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072『みんな来てくれた!』
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やくもあやかし物語 2
072『みんな来てくれた!』
しばらく行くと草原は胸の高さに迫ってきた。
『やっぱり、半魚人の水のせいだろうね、伸びているだけではなくてツヤツヤとしているわ』
「感心してないで、しっかり前を見てよね。方角見失ったら元も子もないんだからね」
『分かってるわよ、だいたい合ってる。ずっとホバリングしていたから』
「たのむわよ」
御息所の言葉が微妙に元に戻ってる。
お局言葉っていうんだろうか、むかしの貴族女性みたいな言葉の時はアグレッシブで、率先して戦ってくれてる感じ。
それが、ふつうの言葉遣いになると、ズボラになってくる。ふつうといっても、ちょっとわがままな感じなんだけどね。
いまは、その『ちょっとわがままモード』なんだ。
日本にいたころからの付き合いだから、こういう時は放っておく。
「しかたない!」
シャラン
左肩に掛けた近衛の剣を抜く。
セイ! ヤー! トォー!
恰好をつけて、佐々木小次郎みたいにぶん回す。
バサバサと鳥が飛びたつような音がして目の前の草原が開けて、ちょっとだけ気持ちよくなる。
『その意気その意気、方角もだいたい合ってるでしょうから、がんばってね』
「んもー、時どきは確認してよね、道が合ってるかどうか」
『ん、いまさっき『こういう時は放っておく』とか思わなかったぁ?」
チ、付き合いが長いのも考えものだよね。
半魚人と戦った丘の位置を確認しながらでないと、ぜんぜん別の方角に向かってしまいそう。
セイ! ヤー! ヤー! トォー! ヤー! トォー! ヤー! トォー!ヤー! トォー! ヤー! トォー! ヤー! トォー!
え、わたし以外にも声がする!?
ちょっと数が多い、一人や二人じゃない。
魔物とかだったらばんじきゅうす!
「ここで戦闘になったらたちうちできないよぉ(;゚Д゚)」
『しかたないわねぇ』
ポケットから飛び出すと、頭の上でホバリングする御息所。
『……あ、学校のみんなよ! ヒイ フウ ミイ……女4人に男6人』
「ええ?」
ここへは一度に一人しか来れないはずだよ。さっきは変換魔法でハンターがオリビアに付いてきたけど、やっぱり無理があって、すぐに消えてしまって、あらためて来たと思ったら近衛の剣だけ残してしゅんかんで戻ってしまったし。いったい何が?
「おーーい、こっちだよ、みんなあ!」
『こっちこっちぃ!』
御息所と二人で声を張り上げると、ワサワサと草をかき分けながらみんなが集まってきた。
「みんな、どうしたの?」
息を切らしながらも、ロージー・エドワーズが説明してくれる。
「いやあ、一人ずつ来ても、ラチ開かないでしょ。それで、ダメもとでね、みんなでジャンプしたのよ」
「よく来れたわねぇ」
「力を合わせたのよ。メイソン・ヒルが変換魔法、ヒトビッチ・アルカードが補助魔法……」
「補助魔法?」
「ああ、それはね……」
ロージーが説明しようとするとヒトビッチ・アルカード自身が前に出てきた。
「うん、先祖から受け継いだ魔法なんだけどね、ダメもとでやってみたら意外と効果があった」
「ヒトビッチの七代前は吸血鬼だったのよ」
「え、吸血鬼( ゚Д゚)!?」
「ああ、伝説だよ伝説(^▭^;)」
「でも、ちゃんと魔力はあったじゃない!」
「ま、まあね(^_^;)」
「先祖はなんだっていいのよ、力を合わせて、それで効果があるなら。あとはタイミングね。大三角の真ん中目指して、みんなが息を合わすのはタイミングが大事」
「それについては、ヒューゴ・プライスの功績さ」
メイソンがヒューゴの背中を叩いた。
「うちは株屋っていうか、相場師だからね。魔法のタイミングまで計れるかどうか、分からなかったけど、やったらできた。でも、みんなを引っ張ってきたのはメイソン・ヒルと」
「「「ロージー・エドワーズよ!」」」
声をそろえたのはベラ・グリフィスとアイネ・シュタインベルグとアンナ・ハーマスティン。
「ああ、ロージーはゴッドファーザーの孫娘なんだ」
ヒューゴがすごいことを言う。
「あ、それはお婆ちゃんの家系で、今は、みんな堅気の市民だからね(#^_^#)」
喋っているうちにロージーとメイソンが中心になっている。
二人がリーダーになって、みんなを引っ張って来てくれたのは事実のようだ。
わたしって、日ごろはネルとハイジ以外とはあまり親しくしてなかったから、ちょっと感動だよ。
……て……あれ、ハイジはどうしたんだろう?
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ ヒトビッチ・アルカード ヒューゴ・プライス ベラ・グリフィス アイネ・シュタインベルグ アンナ・ハーマスティン
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女 マーフォーク(半魚人
072『みんな来てくれた!』
しばらく行くと草原は胸の高さに迫ってきた。
『やっぱり、半魚人の水のせいだろうね、伸びているだけではなくてツヤツヤとしているわ』
「感心してないで、しっかり前を見てよね。方角見失ったら元も子もないんだからね」
『分かってるわよ、だいたい合ってる。ずっとホバリングしていたから』
「たのむわよ」
御息所の言葉が微妙に元に戻ってる。
お局言葉っていうんだろうか、むかしの貴族女性みたいな言葉の時はアグレッシブで、率先して戦ってくれてる感じ。
それが、ふつうの言葉遣いになると、ズボラになってくる。ふつうといっても、ちょっとわがままな感じなんだけどね。
いまは、その『ちょっとわがままモード』なんだ。
日本にいたころからの付き合いだから、こういう時は放っておく。
「しかたない!」
シャラン
左肩に掛けた近衛の剣を抜く。
セイ! ヤー! トォー!
恰好をつけて、佐々木小次郎みたいにぶん回す。
バサバサと鳥が飛びたつような音がして目の前の草原が開けて、ちょっとだけ気持ちよくなる。
『その意気その意気、方角もだいたい合ってるでしょうから、がんばってね』
「んもー、時どきは確認してよね、道が合ってるかどうか」
『ん、いまさっき『こういう時は放っておく』とか思わなかったぁ?」
チ、付き合いが長いのも考えものだよね。
半魚人と戦った丘の位置を確認しながらでないと、ぜんぜん別の方角に向かってしまいそう。
セイ! ヤー! ヤー! トォー! ヤー! トォー! ヤー! トォー!ヤー! トォー! ヤー! トォー! ヤー! トォー!
え、わたし以外にも声がする!?
ちょっと数が多い、一人や二人じゃない。
魔物とかだったらばんじきゅうす!
「ここで戦闘になったらたちうちできないよぉ(;゚Д゚)」
『しかたないわねぇ』
ポケットから飛び出すと、頭の上でホバリングする御息所。
『……あ、学校のみんなよ! ヒイ フウ ミイ……女4人に男6人』
「ええ?」
ここへは一度に一人しか来れないはずだよ。さっきは変換魔法でハンターがオリビアに付いてきたけど、やっぱり無理があって、すぐに消えてしまって、あらためて来たと思ったら近衛の剣だけ残してしゅんかんで戻ってしまったし。いったい何が?
「おーーい、こっちだよ、みんなあ!」
『こっちこっちぃ!』
御息所と二人で声を張り上げると、ワサワサと草をかき分けながらみんなが集まってきた。
「みんな、どうしたの?」
息を切らしながらも、ロージー・エドワーズが説明してくれる。
「いやあ、一人ずつ来ても、ラチ開かないでしょ。それで、ダメもとでね、みんなでジャンプしたのよ」
「よく来れたわねぇ」
「力を合わせたのよ。メイソン・ヒルが変換魔法、ヒトビッチ・アルカードが補助魔法……」
「補助魔法?」
「ああ、それはね……」
ロージーが説明しようとするとヒトビッチ・アルカード自身が前に出てきた。
「うん、先祖から受け継いだ魔法なんだけどね、ダメもとでやってみたら意外と効果があった」
「ヒトビッチの七代前は吸血鬼だったのよ」
「え、吸血鬼( ゚Д゚)!?」
「ああ、伝説だよ伝説(^▭^;)」
「でも、ちゃんと魔力はあったじゃない!」
「ま、まあね(^_^;)」
「先祖はなんだっていいのよ、力を合わせて、それで効果があるなら。あとはタイミングね。大三角の真ん中目指して、みんなが息を合わすのはタイミングが大事」
「それについては、ヒューゴ・プライスの功績さ」
メイソンがヒューゴの背中を叩いた。
「うちは株屋っていうか、相場師だからね。魔法のタイミングまで計れるかどうか、分からなかったけど、やったらできた。でも、みんなを引っ張ってきたのはメイソン・ヒルと」
「「「ロージー・エドワーズよ!」」」
声をそろえたのはベラ・グリフィスとアイネ・シュタインベルグとアンナ・ハーマスティン。
「ああ、ロージーはゴッドファーザーの孫娘なんだ」
ヒューゴがすごいことを言う。
「あ、それはお婆ちゃんの家系で、今は、みんな堅気の市民だからね(#^_^#)」
喋っているうちにロージーとメイソンが中心になっている。
二人がリーダーになって、みんなを引っ張って来てくれたのは事実のようだ。
わたしって、日ごろはネルとハイジ以外とはあまり親しくしてなかったから、ちょっと感動だよ。
……て……あれ、ハイジはどうしたんだろう?
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ ヒトビッチ・アルカード ヒューゴ・プライス ベラ・グリフィス アイネ・シュタインベルグ アンナ・ハーマスティン
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女 マーフォーク(半魚人
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