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177『三合河原超説法会・2』
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鳴かぬなら 信長転生記
177『三合河原超説法会・2』信長
地平線の彼方から巨人の軍隊が堂々と行進してきて、それが目の前で一斉に跳躍、槍や太刀を構えて吶喊の姿勢で着地。そんなイメージをさせてボレロが終わると、三蔵法師が幻の巨人群の中から前に進み出る。
「よく参られた、三国志善男善女老若男女の方々!」
体に似合わぬ大音声で語り始めると、三合河原の万余の聴衆は寂として三蔵法師の説法に耳を傾け始める。
河原に通じる土手には、遅れてやってきた聴衆たちが、説法の邪魔にならぬように足音も息も潜めて先着の大衆(だいしゅ)の中に入っていく。
河原の要所要所にはビールケースの上に立った整理係が居て、無言のまま大衆を整頓し、大衆たちも係りの指示に従って、全体が大きな生き物のように静謐を保ったまま動いて収めてしまう。
いやはや、三蔵法師……一言主はすごい。
アマテラスは適当に選んでいるようだが、思金(オモイカネ)といい一言主といい、当を得た人選、いや神選だ。このまま三蔵法師として宗派を立てれば強力で穏当な仏教ができあがるぞ。こういう宗派であれば、比叡山のような、日本史では稀に見るようなジェノサイドをやらずに済んだ。
俺は悟空のままのナリだが、市と茶姫には擬態を解いていいと言ってある。
三蔵法師が説法をしている間は大丈夫だ。
元々は、扶桑や三国志でも類を見ないスーパー美少女の二人だ。 俺も美少女だが、あの二人は天然だしな。四六時中ブタとカッパの姿では息が詰まるだろう。
今日は、俺一人が悟空として会場をパトロールしているだけで十分だ。
ん……土手の木の下で茶姫が誰かと話している。あれは……検品長と備忘録ではないか。
検品長:「ようやくお目にかかれましたぁ」
備忘録:「感無量でございます、よくぞ御無事で」
茶姫:「ああ、お前たちもな。よくぞ無事でいてくれた。しかし、兄の工事現場で働いていたとは驚いたぞ」
検品長:「はい、忸怩たる思いではありましたが、曹操様のおやりになっていることはよく分かりました」
茶姫:「長江の上流で堤防を作っているのだったな」
検品長:「はい、なかなかのものでございました……」
備忘録:「これをご覧ください、メモしておいたものを道中まとめて参りました」
茶姫:「おお、さすがは備忘録! 見せてもらうぞ!」
茶姫は木の根方に背中をあずけて備忘録のレポートに目を通す、二人の部下は目立たぬように膝を抱いて三蔵法師の説法に耳を傾けるフリ……いや、本当に聞き入ってるし(^_^;)
茶姫:「……備忘録」
備忘録:「は、はい」
茶姫:「兄のやっていることは、至極まともだぞ」
検品長:「はい、そうなのです。この築堤工事は魏国のみならず三国志全域に恩恵をもたらします。のみならず、三国に財政的な無理にならぬように、魏の側の堤防を低くして、工事期間の短縮と工事費の削減を図り、蜀や呉の理解も得ております」
茶姫:「これが蜀の劉備、呉の孫策なら、こうも疑いはせんが……」
検品長:「引き続き探りは続けます」
茶姫:「ああ、しかし、無理のないようにな……これが本当なら、あとは兄妹だけの問題なんだがなあ……」
備忘録:「……しかし」
茶姫:「ん?」
備忘録:「三蔵法師さまの御説法、なかなか胸にしみますなあ」
検品長:「これ、備忘録、茶姫様は真剣にお考えなんだぞ」
備忘録:「あ、これはしたり!」
茶姫:「よいよい、事実三蔵法師さまの御説法は尊い。こちらは直に結論の出るものでもないし、ゆっくり御説法を聞くがいい」
なべて世はことも無し……このまま三蔵法師の教えが広まれば、三国志は史上まれに見る太平の世が訪れそうなんだが。
見上げた空は黄砂も飛ばず、この季節には珍しく澄み渡って抜けるような青空だった。
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主
177『三合河原超説法会・2』信長
地平線の彼方から巨人の軍隊が堂々と行進してきて、それが目の前で一斉に跳躍、槍や太刀を構えて吶喊の姿勢で着地。そんなイメージをさせてボレロが終わると、三蔵法師が幻の巨人群の中から前に進み出る。
「よく参られた、三国志善男善女老若男女の方々!」
体に似合わぬ大音声で語り始めると、三合河原の万余の聴衆は寂として三蔵法師の説法に耳を傾け始める。
河原に通じる土手には、遅れてやってきた聴衆たちが、説法の邪魔にならぬように足音も息も潜めて先着の大衆(だいしゅ)の中に入っていく。
河原の要所要所にはビールケースの上に立った整理係が居て、無言のまま大衆を整頓し、大衆たちも係りの指示に従って、全体が大きな生き物のように静謐を保ったまま動いて収めてしまう。
いやはや、三蔵法師……一言主はすごい。
アマテラスは適当に選んでいるようだが、思金(オモイカネ)といい一言主といい、当を得た人選、いや神選だ。このまま三蔵法師として宗派を立てれば強力で穏当な仏教ができあがるぞ。こういう宗派であれば、比叡山のような、日本史では稀に見るようなジェノサイドをやらずに済んだ。
俺は悟空のままのナリだが、市と茶姫には擬態を解いていいと言ってある。
三蔵法師が説法をしている間は大丈夫だ。
元々は、扶桑や三国志でも類を見ないスーパー美少女の二人だ。 俺も美少女だが、あの二人は天然だしな。四六時中ブタとカッパの姿では息が詰まるだろう。
今日は、俺一人が悟空として会場をパトロールしているだけで十分だ。
ん……土手の木の下で茶姫が誰かと話している。あれは……検品長と備忘録ではないか。
検品長:「ようやくお目にかかれましたぁ」
備忘録:「感無量でございます、よくぞ御無事で」
茶姫:「ああ、お前たちもな。よくぞ無事でいてくれた。しかし、兄の工事現場で働いていたとは驚いたぞ」
検品長:「はい、忸怩たる思いではありましたが、曹操様のおやりになっていることはよく分かりました」
茶姫:「長江の上流で堤防を作っているのだったな」
検品長:「はい、なかなかのものでございました……」
備忘録:「これをご覧ください、メモしておいたものを道中まとめて参りました」
茶姫:「おお、さすがは備忘録! 見せてもらうぞ!」
茶姫は木の根方に背中をあずけて備忘録のレポートに目を通す、二人の部下は目立たぬように膝を抱いて三蔵法師の説法に耳を傾けるフリ……いや、本当に聞き入ってるし(^_^;)
茶姫:「……備忘録」
備忘録:「は、はい」
茶姫:「兄のやっていることは、至極まともだぞ」
検品長:「はい、そうなのです。この築堤工事は魏国のみならず三国志全域に恩恵をもたらします。のみならず、三国に財政的な無理にならぬように、魏の側の堤防を低くして、工事期間の短縮と工事費の削減を図り、蜀や呉の理解も得ております」
茶姫:「これが蜀の劉備、呉の孫策なら、こうも疑いはせんが……」
検品長:「引き続き探りは続けます」
茶姫:「ああ、しかし、無理のないようにな……これが本当なら、あとは兄妹だけの問題なんだがなあ……」
備忘録:「……しかし」
茶姫:「ん?」
備忘録:「三蔵法師さまの御説法、なかなか胸にしみますなあ」
検品長:「これ、備忘録、茶姫様は真剣にお考えなんだぞ」
備忘録:「あ、これはしたり!」
茶姫:「よいよい、事実三蔵法師さまの御説法は尊い。こちらは直に結論の出るものでもないし、ゆっくり御説法を聞くがいい」
なべて世はことも無し……このまま三蔵法師の教えが広まれば、三国志は史上まれに見る太平の世が訪れそうなんだが。
見上げた空は黄砂も飛ばず、この季節には珍しく澄み渡って抜けるような青空だった。
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
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