聖女の孫だけど冒険者になるよ!

春野こもも

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第3章

37.再会とケントの恋 <ケント視点>

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 ノイン達と戦った日の翌朝、朝飯を食べたあと、俺達は約束通り酒場『翻車魚まんぼう隠家かくれが』へリタさんを迎えに行く。

 酒場に到着すると、リタさんは既に出かける準備を終えていた。その横ではトーマスがあからさまに不安そうな表情で彼女を見つめている。よほど心配なんだろう。

「トーマスさん、そんなに心配しなくても、彼女はちゃんとここに無事に連れて帰ってきますから。」

 俺がそう言うと、トーマスは安心したように頷く。

「あ、ああ、よろしく頼む。」

「もう、心配性なんだから、トーマスは。ふふ。」

 はいはい、ご馳走様です。腹いっぱいです。
 セシルは二人の様子に見惚れているようだ。セシル、恋愛なんてお前にはまだ早い。兄ちゃんは許さないぞ。

 俺達は心配のあまり若干挙動不審なトーマスを酒場に置いて、リタさんを連れアンナさんと出会った場所へ向かう。
 ノイン達と戦ったのがロシュトックの東の海岸なら、アンナさんと出会ったのは町の漁港を挟んで反対側の西側の海岸になる。

 俺達は入り組んだ路地を通りながら30分程歩き、ようやく西側の海岸に到着する。
 前方を見ると、不安げにこちらを見ているアンナさんの姿が視界に入る。今日も女神は美しい。俺は逸る気持ちを抑えつつ、アンナさんへ向かって歩を進める。

「アンナ姉さま!」

「リタ!!」

 砂浜に入ったところでリタさんがアンナさんに駆け寄っていく。2人の表情は喜びに満ち溢れ、涙を流しながら、2年間の空白を埋めるかのようにお互いに堅く抱擁を交わしている。
 当然と言えば当然だが、俺達のことなど全く視界に入っていないようだ。俺とセシルはそんな二人を静かに見守る。
 しばらくするとアンナさんがこちらを見て俺達に声をかける。

「ケントさん、セシルさん、妹と会わせていただきありがとうございます。こうして元気な姿を見れて、私も国へ帰って父や姉妹に笑顔で報告できます。」

 アンナさんが俺達に深く頭を下げると、その隣でリタさんもそれに倣い頭を下げる。こうして見ると二人の顔はよく似ている。
 そろそろ連絡先とか聞いて再会の約束なんかしたいなーと思っていると、セシルがアンナさんに向かって話しかける。

「アンナさん、昨日は危ないところを助けていただいてありがとうございました。あの時貴女は僕に治癒魔法をかけてくれたんですか?」

 セシルの問いかけにアンナさんがゆっくりと頷く。

「ええ、だって貴女たちはリタと私の恩人ですもの。それにあのままでは町が壊滅してしまうと思いましたし、精霊様の怒りを鎮めるにはセシルさんの意識を回復しなくてはと思ったのです。……貴女は精霊様のいとし子だったのですね。」

 え!? 精霊って、他はセシルのばーちゃんとエルフ族しか知らないんじゃないの?
 アンナさんの言葉を聞いてセシルは少し考えた後、再び問いかける。

「……はい、多分。……アンナさん、貴女はいったい何者なんですか? 精霊の存在を知る者は限られているはずです。」

「ええ、地上ではそうでしょうね。」

 アンナさんの答えに俺は唖然とする。なんだ、地上って……?
 アンナさんは言葉を続ける。

「……私たちは海底にある人魚の国の者なのです。私の国の者は皆、精霊様の存在を知っています。」

「人……魚………。」

 俺は思わず驚きのあまり呟いてしまう。人魚って童話の住人じゃなかったのか。
 アンナさんはゆっくりと俺に頷き、話を続ける。

「ええ、黙っていてごめんなさい。私たちは本当は人間にその存在を知られてはいけないのです。それなのに妹のリタはたまたま遊びに来ていたこの海岸で、愛する人と出会った。」

「姉さま……。」

 リタさんが申し訳なさそうにアンナさんを見つめる。アンナさんはそんなリタさんを愛おしげに見つめながら、さらに話を続ける。

「妹はわが国の魔女に仮初めの足をもらい、仮初めの人間として男に会いに行くようになりました。ですがその魔術は、かけられた人魚の恋が成就しなければ海の泡となって消えてしまうという、呪いのようなものでした。私たちがそれを知ったのは妹が国を出ると言っていなくなった後……。私たち姉妹は必死で妹を探しました。どこかで泡になってしまっているのじゃないかと。ちなみに私のこの姿は幻影ミラージュの魔法によるもので、本当に足が生えている訳ではありません。」

「なるほど……。それでリタさんが生きているかどうか・・・・・・・・・を知りたいと言ったんですね。リタさんの見た目が・・・・18才というのはどういう意味ですか?」

 セシルが疑問に思っていたであろうことを問いかけると、アンナさんは驚愕の事実を述べる。

「実は私は220才、リタは182才なのです。人魚族は人間に比べると長寿ですから。」

「!!」

 俺は愕然とする。俺の10倍は生きているなんて……。だ、だが、愛があれば年の差なんて……。
 俺がそんなことを考えていると、アンナさんがさらに話を続ける。

「でも今日こうして会えて分かりました。リタの恋は成就したのですね……。呪いは解け、リタは本物の人間になることができたようです。リタのつがいには感謝しなければいけませんね。本当によかった……。もしリタが死んでいたら、私も死を覚悟で魔術をかけてもらい、その男を殺しにいっていたでしょう。」

 物騒なアンナさんの言葉を聞いてリタさんが慌てて話し始める。

「アンナ姉さま、彼は、トーマスはとても愛情深い人なの。最初は一目惚れだったけど、彼を知っていくうちに段々その心が気高く美しいものだと分かって彼を深く愛するようになったの。あの呪いは、恋が成就するまでに人魚であることを告白すると泡になってしまうというものだったから、心に秘密を抱えたまま彼の愛を求めるのはとてもつらかった……。けれど私が何かを隠しているのを気づいていながら、彼はそんな私を受け入れてくれたの。」

 リタさんがそう言うと、アンナさんは頷いて、「優しい人なのね。」と言ってリタさんに微笑む。
 突然セシルがアンナさんに尋ねる。

「たとえ人間になっても、リタさんがトーマスさんよりも長い寿命があるのなら、トーマスさんが老いて亡くなったあと、彼女は孤独になるんじゃないんですか?」

 セシルの問いにアンナさんは首を左右に振って答える。

「いいえ、その心配はありません。本物の人間になったリタは、その時から人間と同じ時を刻み、伴侶とともに年を取り、彼と同じように老いて死ぬでしょう。寂しいけれど、今ではそれがリタの幸せだと分かっています。だから私たちはリタがその生を終えるまで彼女の幸せを見守り続けるわ……。」

「姉さま……。」

 リタさんもアンナさんと同じような真珠の涙をこぼす。
 俺は思い切ってアンナさんに告げる。

「アンナさん、俺は貴女のことが、」

 アンナさんは「しーっ」っと言って微笑み、左の人差し指を自分の唇に、右の人差し指をケントの唇に当てる。

「ケントさん、貴方の気持ちはとても嬉しいです。……妹は愛のために私たち姉妹や父、そして国、その全てを捨てました。そして運よくその愛を成就することができました。けれど貴方には捨てることのできない大切なものがあるのではないですか? それを全て捨てて私との愛だけに生きることができますか?」

「それは……。」

「先ほども言ったとおり、私たち人魚が人間と結ばれるためには、呪いの魔術を受けなくてはなりません。そのために私は全てを捨てなくてはならないでしょう。そしてその愛が果たされなければ命を失ってしまうのです。私には全てを捨てる覚悟はありません。そして貴方には申し訳ないのですが、それに匹敵する愛も持ち合わせていません。」

 確かに俺は今の生活を捨てることはできない。命だって狙われているし、同じところに住み続けることもできない。やらなければいけないことだってある。例えそれらが全て終わっても、俺は大切なものを……手放すことはできないんじゃないか……。
 俺は俯いてしばらく考え、結論づける。無理だ……俺の恋は終わった……。

「すみません、貴女の言う通りです。……でも、俺は貴女のことが……好きでした!」

 ようやく過去形で告げることができた俺の気持ちを聞いて、アンナさんはふっと優しい微笑みを浮かべ、俺の頬にゆっくりと口づけた。

「……!!」

 どう見てもご褒美です。本当にありがとうございました。
 アンナさんの貴い口づけを反芻し、俺は心の中で血の涙を流す。

「ケント……。」

 セシルが俺の背中にぽんっと手を置き、こくんと頷くと哀れむような眼差しで俺を見る。やめろ、そんな目で俺を見るなあーーー!

「セシルさん、よかったらこれを……。」

 アンナさんの手からセシルに渡されたのは、深い海の青色をした水晶が嵌め込んである腕輪だ。
 セシルはそれを受け取り、アンナさんに尋ねる。

「これは?」

「これは私たちの国を守る海の精霊様と交信できる魔道具です。もし、海で何か困ったことがあったらこれで話しかけてください。セシルさんなら交信できるはずです。」

「……こんな貴重なものをいただいていいのですか?」

「ええ、貴女たちは私の望みを叶えてくださいました。リタがいなくなって私たちの国は灯が消えたようでした。リタが幸せに生きているという私の報せによって、きっと国は明るさを取り戻すでしょう。貴女たちには感謝してもしきれません。それに私たちはいつも精霊様の傍にいますもの。精霊様にも貴女に渡すように言われたのです。」

「そうだったんですね。ありがとうございます。」

 セシルは一礼して腕につける。セシルが上腕部まで腕輪を上げたところで、不思議なそれは腕に合わせてシュルルとサイズを変え、ピタリと収まった。

 アンナさんはリタさんと向き合い、その海の青の瞳いっぱいに涙をため、笑みを浮かべながら言葉を紡ぐ。

「リタ……。もうきっと貴女と会うことはないけれど、私たちはいつでも見守っているからどうか愛する人と幸せに暮らしてね……。愛しているわ。」

「アンナ姉さま……。わたしもいつまでも皆を愛しています。姉さまたちもどうかいつまでも健やかにお過ごしください。お父さまにもどうかお体を大切にとお伝えください。私は幸せに暮らしています、と。」

 二人は頷きあい、お互いに涙を流しながら再び堅い抱擁を交わす。そしてアンナさんは俺たちに笑いながら手を振ると、小さな水しぶきを上げて海へと帰っていった。俺は彼女が消えていった水平線をずっと見ていた。さようなら、俺の女神……。

「さ、ケント。酒場に戻ろう。」

 30分程経っただろうか。セシルがゆっくりと口を開く。ああ、気を使わせてしまったか。
 俺はセシルの方へと緩慢に振り向いて頷き、重い足取りで『翻車魚まんぼう隠家かくれが』へと戻ることにした。



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