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証拠は揃った!
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地下牢。
唐揚げの皿を前に、汗と涙とよだれにまみれた囚人が、必死に声を張り上げていた。
「言うっ! 言うからぁぁぁ!!」
アドレが冷たい声で問いかける。
「……王子暗殺計画。黒幕は誰だ」
「そ、それは……!」
囚人は喉を鳴らし、震える声で吐き出した。
「側妃につく者どもだ! 惻妃一族……そして、財務省の役人……取り込まれた貴族が数名……!」
殿下の目が細められる。
「……やはりか」
「た、ただし……っ!」
囚人は必死に手を伸ばす。
「側妃の息子――イアン殿下は……本当に知らない!
計画の中枢にいるのは、大人たちだけだ……! イアンは……何も……っ!」
最後の言葉は、唐揚げを喉に押し込みながら、涙と共に吐き出された。
⸻
静まり返る牢内。
殿下は深く息を吐き、低く呟いた。
「……イアンを駒にしていたか」
フリードリヒは腕を組み、冷ややかに言った。
「子を守るふりをして利用する。卑劣なことだな」
アドレは唐揚げの皿を片付けながら、表情を変えずに言う。
「……だが、証拠はそろった」
囚人が泣き叫びながら全てを吐き出し、牢内が静まった。
殿下は重く頷き、フリードリヒが記録をとる。
アドレは淡々と、机の上に残された唐揚げの皿を見やった。
「……もう不要だな」
黒猫ポーチを広げ、皿の端をちょいと口に触れさせる。
するり、と音もなく吸い込まれた。
次々と皿、骨、油染みた紙まで――何も残らず、跡形もなく消えていく。
「……」
殿下はその光景を見つめ、しばし絶句した。
フリードリヒがふっと笑う。
「証拠隠滅まで可能とは……。やはり有能なポーチだな」
アドレは無表情のままポーチを閉じた。
「汚れ物はこれで処理できる。……食事にも、尋問にもな」
牢の空気が重苦しくなる中、影たちだけが小声で囁いた。
「……また唐揚げ……」
「持ち帰りたい……」
(アドレの告白)
王宮での任務が一区切りつき、屋敷に戻った夜。
私は台所で、いつものように枝豆をゆでていた。
「よし、塩加減は完璧……!」
ひとり満足げに頷いていたそのとき、背後から声がした。
「……メイベル」
「ひゃっ!? アドレ様! い、いま豆に夢中で……」
振り返ると、彼はいつもどおりの無表情で立っていた。
けれど、その瞳だけがどこか柔らかい光を帯びていた。
「……お前は知らないだろうが」
「え?」
「王宮でも、牢でも、殿下の執務室でも。
お前の作ったものが、どれほど役立っているか。
唐揚げも、ポーチも、枝豆も。
知らず知らずのうちに……お前は皆を助けている」
私は思わずぽかんと口を開けた。
「えっ、えっ……私、ただ……料理してただけで……」
アドレは静かに歩み寄り、真っ直ぐに見つめて言った。
「……有能な妻に、惚れたよ」
「っ……!!」
胸が一気に熱くなり、顔が真っ赤になる。
「な、な、なに言って……豆が……豆が茹ですぎちゃいます……!」
慌てて鍋を振る私を、アドレは無表情のまま見守っていた。
けれど、その口元はかすかに緩んでいた。
唐揚げの皿を前に、汗と涙とよだれにまみれた囚人が、必死に声を張り上げていた。
「言うっ! 言うからぁぁぁ!!」
アドレが冷たい声で問いかける。
「……王子暗殺計画。黒幕は誰だ」
「そ、それは……!」
囚人は喉を鳴らし、震える声で吐き出した。
「側妃につく者どもだ! 惻妃一族……そして、財務省の役人……取り込まれた貴族が数名……!」
殿下の目が細められる。
「……やはりか」
「た、ただし……っ!」
囚人は必死に手を伸ばす。
「側妃の息子――イアン殿下は……本当に知らない!
計画の中枢にいるのは、大人たちだけだ……! イアンは……何も……っ!」
最後の言葉は、唐揚げを喉に押し込みながら、涙と共に吐き出された。
⸻
静まり返る牢内。
殿下は深く息を吐き、低く呟いた。
「……イアンを駒にしていたか」
フリードリヒは腕を組み、冷ややかに言った。
「子を守るふりをして利用する。卑劣なことだな」
アドレは唐揚げの皿を片付けながら、表情を変えずに言う。
「……だが、証拠はそろった」
囚人が泣き叫びながら全てを吐き出し、牢内が静まった。
殿下は重く頷き、フリードリヒが記録をとる。
アドレは淡々と、机の上に残された唐揚げの皿を見やった。
「……もう不要だな」
黒猫ポーチを広げ、皿の端をちょいと口に触れさせる。
するり、と音もなく吸い込まれた。
次々と皿、骨、油染みた紙まで――何も残らず、跡形もなく消えていく。
「……」
殿下はその光景を見つめ、しばし絶句した。
フリードリヒがふっと笑う。
「証拠隠滅まで可能とは……。やはり有能なポーチだな」
アドレは無表情のままポーチを閉じた。
「汚れ物はこれで処理できる。……食事にも、尋問にもな」
牢の空気が重苦しくなる中、影たちだけが小声で囁いた。
「……また唐揚げ……」
「持ち帰りたい……」
(アドレの告白)
王宮での任務が一区切りつき、屋敷に戻った夜。
私は台所で、いつものように枝豆をゆでていた。
「よし、塩加減は完璧……!」
ひとり満足げに頷いていたそのとき、背後から声がした。
「……メイベル」
「ひゃっ!? アドレ様! い、いま豆に夢中で……」
振り返ると、彼はいつもどおりの無表情で立っていた。
けれど、その瞳だけがどこか柔らかい光を帯びていた。
「……お前は知らないだろうが」
「え?」
「王宮でも、牢でも、殿下の執務室でも。
お前の作ったものが、どれほど役立っているか。
唐揚げも、ポーチも、枝豆も。
知らず知らずのうちに……お前は皆を助けている」
私は思わずぽかんと口を開けた。
「えっ、えっ……私、ただ……料理してただけで……」
アドレは静かに歩み寄り、真っ直ぐに見つめて言った。
「……有能な妻に、惚れたよ」
「っ……!!」
胸が一気に熱くなり、顔が真っ赤になる。
「な、な、なに言って……豆が……豆が茹ですぎちゃいます……!」
慌てて鍋を振る私を、アドレは無表情のまま見守っていた。
けれど、その口元はかすかに緩んでいた。
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