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130『天蕎麦で今度の敵は戌』
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やくもあやかし物語
130『天蕎麦で今度の敵は戌』
やくもさまやくもさま
赤・青メイドが口をそろえる。
二人は、いつもポーカーフェイスなので、呼びかけられただけでは何の用事なのか分からない。
ここは御息所の館なので、ひょっとしたら、滝夜叉姫がお呼ばれしていて、二人は、その先ぶれのためにやってきた?
いや、ひょっとしてひょっとしたら、将門さまが回復されて、その知らせにやってきた?
そうだよ、将門さまは神田明神で、関東の総鎮守さま。体力も回復力もずば抜けていて、わたしが蛇(巳)と龍(辰)をやっつけたから、早々と回復した!?
それとも苦労人の御息所だから、将門さまの下で働いているトラッドメイド(滝夜叉姫)のそのまた下で働いている赤・青メイドさんを慰労するために呼んだとか?
そうだよ、御息所が、わたしに仕掛けたドッキリなのかも!?
「いえ、そのいずれでもありません」
「頭から否定するのは、ちょっと失礼かもですよ、アオ」
「いえ、ことは緊急を要するのです」
「そうだった。でも、親しき中にもということもあるじゃない」
「緊急なのです、エマージェンシーなのです」
「そうね」
「そうよ」
「あ、え……で、なんの御用なのかしら(^_^;)?」
「「病魔です、業魔です」」
「え、もうなの!?」
「はい」
「今度は、戌です」
「犬です」
「西の方角です」
「白くて長い布切れを従えて、ちょっと難儀な犬なのです」
「白い布切れ?」
「蛇の抜け殻」
「一反木綿よ」
「どっちなの?」
「「とにかく敵!」」
「ただちに!」
「出撃!」
「わ、分かった分かった、分かったから」
「あら、ちょっと、あなたたち!?」
メイドたちを従えて、御息所が目を三角にして現れた。
「「あ、六条の御息所!」」
「なんで、あなたたちが断りもなく入ってきてるのよ!?」
「緊急なのです!」
「エマージェンシーなのです!」
今度は、分かりやすく赤メイドの頭が赤く明滅し始め、アオメイドが「ピーポーピーポー」と警笛の真似をしながらクルクルと回り始める。
「そ、そう、じゃあ、仕方がないわね」
「あ、その匂いは?」
「天蕎麦の匂いですね!」
「蕎麦の香りが爽やか」
「エビ天二個」
「ハモ天一個」
「よく分かるわね」
「わたしたちも」
「メイドですから」
「じゃあ、いってらっしゃいね」
御息所の言葉に合わせて、お付きのメイドたちも手を振る。
「「仕方ありません」」
そうだよね……そう観念して、わたしも立ち上がる。
「「天蕎麦いただいてからにします」」
「え?」
「時間が無いのであろう?」
「「時間を停めます」」
「「ええ!?」」
「こういう閉鎖空間でしたら……」
「一時間以内なら、わたしたちでも……」
「「時間を停められます」」
赤・青メイド二人そろって右手を上げる
「「えい!」」
小鳥のさえずりも館の上を流れる雲もピタリと動きを停めてしまった。
「それでは」
「頂戴いたします」
二人は手際よく静止したメイドさんたちが持っている箱膳を寝殿に並べ、四人揃って天蕎麦を頂いた。
でも、よく考えたら、最初から箱膳は四人分用意されていて、ヤラセだったのかなあと思ったけど、追及はしなかったよ。
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
教頭先生
小出先生 図書部の先生
杉野君 図書委員仲間 やくものことが好き
小桜さん 図書委員仲間
あやかしたち 交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所 里見八犬伝 滝夜叉姫 将門 アカアオメイド アキバ子 青龍 メイド王
130『天蕎麦で今度の敵は戌』
やくもさまやくもさま
赤・青メイドが口をそろえる。
二人は、いつもポーカーフェイスなので、呼びかけられただけでは何の用事なのか分からない。
ここは御息所の館なので、ひょっとしたら、滝夜叉姫がお呼ばれしていて、二人は、その先ぶれのためにやってきた?
いや、ひょっとしてひょっとしたら、将門さまが回復されて、その知らせにやってきた?
そうだよ、将門さまは神田明神で、関東の総鎮守さま。体力も回復力もずば抜けていて、わたしが蛇(巳)と龍(辰)をやっつけたから、早々と回復した!?
それとも苦労人の御息所だから、将門さまの下で働いているトラッドメイド(滝夜叉姫)のそのまた下で働いている赤・青メイドさんを慰労するために呼んだとか?
そうだよ、御息所が、わたしに仕掛けたドッキリなのかも!?
「いえ、そのいずれでもありません」
「頭から否定するのは、ちょっと失礼かもですよ、アオ」
「いえ、ことは緊急を要するのです」
「そうだった。でも、親しき中にもということもあるじゃない」
「緊急なのです、エマージェンシーなのです」
「そうね」
「そうよ」
「あ、え……で、なんの御用なのかしら(^_^;)?」
「「病魔です、業魔です」」
「え、もうなの!?」
「はい」
「今度は、戌です」
「犬です」
「西の方角です」
「白くて長い布切れを従えて、ちょっと難儀な犬なのです」
「白い布切れ?」
「蛇の抜け殻」
「一反木綿よ」
「どっちなの?」
「「とにかく敵!」」
「ただちに!」
「出撃!」
「わ、分かった分かった、分かったから」
「あら、ちょっと、あなたたち!?」
メイドたちを従えて、御息所が目を三角にして現れた。
「「あ、六条の御息所!」」
「なんで、あなたたちが断りもなく入ってきてるのよ!?」
「緊急なのです!」
「エマージェンシーなのです!」
今度は、分かりやすく赤メイドの頭が赤く明滅し始め、アオメイドが「ピーポーピーポー」と警笛の真似をしながらクルクルと回り始める。
「そ、そう、じゃあ、仕方がないわね」
「あ、その匂いは?」
「天蕎麦の匂いですね!」
「蕎麦の香りが爽やか」
「エビ天二個」
「ハモ天一個」
「よく分かるわね」
「わたしたちも」
「メイドですから」
「じゃあ、いってらっしゃいね」
御息所の言葉に合わせて、お付きのメイドたちも手を振る。
「「仕方ありません」」
そうだよね……そう観念して、わたしも立ち上がる。
「「天蕎麦いただいてからにします」」
「え?」
「時間が無いのであろう?」
「「時間を停めます」」
「「ええ!?」」
「こういう閉鎖空間でしたら……」
「一時間以内なら、わたしたちでも……」
「「時間を停められます」」
赤・青メイド二人そろって右手を上げる
「「えい!」」
小鳥のさえずりも館の上を流れる雲もピタリと動きを停めてしまった。
「それでは」
「頂戴いたします」
二人は手際よく静止したメイドさんたちが持っている箱膳を寝殿に並べ、四人揃って天蕎麦を頂いた。
でも、よく考えたら、最初から箱膳は四人分用意されていて、ヤラセだったのかなあと思ったけど、追及はしなかったよ。
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
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