『愛に狂う香り、愛を選ぶ香り ――離婚から始まる私の香り』

夢窓(ゆめまど)

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クリスティン消失――ジャルディン、発狂暴走

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黒い香煙の中。
ジャルディンは静かにクリスティンの気配を探っていた。

その香り。
あの花のような、自由の香り。
魂の核。

それが——突然、ふっと消えた。

「……クリスティン?」

彼の目がゆっくり見開かれる。

再度、意識を集中させる。

何度も、何度も。

しかし——

どこにもいない。

クリスティンの香りが世界から“消えた”。

「……消えた……?
そんな……そんなはず……ない……」

胸がぎゅうっと収縮する。
呼吸が止まった。

そして次の瞬間——

ジャルディンの世界が、崩れた。



■ 発狂の始まり

「いやだ……いやだ、嫌だ……!!」

壁に香煙が爆発し、黒い霧が飛び散る。

「クリスティン……どこなの……?
どこに行ったの?
誰といるの……?」

声が震え、怒りが混ざり、狂気が燃え上がる。

“護符”の香りが微かに残っている。

男の香り。
ルシオン。

「……あいつと……逃げた……?」

黒い霧が震え、部屋の空気が歪む。

ジャルディンの瞳は、狂気で赤く濡れたように見えた。



■ 怒りの矛先は王家へ

そのとき、王城から漂う香りがわずかに流れ込んだ。

重い、権力の匂い。

そして——
ジャルディンの鼻に刺さる、忌々しい気配。

「……王家……?」

彼らの会議の“残り香”が微かに残っていた。

クリスティンを囮にしろ
捕縛せよ
ジャルディンを利用しろ

その言葉の残香を嗅いだ瞬間——
ジャルディンの理性は完全に崩れた。

「俺を……捕獲?
牢で……使う……?」

喉の奥から、獣のような笑いが漏れた。

「……王家が……原因か」

「クリスティンを奪ったのは……お前たちか……?」

目が血走る。



■ 狂気の宣言

ジャルディンは立ち上がった。

黒い霧が彼の足元から噴き出し、
床の石を焦がしていく。

「いいだろう……王家」

「俺を捕まえる?
閉じ込める?
道具にする?」

ふっと笑った。

「——なら、国ごと壊してやる」

香煙が渦を巻き、
天井へと立ち昇る。

「クリスティンを奪った罪……
国そのものに払わせる」

声が震えていた。

怒りではない。

“愛を奪われた痛み”が、彼を狂わせていた。



■ クリスティンの消失=狂気の暴走

ジャルディンは胸に手を当てる。

「クリスティン……
どうして消えるんだよ……
どうして……俺を置いていくんだ……?」

涙にも見える黒い香が頬を落ちる。

だが、次の瞬間には残酷な笑みに変わる。

「逃げても無駄だよ。
香りの世界で……君を隠せる場所はない」

「必ず見つけ出す。
誰が守ろうと、奪われようと、関係ない」

その目は、完全に壊れていた。

「——君がいない世界なら、僕は全部壊す」

黒い香煙が街に散り始める。

これは、
“殺香(第三段階)”の前兆だった。


ジャルディン、“殺香(第三段階)”準備へ

ジャルディンは黒い香煙の中心で立ち尽くしていた。

クリスティンの香りがいない。
世界のどこにもいない。

(……消えた。
 僕の香りの“核”が……)

胸にぽっかり穴が空いたような、
焼け付くような痛み。

だが次の瞬間、彼の表情は冷たく変わった。

「……殺す香り(殺香)。
第三段階を使う時が来たんだね」

彼は黒い香粉を手のひらで転がす。

微量でも命を奪う“禁忌”。

通常なら国家転覆級の犯罪。
だが、彼にとっては——

「クリスティンを奪った罪を、国に返すだけだ」

黒い煙が渦を巻き、風を逆流させる。

街全体が“前兆”でざわつく。

この日、ジャルディンは正式に「国の天敵」となった。



✦ 逃避行中のクリスティンとルシオン――殺香の予兆が迫る

夕暮れの街外れ。
人が少ない裏道をクリスティンとルシオンは急ぎ足で歩いていた。

クリスティン
「……空気が、ざらついてる。
 あれは“殺香”の前兆よ」

ルシオン
「くそ……来たか」

二人の周囲の空気が、
透明なのに“重い”。

草の揺れ方、風の向き、呼吸のリズム——
自然全てが不安定になっていた。

クリスティンは胸元の護符を握る。

「この護符で殺香は防げるはず。
 でも……ルシオンは?」

ルシオン
「平気だ。
 俺は“君の護衛”だろ?」

クリスティン
「そんな強がり……!」

その時、
風向きが変わり、黒い香煙が遠くに立ち上るのが見えた。

クリスティン
「ジャルディンが……本気で来る……
 急がないと、国が……街が……!」

ルシオン
「逃げるだけじゃない。
 戦う準備もしなきゃな」

二人の逃亡は、
もはや「自分を守るため」ではなく、
「国を守るため」になっていた。



✦ 王城、非常事態宣言――国家崩壊前夜

その頃、王城は大混乱だった。

「これを見ろ!
 街の空に黒い香煙が……!」

「依存香の濃度が急上昇している!」
「“第三段階”の香気だ! 殺香の予兆!!」

大臣たちは蒼白。
研究部は半泣き。
兵たちは慌てふためく。

国王が顔をしかめて叫ぶ。

「ジャルディンはどこだ!?
 捕縛はまだか!!」

宰相
「それが……クリスティン様の香りが完全消失。
 追跡不可能に……!」

研究部長
「殺香は一度放たれれば、国境まで届きます。
 最悪、隣国との戦争に……!」

国王
「非常事態宣言だ。
 全軍に結界陣形を敷かせよ!!」

だが、兵士が震える声で叫んだ。

「王城は……
 すでに殺香の“影”に触れています!」

会議室に凍りつく空気。

宰相
「これでは……
 国が……滅ぶ……!」

国王が震えた。

「クリスティンとルシオンを……
 探し出せ!!
 彼らだけが生き残り、
 殺香への対抗策を持っている!!」

王城ですら、
ジャルディンの暴走を止められなくなった。
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