハロルドも本気で興奮してたよ。彼女もすごいよな」
「ガーベラだからそのくらいはね。次はグレンあたりが参戦しないかなあ」
クーリーフンはそういう期待をしているようだ。
「おいおい。グレンをあおるんじゃないぞ」
「へへー」
クーリーフンが笑っている。その時遠くで「ドン」と地鳴りのような音がして、二人は神殿の外を出た。
「何の音だろう?」
空を飛んで見てみると、遠くの方で煙りがあがっている。
「もしかしてパティウスの爆弾?」
「え? バクダン? なにそれ」
「パティウスが作ってたらしい。サーラが言ってた」
「なんでサーラが知ってるの?」
遠くの空を飛んでいく人影が見えて、その後もう一人飛んでいる者が見えた。どうやら最初に飛んで行ったのはパティウスで、次にグレンが追っていたようである。パティウスはものすごい速さで逃げていった。
煙はまだあがっている。
「確かにあれはあっと驚くな」
ラーズが苦笑しながら言っていたのだった。
ある日のこと、神の国の自分の神殿にて、ラーズは腕を組んでうなっていた。
「うーん……」
神殿にやってきたサーラがラーズのそばにやってきて、ラーズの顔をのぞきこんだ。
「どしたん?」
「悩んでるんだ。何かすごい贈り物をしたいんだが、何がいいかなあと思ってさ」
「だれに?」
「あっちのガーベラだよ」
「あっちガーベラどこ?」
サーラは飛んでいこうとした。
「今はきてないよ」
「なんだあ」
サーラは戻ってきた。
「たまにはアッと驚く贈り物をしたいなあ」
「ばくだん?」
「え? 爆弾ってどこでそんな言葉を覚えたんだい?」
ラーズは驚いている。
「なんかパティがつくってた」
「パティってパティウスが? パティウスが爆弾を作ってた?」
それはそれでやばい話である。一体パティウスはどんな爆弾をつくってるのやら。そしてそれをどこで使う気なのか、気になるところである。なんとこの世界にも爆弾が存在していた。火薬を元にするものではなく、魔法の玉の爆弾である。
「パティにたのんでもらう?」
「いやいや、あっと驚かすってそういう意味で言ったんじゃないよ。爆弾をあげるのは嫌な相手だよ。好きな相手にはあげないんだよ」
「そーなの? じゃあね、これあげて。じゃまだから」
サーラは部屋の中にあるでかい棚をさしていた。
「もってくのが大変だよ」
「そうかな」
「何をあげたらガーベラが喜ぶか考えないと」
「へびよろこぶよ」
「確かに喜ぶだろうけど、神の国の蛇をもってくわけにもいかないからなあ……」
「サーラあげて」
「いや、だめだよ」
「あそびたいのにー」
サーラはぶーと頬を膨らませていた。
「ネコヘビとあそんでくるー」
サーラは神殿を出て行った。「ネコヘビ」とはハンターのことのようだ。
「うーん、どうしようかな」
ラーズは神殿の中をきょろきょろ見回している。せっかくだからゆりと仲良くした記念に何かあげたいと思ったのだった。何をあげても喜ぶとは思うが、たまにはハロルドにもできないような贈り物をしたい。
「そうだ。聖地の神殿の方にいろいろあったなあ。行ってみよう」
ラーズは人間界の聖地に行くことにした。
人間界の聖地にはいろいろな神殿があるが、ラーズの神殿も建っている。神殿の規模としては小さい方だが、ラーズの虹の神殿は、ラーズが生まれた湖のそばに建てられていた。神殿の中はカラフルで、女性信者が多く訪れている。各神殿の管理は神官達がしているが、ラーズの神殿では、カラフルな紐で編まれた飾り物が売られていた。神官たちが作った物である。
ラーズが神殿にやってくると、神官たちは大喜びした。今現在ラーズの神官は5人、最近代替わりしたばかりで皆若い女性で、熱狂的ラーズファンばかりである。
「やあみんな、元気かい?」
「ラーズ様ー!」
「お会いしたかったです!」
「みなさーん、なんとラーズ様が降臨されましたよー」
神官の言葉に、神殿に来ていた信者達は「ぎゃー!!!!」と黄色い悲鳴をあげていた。中には老齢にさしかかった女性もいる。
『みんなよくここまで来てくれたね。ありがとう』
ラーズはあえて神の言葉でみんなに話しかけ、微笑んだ。信者達はみんなトロ~ンとした顔つきになった。
「ラーズ様、すてきぃ!」
「生きててよかった……」
「ラーズ様が目の前にいるうう!」
ラーズは穏やかな笑みを浮かべて信者達の手を握ってあげた。
「ああ、いい匂い~」
「ラーズ様の香水もございます」
「買うう!」
「私も!」
ラーズはひとしきり笑顔を振りまいて裏に引っ込んだ。
「それで、今日はどのようなご用ですか?」
神官長の女性が聞いた。
「実は、人間からの貢ぎ物の部屋が見たくてさ。ガーベラに何か変わった贈り物がしたいんだ」
「そうなんですか。どうぞ」
神官長が貢ぎ物の部屋の鍵を開けた。中には金目のものがごっちゃりと山積みになっている。ちなみに食べ物の貢ぎ物は神官達で山分け、信者達の手作りの人形や飾り物などは、よっぽど気に入れば、ラーズが神の国に持っていくこともあるが、大半のものは大きな袋に入れてしまわれていて、神官達が定期的に整理している。なにせ相当な年月が経っているので、大昔にもらった変わったものもあるかもしれない。だが、あまりにもいろいろな物が天井まで山積みになっているので、物を部屋から出すのも大変である。
「大掃除しようと思ってはいるんですが……どれも捨てることはできないし、売るのももったいないしで……」
「そうだねえ。ガーベラが喜びそうなもの、何かないかなあ」
「おすすめはやはり宝石ですよ。中でも……ちょっと手伝って」
「はい」
他の女性神官もやってきた。
「時間がかかりますので、1時間ほどしてから来てください」
「わかったよ」
神官達は3人で部屋の中の物を廊下の外に出し、ラーズは神殿の外に出て湖の上を飛び、虹の柱を作ったりもしていた。この湖は、ラーズが生まれただけあって、雨がなくても虹ができる不思議な場所なのである。
たっぷり時間をつぶしてからラーズが神殿に戻ると、でかい宝石の塊のようなものが一つ置いてあった。全体的にくすんでいてあまり綺麗ではない。
「こんなのあったっけ?」
ラーズは覚えていないようだ。
「相当昔に献上されたもののようですよ。表に出すと盗まれるかもしれないのでずっとあの部屋の奥の方においてあったんです」
宝石はかなりほこりをかぶっていたようだ。神官達が軽く掃除をしたのだろうが、まだ汚かった。
「洗ったら綺麗になりますよ」
「時間がなかったのでざっとふいただけです。すいません」
「むこうで綺麗にしてもらうよ。ありがとう」
「また来てくださいね~」
神官達に見送られて、ラーズはずっしり重い宝石をもって神の国に帰った。
ラーズはそのままジェラルド工房に宝石の塊を持っていった。
「ジェラルド、悪いけどこれ、綺麗にしてくれる?」
ラーズはそれをそのままジェラルドに渡した。
「これは見事な原石ですね。いいですよ。ちょっと待っててください」
ジェラルドはそれを抱えて工房に持っていった。
職人達があわててやってきた。
「ラーズ様、そこでポーズ取っててください!」
「いいよ」
ラーズのスケッチ会が始まり、しばらくラーズがモデルをしていると、ジェラルドが戻ってきた。
「綺麗になりましたよ」
「おお!」
くすんでいた宝石は日の光で綺麗に輝いている。さきほどの物とはまるで別物である。
「おおー」
「綺麗ですね」
職人達も声をあげていた。
「しかも一色ではなくいろいろな色の宝石が混じってるなんて!」
「綺麗だね。ありがとう」
ラーズは宝石を抱えて自分の神殿に戻った。そしてクーリーフンに頼んでゆりに渡してもらったのだった。
クーリーフンが神の国に戻ると、ラーズは待ちかねていたかのように「彼女喜んだ?」と聞いた。
「驚いてたよ。自分で渡せばいいのに」
「余韻があった方がいいだろー彼女から私に会いたいと思うはず」
「また彼女のところに行く気なの?」
「うん。今度は二人っきりがいいな。あれはあれで興奮したが、ハロルドと彼女が仲良すぎて妬ける」
「ぷっ」
クーリーフンは吹き出している。
「ハロルドも本気で興奮してたよ。彼女もすごいよな」
「ガーベラだからそのくらいはね。次はグレンあたりが参戦しないかなあ」
クーリーフンはそういう期待をしているようだ。
「おいおい。グレンをあおるんじゃないぞ」
「へへー」
クーリーフンが笑っている。その時遠くで「ドン」と地鳴りのような音がして、二人は神殿の外を出た。
「何の音だろう?」
空を飛んで見てみると、遠くの方で煙りがあがっている。
「もしかしてパティウスの爆弾?」
「え? バクダン? なにそれ」
「パティウスが作ってたらしい。サーラが言ってた」
「なんでサーラが知ってるの?」
遠くの空を飛んでいく人影が見えて、その後もう一人飛んでいる者が見えた。どうやら最初に飛んで行ったのはパティウスで、次にグレンが追っていたようである。パティウスはものすごい速さで逃げていった。
煙はまだあがっている。
「確かにあれはあっと驚くな」
ラーズが苦笑しながら言っていたのだった。
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