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第二部
第32話 灰色の世界(レクター・ウェイン視点)
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「え? 別れた?」
騎士団の食堂。離れたテーブルから流れてきた声がやけにくっきり耳に響いて、どういうわけかぎくりとした。
向かいに座るラッドはまったく気に止めていない風に、栗とクリームがたっぷり載ったパンケーキを切り分けている。
「――令嬢、ようやく元気になったそうじゃないか、良かったな。今日もこれから行くのか?」
ああ、と頷く。
あの日の、白い顔、濡れた髪、ロンサール伯爵の腕の中で力を失くしていた人形のような姿を思い出して、胸がまた押し潰されそうになる。ゆっくりと長く息を吐き、もう大丈夫だ、と自身に言い聞かせる。
――そうだ、彼女は無事だった。もう大丈夫だ。
「おまえ……またかー……」
ちらと視線を送ると、思った通り、黒鷹の紋章が描かれた巨大なタペストリーのすぐ前のテーブルで、向かい合うエルガーから呆れ視線を向けられているのは、アイルだ。
しょうがなかったんだ――と言ってフォークを口に運ぶアイルの顔は平然としていて、別離について語る悲壮感らしきものは少しもない。
「――大好きです、お付き合いしてくださいって言われたときには、俯いてぽっと頬染めて、睫毛長くて柔らかそうで、女の子ってかわいいなー、と思うじゃん? で、うんいいよー、と思うじゃん?」
「……え? まあ……そう……? かな……?」
「だけど、付き合ってしばらくすると、あなたのここが冷たい、ここをもっとこうして欲しいとか言われ始めて、気の添うようにやってみるけど、最終的には思ってたのと違ったから別れてください、って言われて、うんわかったいいよ、って言って、そうしていつも、俺の短い恋は終わってしまう」
エルガーは半眼である。
「……へー……。……ま、それでいいならいいけど、今回はまた、絶妙に短かったな……いや、まあ、別にいいならいいんだけど」
アイルは特に気にしている風でもなく、普段と変わらずからりと乾いた声を出す。
「女の子はほら、夢見る生き物じゃん? 理想と現実は違うんだろう」
エルガーが軽く肩を竦めた。
「お前ももっとこう――真実の愛、的なものを追い求めたらどうじゃん? カマユーとか、俺みたく」
冗談めいた抑揚をつけて胸を張るエルガーの言葉に、アイルがフォークを持つ手を止めた。宙を見て考える素振りをして、いやいや、と首を振る。
「そういうの、大変そうじゃん? 俺はいいわ」
あっそ、とエルガーが今度は大袈裟に肩を竦めて見せて、その会話はしまいになったらしい。
食堂の今日の日替りメニューであるコロニアル風チキンステーキのソースの話題へと移る。
――そういう、恋の終わり方もあるのか……。
不思議に思う。別れを切り出されて、あっさりと了承して終わる?
自分には、絶対に無理だな――
彼女は、この人生の光で、色彩で、道しるべだから。
失くしたら、生きていけない。
§
「ウェイン卿、毎日来てくださっていたのに、いつも眠ってしまっていて……申し訳ありませんでした……」
私室の長椅子の前に立ち、申し訳なさそうにリリアーナは頭を下げる。
薄い色のドレスを着た姿は、羽根を閉じた天使にしか見えない。
頬に赤みが差している。元気そうな姿に、胸の深い部分から安堵の息が零れた。
ここのところ、いつも具合が悪そうか眠っているかで、こうして落ち着いて話せるのは久しぶりだった。
「体調は、いかがですか?」
「はい。お陰さまで熱も下がって、食欲もあります。……あの、この度は、とんだご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした」
またぺこりと謝る。
その頬に、手を伸ばした。見た目は陶器のような肌は、触れるとしっとりと吸いついた。
心地好い感触が掌に伝わると同時に、透き通る肌はぽうっと朱に染まってゆく。
愛おしさと、夢見心地の幸福感が押し寄せる。
「いえ、俺が、……初めから招待していれば、こんなことには――」
「いいえ! わたしが全部、いけませんでした。あの日、ウェイン卿、公開演習に出られなかったんでしょう? 台無しにしてしまいましたよね……」
細い首が項垂れると、絹のように輝く黒髪がさらりと肩から落ちる。どうやら、本気で落ち込んでいるようである。
「令嬢のせいじゃありません。それに、公開演習なんて別に出ても出なくても構いませんから」
リリアーナに向けて、微笑みかける。
「そんなことより、令嬢の体調が戻ったら、気分転換にどこか出掛けましょう。どこか、行ってみたい場所は――」
医務官の話では、小食と運動不足は身体に良くない、ということだった。
あんな思いは懲り懲りだった。命よりも大事なものが、繊細な硝子細工のよう。心臓に悪すぎる。
これからはできるだけ、傍にいて――
「いいえ、結構です」
「そう…………は?」
リリアーナは、一つの瑕疵もない美しい顔を上げた。柔らかく、優しい笑顔。
「いいえ、結構です。どこにも出掛けません。ウェイン卿は、お仕事に専念なさってください」
ほんのりと覚える違和感に、胸がざわめく。
「……いや、仕事の方は、何とでもなりますから。これからは――」
リリアーナは、月の輝きすら霞ませる微笑を浮かべる。
「いいえ。わたくしのことは、どうかお気遣いありませんように」
あれ?
頬から顎の輪郭に掌を這わせると、くすぐったそうに首を傾げる。愛おしくて、もっと触れたくて、たまらなくなって顔を近づけると、天使の顔はすいっと逸らされた。
「風邪がうつるといけません」
すうっと胸が冷える。
ゆっくりと、噛み締めるように訊いてみる。
「あの……もしかして、何か、お怒りでしょうか……?」
俺はこれまでの人生、おおよそ他人の感情などを想像してみたことがない。しかし……
――考えてみる。
俺はマージョリー・ダーバーヴィルズを許すまじと思っているが、この俺にも責任はかなりあるわけで、彼女がそれを同罪とは言わないまでも不満と受け止めていている可能性はゼロではないわけであるからして――
とんでもない――という風に天使は首をふる。
「まさか、わたしが怒る理由なんか、あるわけありません」
「……そう?……ですか?」
リリアーナは穏やかに微笑む。
「はい、いつも通りです」
その美しい微笑は、お人形のように、どこか作り物めいていて――まるで、本当の笑顔じゃないみたいで――
「……ら、来年の、公開演習には、必ずお呼び――」
まるでぎょっとしたように目を瞠って、頬を上気させて、リリアーナは両手を胸の前で振った。
「とんでもありません! 絶っ対に、結構ですから!」
胸の前に広げたリリアーナの左手。薬指に――
――指輪が、なかった。
銀細工の安物、だけど、
『ウェイン卿の瞳みたいに、綺麗な色。一生、大切にします』
あれ……?
――なぜ?
§
ロンサール伯爵邸の書斎。
目の前の机に置かれているハンカチは、引き裂かれていた。RとWの刺繍――俺のイニシャルだろう――。
『まだ途中ですから』
頬を染めて、一針一針差しながら、嬉しそうに笑っていた。
「――で、侍女の話では、令嬢が『もういらないから捨てた』みたいなことを言ったって。でも、そんなはずないし、たぶん誰か庇ってますよね?」
カマユーの訝しげな声が、どこか遠く聞こえる。エルガーとアイルが眉根を寄せる。
「なんだ? 嫌な感じだな……心当たり――あれ? ウェイン卿? 聞いてます?」
「ん? どうしました?」
――もう、いらないから?
――いいえ、わたくしのことは、お気遣いありませんように?
あれ?
俺、間違えたか?
公開演習、変な嫉妬心起こして招待しなかったから?
そのせいで、危ない目に遭わせたから?
仕事ばっかりで、会いに来るのが足りなかった?
もしかして、まさか、憧れの騎士と……会えた――とか?
さっきの、食堂でのアイルの声が甦る。
『思ってたのと違う――って言われるんだよ。――理想と現実は違うんだろう』
ふうわり、ふわりと、それは粉雪のように降ってくる。
『ウェイン卿のことが、大好きです』
色と光が溢れていた世界に。
『もう、いらないから捨てたの――』
ふうわり、ふわりと灰が舞う。
――灰色に、世界を覆う。
騎士団の食堂。離れたテーブルから流れてきた声がやけにくっきり耳に響いて、どういうわけかぎくりとした。
向かいに座るラッドはまったく気に止めていない風に、栗とクリームがたっぷり載ったパンケーキを切り分けている。
「――令嬢、ようやく元気になったそうじゃないか、良かったな。今日もこれから行くのか?」
ああ、と頷く。
あの日の、白い顔、濡れた髪、ロンサール伯爵の腕の中で力を失くしていた人形のような姿を思い出して、胸がまた押し潰されそうになる。ゆっくりと長く息を吐き、もう大丈夫だ、と自身に言い聞かせる。
――そうだ、彼女は無事だった。もう大丈夫だ。
「おまえ……またかー……」
ちらと視線を送ると、思った通り、黒鷹の紋章が描かれた巨大なタペストリーのすぐ前のテーブルで、向かい合うエルガーから呆れ視線を向けられているのは、アイルだ。
しょうがなかったんだ――と言ってフォークを口に運ぶアイルの顔は平然としていて、別離について語る悲壮感らしきものは少しもない。
「――大好きです、お付き合いしてくださいって言われたときには、俯いてぽっと頬染めて、睫毛長くて柔らかそうで、女の子ってかわいいなー、と思うじゃん? で、うんいいよー、と思うじゃん?」
「……え? まあ……そう……? かな……?」
「だけど、付き合ってしばらくすると、あなたのここが冷たい、ここをもっとこうして欲しいとか言われ始めて、気の添うようにやってみるけど、最終的には思ってたのと違ったから別れてください、って言われて、うんわかったいいよ、って言って、そうしていつも、俺の短い恋は終わってしまう」
エルガーは半眼である。
「……へー……。……ま、それでいいならいいけど、今回はまた、絶妙に短かったな……いや、まあ、別にいいならいいんだけど」
アイルは特に気にしている風でもなく、普段と変わらずからりと乾いた声を出す。
「女の子はほら、夢見る生き物じゃん? 理想と現実は違うんだろう」
エルガーが軽く肩を竦めた。
「お前ももっとこう――真実の愛、的なものを追い求めたらどうじゃん? カマユーとか、俺みたく」
冗談めいた抑揚をつけて胸を張るエルガーの言葉に、アイルがフォークを持つ手を止めた。宙を見て考える素振りをして、いやいや、と首を振る。
「そういうの、大変そうじゃん? 俺はいいわ」
あっそ、とエルガーが今度は大袈裟に肩を竦めて見せて、その会話はしまいになったらしい。
食堂の今日の日替りメニューであるコロニアル風チキンステーキのソースの話題へと移る。
――そういう、恋の終わり方もあるのか……。
不思議に思う。別れを切り出されて、あっさりと了承して終わる?
自分には、絶対に無理だな――
彼女は、この人生の光で、色彩で、道しるべだから。
失くしたら、生きていけない。
§
「ウェイン卿、毎日来てくださっていたのに、いつも眠ってしまっていて……申し訳ありませんでした……」
私室の長椅子の前に立ち、申し訳なさそうにリリアーナは頭を下げる。
薄い色のドレスを着た姿は、羽根を閉じた天使にしか見えない。
頬に赤みが差している。元気そうな姿に、胸の深い部分から安堵の息が零れた。
ここのところ、いつも具合が悪そうか眠っているかで、こうして落ち着いて話せるのは久しぶりだった。
「体調は、いかがですか?」
「はい。お陰さまで熱も下がって、食欲もあります。……あの、この度は、とんだご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした」
またぺこりと謝る。
その頬に、手を伸ばした。見た目は陶器のような肌は、触れるとしっとりと吸いついた。
心地好い感触が掌に伝わると同時に、透き通る肌はぽうっと朱に染まってゆく。
愛おしさと、夢見心地の幸福感が押し寄せる。
「いえ、俺が、……初めから招待していれば、こんなことには――」
「いいえ! わたしが全部、いけませんでした。あの日、ウェイン卿、公開演習に出られなかったんでしょう? 台無しにしてしまいましたよね……」
細い首が項垂れると、絹のように輝く黒髪がさらりと肩から落ちる。どうやら、本気で落ち込んでいるようである。
「令嬢のせいじゃありません。それに、公開演習なんて別に出ても出なくても構いませんから」
リリアーナに向けて、微笑みかける。
「そんなことより、令嬢の体調が戻ったら、気分転換にどこか出掛けましょう。どこか、行ってみたい場所は――」
医務官の話では、小食と運動不足は身体に良くない、ということだった。
あんな思いは懲り懲りだった。命よりも大事なものが、繊細な硝子細工のよう。心臓に悪すぎる。
これからはできるだけ、傍にいて――
「いいえ、結構です」
「そう…………は?」
リリアーナは、一つの瑕疵もない美しい顔を上げた。柔らかく、優しい笑顔。
「いいえ、結構です。どこにも出掛けません。ウェイン卿は、お仕事に専念なさってください」
ほんのりと覚える違和感に、胸がざわめく。
「……いや、仕事の方は、何とでもなりますから。これからは――」
リリアーナは、月の輝きすら霞ませる微笑を浮かべる。
「いいえ。わたくしのことは、どうかお気遣いありませんように」
あれ?
頬から顎の輪郭に掌を這わせると、くすぐったそうに首を傾げる。愛おしくて、もっと触れたくて、たまらなくなって顔を近づけると、天使の顔はすいっと逸らされた。
「風邪がうつるといけません」
すうっと胸が冷える。
ゆっくりと、噛み締めるように訊いてみる。
「あの……もしかして、何か、お怒りでしょうか……?」
俺はこれまでの人生、おおよそ他人の感情などを想像してみたことがない。しかし……
――考えてみる。
俺はマージョリー・ダーバーヴィルズを許すまじと思っているが、この俺にも責任はかなりあるわけで、彼女がそれを同罪とは言わないまでも不満と受け止めていている可能性はゼロではないわけであるからして――
とんでもない――という風に天使は首をふる。
「まさか、わたしが怒る理由なんか、あるわけありません」
「……そう?……ですか?」
リリアーナは穏やかに微笑む。
「はい、いつも通りです」
その美しい微笑は、お人形のように、どこか作り物めいていて――まるで、本当の笑顔じゃないみたいで――
「……ら、来年の、公開演習には、必ずお呼び――」
まるでぎょっとしたように目を瞠って、頬を上気させて、リリアーナは両手を胸の前で振った。
「とんでもありません! 絶っ対に、結構ですから!」
胸の前に広げたリリアーナの左手。薬指に――
――指輪が、なかった。
銀細工の安物、だけど、
『ウェイン卿の瞳みたいに、綺麗な色。一生、大切にします』
あれ……?
――なぜ?
§
ロンサール伯爵邸の書斎。
目の前の机に置かれているハンカチは、引き裂かれていた。RとWの刺繍――俺のイニシャルだろう――。
『まだ途中ですから』
頬を染めて、一針一針差しながら、嬉しそうに笑っていた。
「――で、侍女の話では、令嬢が『もういらないから捨てた』みたいなことを言ったって。でも、そんなはずないし、たぶん誰か庇ってますよね?」
カマユーの訝しげな声が、どこか遠く聞こえる。エルガーとアイルが眉根を寄せる。
「なんだ? 嫌な感じだな……心当たり――あれ? ウェイン卿? 聞いてます?」
「ん? どうしました?」
――もう、いらないから?
――いいえ、わたくしのことは、お気遣いありませんように?
あれ?
俺、間違えたか?
公開演習、変な嫉妬心起こして招待しなかったから?
そのせいで、危ない目に遭わせたから?
仕事ばっかりで、会いに来るのが足りなかった?
もしかして、まさか、憧れの騎士と……会えた――とか?
さっきの、食堂でのアイルの声が甦る。
『思ってたのと違う――って言われるんだよ。――理想と現実は違うんだろう』
ふうわり、ふわりと、それは粉雪のように降ってくる。
『ウェイン卿のことが、大好きです』
色と光が溢れていた世界に。
『もう、いらないから捨てたの――』
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