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42《さくらとはるかの日曜日・1》
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ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第42話《さくらとはるかの日曜日・1》さくら
あのあと、お互いの家族やら友だちの話で盛り上がった。
成城の社長令嬢から南千住、大阪の高安、高校も乃木坂学院と真田山学院の二校と流転の少女時代。その行く先々で濃密な人間関係やドラマがあって――ここは聞き役、聞いてあげることではるかさんの憂さを晴らしてあげよう――なんて思っていたんだ。だけど、半分以上はわたしが話すハメになった。人への好奇心が強い人で、SM(佐久間まくさ)とYE(山口えりな)やSY(白石優奈)のこととかは、ブログで公開している範囲のことは全て知っていた!
「ふーん……で、あの身代わり土偶ってどんなのぉ?」
白石優奈を助けた時、ロープで絞められたところで割れた土偶の話には興味津々。あまりにオカルトめいているんで、ブログにはイラストの図しか載せてなかったので、写真を見せると「触ってみたいぃ!」と目の色を変えるはるかさん。
一時間ほど喋ったところで――はるかさんの話も聞かなきゃ(;'∀')!――駆け出しとして当然の心得に気付いて――ところで――と振って見ると――アハハ、それはねえ(^◇^)――とか――よくぞ聞いてくれました! と怒涛の如く話してくださった。
わたしが三分にさくらさんが四分喋りまくって、お店のマスターが呼んでくれたタクシーに乗って、さくらさんのマンション経由で家に帰った。
結局は、新人で現場でもオタオタしてばかりのわたしを励ましてくれたんだ。優秀な女優さんというだけでなく、人間としても優しいはるかさんの人柄に触れて、満たされた気持ちで眠りにつけた。
『いま豪徳寺の駅。どう行けばいいのかなあ?』
電話がかかってきたのでタマゲタ。
なんたって昨日の今日だ。昨日は――先輩女優が後輩女優を元気づける――がテーマで「行く行く、絶対行く!」と言ってくれたのは枕詞というか――坂東はるかは佐倉さくらの味方だからね――という気持ちの言い換えだと思っていた。
それが、ほんとうに来てくれた! 来てくださった!
「直ぐ迎えに行きます!」
トレーナーに半天だけという、お隣に回覧板回すような格好で自転車にまたがって豪徳寺の駅に走った。
改札の前に、はるかさんは待っていた。
ジーンズにザックリした男物の革ジャン。で、スッピン。いつもの営業中のオーラはない。髪はポニーテールとヒッツメの中間。人が見たら、きっと、こう言うだろう「きみって、残念なときの坂東はるかに似てるね」って。
「ね、二人乗りしていこうよ」
はるかさんが、自転車の後ろに跨ったときに、北側警察の香取巡査が、デニーズの角から現れた。
「ああ、二人乗りだめなんだよね」
「あ、香取さん」
「あ、さくらちゃんじゃない。有名になっちゃったねぇ、がんばってね。こっちは……?」
「さくらの友だちAです」
「ああ……」
「あ、お巡りさん、残念な時の坂東はるかに似てるって思ったでしょ?」
「いや、そんなことは(^_^;)」
「アハハ、よく言われるからぁ」
香取巡査を煙に巻いて、でも、敬意ははらって自転車を押して家に向かう。
「はるかさんの、オンオフってすごいんですね。誰も気づかない」
「さくらのおかげよ。わたしリラックスしてんの……あ、ここね、スカートひらりの現場!」
そこだけ若いアスファルトに気付いて立ち止まるはるかさん。
「アハハ、ホヤホヤの黒歴史ですぅ」
「なるほどねぇ……」
チュウクンが立っていたと思しきところに立ってみるはるかさん。
「この向こうから帝都女学院の制服姿のさくらがやってきたんだよねぇ……」
え、再現してるぅ。
「さくらって、緊張すると、ちょっと怒ったみたいになって美少女度が上がるんだよねぇ、学生バイトのガードマンなら、つい見つめてしまう。無理ないよ」
「あ、ですか(^_^;)」
「さくらぁ」
「はい?」
「自覚もった方がいいよ」
「はい、人を見つめるクセですよね(-_-;)」
「ううん、美少女の自覚」
「え?」
「きみはね、万人に一人ぐらいの感性しててね、その感性がミテクレにも現れてる子なんだよ。でも、その感性を意識的にか無意識的にか押し殺して、ふだんはつまらない顔してるんだ。べつに美少女面してモテ子になれって言うんじゃないけど、もう少し感性は解放してやるべきだと思うぞ」
「いえいえいえ(;'▽')」
ハタハタと手を振ると、ムンズとその手を掴まえるはるかさん。
「そうだよ、渋谷シャウトとか白石優奈救出事件とか、そういうとこに現れてるよ」
「はるかさん……」
プップ
宅配車の控え目なクラクションで我に返り、ウンちゃんにペコリと頭を下げ、やっと家に向かった。
「どうも、さくらさんにお友達していただいている、坂東はるかです。せっかくの日曜にに押しかけてすみません」
「いいんですよ、うちは日曜とか関係ないから。どうぞ、お上がりになって」
大人同士の挨拶を交わすと、はるかさんはお土産に伊勢のエビせんべいをくれた。
「わたしの、好物なんです。きっとみなさんも好きだろうって、思いこみですみません」
で、とりあえず、リビングで、エビせんべいを開いてお茶にした。
「へえ! お母さん作家なんですか!?」
「ハシクレですけどね(^_^;)」
「うちの母も作家なんです。坂東友子、ご存じないですか?」
「え!? 知ってるわよ! いっしょに出版社の文学賞もらったから。わたしの少ない作家仲間よ。そうか、トモちゃんの娘さんなんだ!」
人間というのは、思いがけないところで繋がりがあるみたいだ。
「そう、トモちゃん。うちに娘さんが来てるのよ。どこの?……あんたの娘に決まってるでしょ。いま替わるから」
「あ、お母さん。はるか……うん、元気……たまに大阪行っても、お母さんスケジュール合わないんだもん……はいはい、心がけておきます」
親子の電話は、それでおしまい。あたしたちは、三階のあたしの部屋に行った。
「ハハ、懐かしいなあ、この散らかりよう」
「もう、お母さん、ちょっと片づけてくれたらいいのに!」
「あ、これだね、例の身代わり土偶! 触っていい?」
「はい、どうぞ」
なんだか呪術アニメの主人公が呪物に触れるみたいに、そっと……でも、目を輝かして包み込むようにして撫でる。
それから、なにやら袋から取り出すはるかさん。
「え、賽銭箱?」
「うん、わたしもあやかろうと思って、ちょうど頃合いの棚の上に載ってるし」
チャリン
パンパン
百円玉を投じると、殊勝に手を合わせるはるかさん。
わたしも急いで百円を投じて手を合わせた。
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
坂東 はるか さくらの先輩女優
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元 さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
四ノ宮 篤子 忠八の妹
明菜 惣一の女友達
香取 北町警察の巡査
タクミ Takoumi Leotard 陸自隊員
第42話《さくらとはるかの日曜日・1》さくら
あのあと、お互いの家族やら友だちの話で盛り上がった。
成城の社長令嬢から南千住、大阪の高安、高校も乃木坂学院と真田山学院の二校と流転の少女時代。その行く先々で濃密な人間関係やドラマがあって――ここは聞き役、聞いてあげることではるかさんの憂さを晴らしてあげよう――なんて思っていたんだ。だけど、半分以上はわたしが話すハメになった。人への好奇心が強い人で、SM(佐久間まくさ)とYE(山口えりな)やSY(白石優奈)のこととかは、ブログで公開している範囲のことは全て知っていた!
「ふーん……で、あの身代わり土偶ってどんなのぉ?」
白石優奈を助けた時、ロープで絞められたところで割れた土偶の話には興味津々。あまりにオカルトめいているんで、ブログにはイラストの図しか載せてなかったので、写真を見せると「触ってみたいぃ!」と目の色を変えるはるかさん。
一時間ほど喋ったところで――はるかさんの話も聞かなきゃ(;'∀')!――駆け出しとして当然の心得に気付いて――ところで――と振って見ると――アハハ、それはねえ(^◇^)――とか――よくぞ聞いてくれました! と怒涛の如く話してくださった。
わたしが三分にさくらさんが四分喋りまくって、お店のマスターが呼んでくれたタクシーに乗って、さくらさんのマンション経由で家に帰った。
結局は、新人で現場でもオタオタしてばかりのわたしを励ましてくれたんだ。優秀な女優さんというだけでなく、人間としても優しいはるかさんの人柄に触れて、満たされた気持ちで眠りにつけた。
『いま豪徳寺の駅。どう行けばいいのかなあ?』
電話がかかってきたのでタマゲタ。
なんたって昨日の今日だ。昨日は――先輩女優が後輩女優を元気づける――がテーマで「行く行く、絶対行く!」と言ってくれたのは枕詞というか――坂東はるかは佐倉さくらの味方だからね――という気持ちの言い換えだと思っていた。
それが、ほんとうに来てくれた! 来てくださった!
「直ぐ迎えに行きます!」
トレーナーに半天だけという、お隣に回覧板回すような格好で自転車にまたがって豪徳寺の駅に走った。
改札の前に、はるかさんは待っていた。
ジーンズにザックリした男物の革ジャン。で、スッピン。いつもの営業中のオーラはない。髪はポニーテールとヒッツメの中間。人が見たら、きっと、こう言うだろう「きみって、残念なときの坂東はるかに似てるね」って。
「ね、二人乗りしていこうよ」
はるかさんが、自転車の後ろに跨ったときに、北側警察の香取巡査が、デニーズの角から現れた。
「ああ、二人乗りだめなんだよね」
「あ、香取さん」
「あ、さくらちゃんじゃない。有名になっちゃったねぇ、がんばってね。こっちは……?」
「さくらの友だちAです」
「ああ……」
「あ、お巡りさん、残念な時の坂東はるかに似てるって思ったでしょ?」
「いや、そんなことは(^_^;)」
「アハハ、よく言われるからぁ」
香取巡査を煙に巻いて、でも、敬意ははらって自転車を押して家に向かう。
「はるかさんの、オンオフってすごいんですね。誰も気づかない」
「さくらのおかげよ。わたしリラックスしてんの……あ、ここね、スカートひらりの現場!」
そこだけ若いアスファルトに気付いて立ち止まるはるかさん。
「アハハ、ホヤホヤの黒歴史ですぅ」
「なるほどねぇ……」
チュウクンが立っていたと思しきところに立ってみるはるかさん。
「この向こうから帝都女学院の制服姿のさくらがやってきたんだよねぇ……」
え、再現してるぅ。
「さくらって、緊張すると、ちょっと怒ったみたいになって美少女度が上がるんだよねぇ、学生バイトのガードマンなら、つい見つめてしまう。無理ないよ」
「あ、ですか(^_^;)」
「さくらぁ」
「はい?」
「自覚もった方がいいよ」
「はい、人を見つめるクセですよね(-_-;)」
「ううん、美少女の自覚」
「え?」
「きみはね、万人に一人ぐらいの感性しててね、その感性がミテクレにも現れてる子なんだよ。でも、その感性を意識的にか無意識的にか押し殺して、ふだんはつまらない顔してるんだ。べつに美少女面してモテ子になれって言うんじゃないけど、もう少し感性は解放してやるべきだと思うぞ」
「いえいえいえ(;'▽')」
ハタハタと手を振ると、ムンズとその手を掴まえるはるかさん。
「そうだよ、渋谷シャウトとか白石優奈救出事件とか、そういうとこに現れてるよ」
「はるかさん……」
プップ
宅配車の控え目なクラクションで我に返り、ウンちゃんにペコリと頭を下げ、やっと家に向かった。
「どうも、さくらさんにお友達していただいている、坂東はるかです。せっかくの日曜にに押しかけてすみません」
「いいんですよ、うちは日曜とか関係ないから。どうぞ、お上がりになって」
大人同士の挨拶を交わすと、はるかさんはお土産に伊勢のエビせんべいをくれた。
「わたしの、好物なんです。きっとみなさんも好きだろうって、思いこみですみません」
で、とりあえず、リビングで、エビせんべいを開いてお茶にした。
「へえ! お母さん作家なんですか!?」
「ハシクレですけどね(^_^;)」
「うちの母も作家なんです。坂東友子、ご存じないですか?」
「え!? 知ってるわよ! いっしょに出版社の文学賞もらったから。わたしの少ない作家仲間よ。そうか、トモちゃんの娘さんなんだ!」
人間というのは、思いがけないところで繋がりがあるみたいだ。
「そう、トモちゃん。うちに娘さんが来てるのよ。どこの?……あんたの娘に決まってるでしょ。いま替わるから」
「あ、お母さん。はるか……うん、元気……たまに大阪行っても、お母さんスケジュール合わないんだもん……はいはい、心がけておきます」
親子の電話は、それでおしまい。あたしたちは、三階のあたしの部屋に行った。
「ハハ、懐かしいなあ、この散らかりよう」
「もう、お母さん、ちょっと片づけてくれたらいいのに!」
「あ、これだね、例の身代わり土偶! 触っていい?」
「はい、どうぞ」
なんだか呪術アニメの主人公が呪物に触れるみたいに、そっと……でも、目を輝かして包み込むようにして撫でる。
それから、なにやら袋から取り出すはるかさん。
「え、賽銭箱?」
「うん、わたしもあやかろうと思って、ちょうど頃合いの棚の上に載ってるし」
チャリン
パンパン
百円玉を投じると、殊勝に手を合わせるはるかさん。
わたしも急いで百円を投じて手を合わせた。
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
坂東 はるか さくらの先輩女優
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元 さつきのバイト仲間
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