やくもあやかし物語・2

武者走走九郎or大橋むつお

文字の大きさ
62 / 84

062『野分の果て』

しおりを挟む
やくもあやかし物語 2

062『野分の果て』 




「これは野分じゃ!」

 織姫さんからもらった花を傘にして、ポケットから目だけを出した御息所が警告するよ。

「ノワキとはなんだあああああああああああ((((;゚Д゚))))」

 プルプルプルプルプルプル

 強い風に長い耳がはためき、その振動で語尾を振るわせながらネルが質問する。

 わたしも分かってないけど(^_^;)。

「た、台風とかストームのことじゃ! 風が野原の草を吹き分けるように吹きすさぶから野分と言うんじゃ!」

「な、な、なるほどなななななななな((((^△^;))))」

「ネル、耳を押えよ、声が震えて聞き取りにくいぞよ」

「ご、ごごごごめんんんん(耳を押える)……こんどは聞こえにくくなった(^_^;)」

「ねえ、風が道を隠してしまったよ」

 野分で倒された草が細い道を隠してしまい、別の道が風に吹き分けられて現れてきたよ。

「なにか妖に誘われているのかもしれぬ、心してまいれ」

「なんだか、古典的な喋り方になっていないか、御息所?」

「あ、この野原の妖気のせいかもしれぬ。しばらく寝るぞよ」

 ポケットの中に引っ込み、花でふたをしてしまったよ。

「わたしが前を行くから、やくもは飛ばされないようにして付いてこい」

「う、うん、ありがとう」

 ビョォーーービュゥーーーーーブゥォーーーーー

 めちゃめちゃに風が吹く中、その風の向きが変わる度に道も変わって、それでもネルが盾になってくれて、風が弱まるところまでたどり着けた。風が止んで定まった道は二股に分かれた三叉路だよ。

「うう、なんとかなったな……でも、道はこれでいいのか、風の吹くままに進んできただけだぞ」

「ど、どうだろ(;'∀')?」

「二股に分かれてる、どっちに行けばいいんだぁ?」

 野分が吹きすさんでいるうちは果敢に進んでたネルだけど、穏やかに道が定まってしまうと、わたしといっしょに立ちすくんでしまう。

 ネルのいいところは、逆境に陥っても果敢に進める勇気と力だけども、こういうAかBかという選択を迫られることには弱いみたい。

 いや、いっしょにビビってるわたしも人のことは言えないんだけどね。

 シャララ~~ン

 魔法少女が出現するようなエフェクトがしたかと思うと、三叉路の股のところに古代服の少女が現れた!

 額田王を少し若くして、ちょっぴりコケティッシュにした感じに、間人皇女(はしひとのひめみこ)に違いないと思ったよ!

 


☆彡主な登場人物 

やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン  教頭先生
カーナボン卿     校長先生
酒井 詩       コトハ 聴講生
同級生たち      アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの  ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...