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136『信長版西遊記・玉門関・1』
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鳴かぬなら 信長転生記
136『信長版西遊記・玉門関・1』信長
万里の長城さえ尽き果てて、なお、その道は天竺や秦西(たいせい)に至らんと地平の彼方に伸びる。
シルクロード……呟いただけで胸の高鳴りを憶えるのは戦国大名の性だ。好奇進取の気概あればこそ、この信長は天下の半ばを手中に収め得たし、生まれ変われば世界に雄飛することも夢ではない。
しかし、そのシルクロードには背を向けて、俺たちは三国志の中原を目指す。
この旅は、三国志に戻り、曹操の野望を打ち破り、扶桑にも三国志にも平安をもたらすための旅だ。
次兄曹素の姦計に嵌められ国賊として追われる茶姫を援け、叶うことなら、茶姫を魏王に座に就かせ、三国を鼎立させる。そのために、天下三分の計の主唱者である諸葛茶孔明を訪ね、孔明との、中華風に言うならば合作を計る。
曹素のために、茶姫は謀反の首魁にされ、つまりは全国指名手配されている。茶姫の近衛として付き添った俺たちも、織田兄妹としては三国志の血を踏むことはできない。
そのために、意には沿わないが、オブジェの三蔵を戴いて、西遊記の続編というかスピンオフというかを装って蜀の成都を目指している。
「あ、見えてきた、ブヒ!」
意外にノッテいる市が猪八戒になり切って声を上げる。
「玉門関だッパ」
茶姫も語尾に『カッパ』を付けることで、沙悟浄らしさを出そうとしているのだが、促音化させて『ッパ』になっている。
「ああ、そうだな」
「だめだぞ、悟空は語尾に『ウキ』を付けなきゃブヒ」
「やってられるか(#`O´)!」
「そうだぞッパ」
「三蔵法師、なんとか言ってやれ」
三蔵はアルゴリズムに従ってニコニコ笑うばかりだ。
ちょっと、意地悪してやる。
「市、いや八戒、玉門関の玉門の意味を知ってるか?」
「え……玉のように大事な関だからブヒ?」
「知っているッパ」
「沙悟浄は答えちゃだめだブヒ」
「ふふ、八戒には、ちょっとむつかしい」
「あ、あ、そんなことない。言えるもん、ブヒ」
子どもの頃に、他愛のないナゾナゾや質問をして遊んでいた時のノリになってきた。
市……八戒はインタフェイスの地図を睨んで、なにか閃いたようで、嬉しそうに指を立てた。
「玉とは、将棋の駒の玉将のことブヒ」
「なんで、将棋になるんだ?」
「玉門関は河西回廊の西端ブヒ。長城も尽きてしまってるし、北や西から攻め込まれれば苦しいブヒ。だから、ちょっと大き目の王将クラスの砦を造ったブヒ」
なるほど、画面に映っている玉門関は小振りだが堅牢な城塞だ。周囲を見ると、二重に防壁が組まれた跡もあり、最果ての出城にしては立派な造りだ。
「玉門関から敦煌までは凡そ300キロ、馬なら五日ほどだが、砦や城を攻めるには歩兵が中心の部隊編成になって、十日はかかる。つまり、十日以内に落す自信があれば攻めてみようという気にさせる構えだ。一万、いや、わたしなら8000の兵があれば五日も掛からん。ちょっと勢いがあれば攻めてみようという気にさせるぞ」
「そうだな」
「しかし、よく見ると、敦煌との間に小規模な砦が八カ所。忍ばせれば、それぞれ1000から1500の兵を籠めておくことができる。合わせれば8000から12000の兵になる。連携さえとれていれば、玉門関が包囲されるまでに陣を敷いて野戦に持ち込める。玉門関の兵と合わせれば、敵を逆包囲することもできる」
「おお、さすがは信長の妹、よく見抜いておる」
「そ、そうよ、玉を囮にして、敵を一網打尽にする。将棋の構えに似てるのよ」
「ブヒを忘れているぞ」
「こ、これから言うとこなのよブヒ!」
「悟空、もう正解を言ってやれッパ」
「仕方がない。ようく聞いていろ」
「な、なによブヒ」
「玉門関の玉門とは、女のオ○コのことだ」
「な(; ゚゚)!?」
「見ろ、玉門関の大手門を!」
「え……」
「縦長にすぼまった下に小さく門があって、そのような感じであろう」
「…………(#'∀'#)」
「その様子を見て、いつかしら、玉門関と呼ぶようになったのだ。ここを侵せば中原を落としたも同様だとな」
「……こ、このうつけぇ! お、お兄ちゃんのバカァ! ブヒィィィ!!」
ドタドタドタドタ……!
「行ってしまったぞッパ」
「前には玉門関しかない、行けば、すぐに追いつく」
しばらくは河西回廊、砂漠の旅だ、力を抜いて行かなければな。
意味は無いんだろうが、三蔵がウフフと笑った。
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ)
136『信長版西遊記・玉門関・1』信長
万里の長城さえ尽き果てて、なお、その道は天竺や秦西(たいせい)に至らんと地平の彼方に伸びる。
シルクロード……呟いただけで胸の高鳴りを憶えるのは戦国大名の性だ。好奇進取の気概あればこそ、この信長は天下の半ばを手中に収め得たし、生まれ変われば世界に雄飛することも夢ではない。
しかし、そのシルクロードには背を向けて、俺たちは三国志の中原を目指す。
この旅は、三国志に戻り、曹操の野望を打ち破り、扶桑にも三国志にも平安をもたらすための旅だ。
次兄曹素の姦計に嵌められ国賊として追われる茶姫を援け、叶うことなら、茶姫を魏王に座に就かせ、三国を鼎立させる。そのために、天下三分の計の主唱者である諸葛茶孔明を訪ね、孔明との、中華風に言うならば合作を計る。
曹素のために、茶姫は謀反の首魁にされ、つまりは全国指名手配されている。茶姫の近衛として付き添った俺たちも、織田兄妹としては三国志の血を踏むことはできない。
そのために、意には沿わないが、オブジェの三蔵を戴いて、西遊記の続編というかスピンオフというかを装って蜀の成都を目指している。
「あ、見えてきた、ブヒ!」
意外にノッテいる市が猪八戒になり切って声を上げる。
「玉門関だッパ」
茶姫も語尾に『カッパ』を付けることで、沙悟浄らしさを出そうとしているのだが、促音化させて『ッパ』になっている。
「ああ、そうだな」
「だめだぞ、悟空は語尾に『ウキ』を付けなきゃブヒ」
「やってられるか(#`O´)!」
「そうだぞッパ」
「三蔵法師、なんとか言ってやれ」
三蔵はアルゴリズムに従ってニコニコ笑うばかりだ。
ちょっと、意地悪してやる。
「市、いや八戒、玉門関の玉門の意味を知ってるか?」
「え……玉のように大事な関だからブヒ?」
「知っているッパ」
「沙悟浄は答えちゃだめだブヒ」
「ふふ、八戒には、ちょっとむつかしい」
「あ、あ、そんなことない。言えるもん、ブヒ」
子どもの頃に、他愛のないナゾナゾや質問をして遊んでいた時のノリになってきた。
市……八戒はインタフェイスの地図を睨んで、なにか閃いたようで、嬉しそうに指を立てた。
「玉とは、将棋の駒の玉将のことブヒ」
「なんで、将棋になるんだ?」
「玉門関は河西回廊の西端ブヒ。長城も尽きてしまってるし、北や西から攻め込まれれば苦しいブヒ。だから、ちょっと大き目の王将クラスの砦を造ったブヒ」
なるほど、画面に映っている玉門関は小振りだが堅牢な城塞だ。周囲を見ると、二重に防壁が組まれた跡もあり、最果ての出城にしては立派な造りだ。
「玉門関から敦煌までは凡そ300キロ、馬なら五日ほどだが、砦や城を攻めるには歩兵が中心の部隊編成になって、十日はかかる。つまり、十日以内に落す自信があれば攻めてみようという気にさせる構えだ。一万、いや、わたしなら8000の兵があれば五日も掛からん。ちょっと勢いがあれば攻めてみようという気にさせるぞ」
「そうだな」
「しかし、よく見ると、敦煌との間に小規模な砦が八カ所。忍ばせれば、それぞれ1000から1500の兵を籠めておくことができる。合わせれば8000から12000の兵になる。連携さえとれていれば、玉門関が包囲されるまでに陣を敷いて野戦に持ち込める。玉門関の兵と合わせれば、敵を逆包囲することもできる」
「おお、さすがは信長の妹、よく見抜いておる」
「そ、そうよ、玉を囮にして、敵を一網打尽にする。将棋の構えに似てるのよ」
「ブヒを忘れているぞ」
「こ、これから言うとこなのよブヒ!」
「悟空、もう正解を言ってやれッパ」
「仕方がない。ようく聞いていろ」
「な、なによブヒ」
「玉門関の玉門とは、女のオ○コのことだ」
「な(; ゚゚)!?」
「見ろ、玉門関の大手門を!」
「え……」
「縦長にすぼまった下に小さく門があって、そのような感じであろう」
「…………(#'∀'#)」
「その様子を見て、いつかしら、玉門関と呼ぶようになったのだ。ここを侵せば中原を落としたも同様だとな」
「……こ、このうつけぇ! お、お兄ちゃんのバカァ! ブヒィィィ!!」
ドタドタドタドタ……!
「行ってしまったぞッパ」
「前には玉門関しかない、行けば、すぐに追いつく」
しばらくは河西回廊、砂漠の旅だ、力を抜いて行かなければな。
意味は無いんだろうが、三蔵がウフフと笑った。
☆彡 主な登場人物
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織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
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