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075『魔王女トバリ』
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やくもあやかし物語 2
075『魔王女トバリ』
「あたしが魔王女、トバリ姫よ。見知りおきなさい」
グ
思わず息をのんだ。
そいつ、トバリ姫はフレアの効いたロン毛で、はっきりした目鼻立ちといい、スタイルの良さといい、等身大……よりもちょっと小さいドールのように見えた。しゃくだけど、ちょっと可愛い。
「……わたしのこと小さいと思ったでしょ?」
「あ、それは……(;'∀')」
「まあいいわ。可愛いとも思ってくれたみたいだし」
「そのトバリが何の用だ!」
メイソンが男らしく前に立ってくれる。御息所はいつものようにポケットに隠れてしまっている。
「フフフ、辛いわね。没落貴族とはいえノブレスオブリージュ。こういう時には前に出なくちゃならないんですものね」
「用件を言え!」
「用件は知れたこと、あなたたちを抹殺することよ。キーストーンを取り返そうだなんて生意気すぎるもの」
「そうはさせん、お前も魔王子も打ち倒して先に進むだけだ」
「おお、勇ましい。それでこそ英国騎士、相手になってあげるわ!」
ピシ!
鋭い音がしたかと思うと、トバリの髪が静電気を帯びたみたいに四方に広がり、先っぽの方がピリピリとスパークを放ったよ!
『気を付けなさい、あいつ、ここいらの悪霊を呼び集めてるわよ』
御息所がふつうの言葉で注意する。こういう時の御息所はあてにならない。
「やくも、囲まれている!」
メイソンが庇いながら注意してくれる。見渡すと四方八方にモノクロで半透明なあやかしめいたのがウジャウジャとわいている。
「やくもも戦う!」
いっしゅん迷って近衛の剣を手にして、手近のあやかしに切りかかる。
ブン! ブブン! ブン!
剣はむなしく空を切るばかりで、ぜんぜんヒットしない。メイソンは討ち漏らしたあやかしをどんどん切っていく。
申し訳ない、わたしのリカバーばっかし(-_-;)。
気を取り直して思い槍に持ち換える。
ブン! ドシ! ブブン! ザク! ズサ!
空振りも多いけど、リーチが長い分、そこそこにヒットする。メイソンも少しだけわたしのそばを離れて敵をぶちのめしていく。
すこし冒険者めいて戦えているかも(^_^;)。
あ!?
ちょっと油断した。斧を持ったあやかしが打ちかかってきて、さばききれずに尻もちをついてしまったよ!
『慮外者め!』
お局言葉がしたかと思うと御息所があやかしの脳天をミチビキ鉛筆で刺し貫いてやっつけてしまう!
「ありがと、御息所!」
『貸じゃからな!』
さっさとポケットに入ってしまう。
「え、一回だけぇ?」
『あとはがんばりなさい』
チ
『舌打ちすんな!』
それだけ言うとまた引っ込む。
「メイソン、がんばって!」
それから、メイソンと二人で暴れまわって半分ほどやっつけられて、残りの半分は分が悪いと思ったのか消えてしまった。
「少しは歯応えがありそうね」
トバリが現れる。憎たらしいけど余裕の表情だよ。
「じゃあ、そろそろ本気でやらせてもらおうかしらぁ」
そう言うとトバリは両手でスカートの裾をつまんで、お姫さまらしく挨拶したよ。
「いや、あれは挨拶なんかじゃない!」
メイソンが押しのけるように前に出てかばってくれる。
「そうよ、わたしのスカートは結界なのよ。さっきは広げ過ぎて破られてしまったけど、こんどはほど良く広げて、あなたたちのシュラフにしてあげる」
「シュラフ?」
「死体袋のことだよ。気を付けて!」
「うん!」
シュボン!
広がるような窄まるような音がしたかと思うと、あっという間にドーム球場ほどの結界が展開され、見上げると結界のてっぺんから小さな足が吸い込まれるようにして格納されたよ。
『トバル、あなたの出番よ!』
てっぺんから声が降ってきたと思うと、やくもたちの前にトバリによく似た王子さまみたいなのが現れたよ!
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ ヒトビッチ・アルカード ヒューゴ・プライス ベラ・グリフィス アイネ・シュタインベルグ アンナ・ハーマスティン
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女 マーフォーク(半魚人) トバル(魔王子) トバリ(魔王女)
075『魔王女トバリ』
「あたしが魔王女、トバリ姫よ。見知りおきなさい」
グ
思わず息をのんだ。
そいつ、トバリ姫はフレアの効いたロン毛で、はっきりした目鼻立ちといい、スタイルの良さといい、等身大……よりもちょっと小さいドールのように見えた。しゃくだけど、ちょっと可愛い。
「……わたしのこと小さいと思ったでしょ?」
「あ、それは……(;'∀')」
「まあいいわ。可愛いとも思ってくれたみたいだし」
「そのトバリが何の用だ!」
メイソンが男らしく前に立ってくれる。御息所はいつものようにポケットに隠れてしまっている。
「フフフ、辛いわね。没落貴族とはいえノブレスオブリージュ。こういう時には前に出なくちゃならないんですものね」
「用件を言え!」
「用件は知れたこと、あなたたちを抹殺することよ。キーストーンを取り返そうだなんて生意気すぎるもの」
「そうはさせん、お前も魔王子も打ち倒して先に進むだけだ」
「おお、勇ましい。それでこそ英国騎士、相手になってあげるわ!」
ピシ!
鋭い音がしたかと思うと、トバリの髪が静電気を帯びたみたいに四方に広がり、先っぽの方がピリピリとスパークを放ったよ!
『気を付けなさい、あいつ、ここいらの悪霊を呼び集めてるわよ』
御息所がふつうの言葉で注意する。こういう時の御息所はあてにならない。
「やくも、囲まれている!」
メイソンが庇いながら注意してくれる。見渡すと四方八方にモノクロで半透明なあやかしめいたのがウジャウジャとわいている。
「やくもも戦う!」
いっしゅん迷って近衛の剣を手にして、手近のあやかしに切りかかる。
ブン! ブブン! ブン!
剣はむなしく空を切るばかりで、ぜんぜんヒットしない。メイソンは討ち漏らしたあやかしをどんどん切っていく。
申し訳ない、わたしのリカバーばっかし(-_-;)。
気を取り直して思い槍に持ち換える。
ブン! ドシ! ブブン! ザク! ズサ!
空振りも多いけど、リーチが長い分、そこそこにヒットする。メイソンも少しだけわたしのそばを離れて敵をぶちのめしていく。
すこし冒険者めいて戦えているかも(^_^;)。
あ!?
ちょっと油断した。斧を持ったあやかしが打ちかかってきて、さばききれずに尻もちをついてしまったよ!
『慮外者め!』
お局言葉がしたかと思うと御息所があやかしの脳天をミチビキ鉛筆で刺し貫いてやっつけてしまう!
「ありがと、御息所!」
『貸じゃからな!』
さっさとポケットに入ってしまう。
「え、一回だけぇ?」
『あとはがんばりなさい』
チ
『舌打ちすんな!』
それだけ言うとまた引っ込む。
「メイソン、がんばって!」
それから、メイソンと二人で暴れまわって半分ほどやっつけられて、残りの半分は分が悪いと思ったのか消えてしまった。
「少しは歯応えがありそうね」
トバリが現れる。憎たらしいけど余裕の表情だよ。
「じゃあ、そろそろ本気でやらせてもらおうかしらぁ」
そう言うとトバリは両手でスカートの裾をつまんで、お姫さまらしく挨拶したよ。
「いや、あれは挨拶なんかじゃない!」
メイソンが押しのけるように前に出てかばってくれる。
「そうよ、わたしのスカートは結界なのよ。さっきは広げ過ぎて破られてしまったけど、こんどはほど良く広げて、あなたたちのシュラフにしてあげる」
「シュラフ?」
「死体袋のことだよ。気を付けて!」
「うん!」
シュボン!
広がるような窄まるような音がしたかと思うと、あっという間にドーム球場ほどの結界が展開され、見上げると結界のてっぺんから小さな足が吸い込まれるようにして格納されたよ。
『トバル、あなたの出番よ!』
てっぺんから声が降ってきたと思うと、やくもたちの前にトバリによく似た王子さまみたいなのが現れたよ!
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ ヒトビッチ・アルカード ヒューゴ・プライス ベラ・グリフィス アイネ・シュタインベルグ アンナ・ハーマスティン
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
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