テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

文字の大きさ
29 / 464

清野江紀と薬師寺咲那(第9話)

しおりを挟む
ーー咲那視点ーー

 相手が鏡幕を張り巡らせている以上、対処する方法は限られている。こちらからの魔法攻撃は、全て鏡幕によって反射されてしまうので、鏡幕の強度を上回るダメージを与えることができなければ、こちらがじり貧となってしまう。

 だが、あたしの攻撃なら相手の強度を上回ることは可能だ。魔法剣のように、何らかの媒体に魔力を宿した武器であれば、反射されず、弾かれる程度に留まる。もっとも、弾かれ方次第によってはこちらが体勢を崩される可能性もあるので、なるべくならあまり弾かれることなく何とかこちらのペースにもっていきたい。

 あたしは、魔法剣ーエクセリオンの刀身の魔力を高めた。相手の強度を上回るには、どうやら力の出し惜しみなどしていられる状況ではないようだった。とはいえ、さすがにこちらの魔力容量も限られているので、ある程度の余力は残しておく必要がある。

 亜人種型デミヒューマンタイプとの戦いは、まだ始まったばかりなのだ。

「覚悟しな蟲けら、その鬱陶しい鏡幕ごと切り裂いてやるぜ」

「大した自信だね、お嬢さん。まあせいぜい頑張ってみなよ」

 相変わらず、悪戯好きな悪ガキを連想させるような声色でこちらを挑発してきた。

 いいぜ、挑発に乗ってやる・・・!

「はあ!」

 あたしは再び亜人種型デミヒューマンタイプに斬りかかった。

 ガキイィィン!魔法剣と鏡幕が接触するたびに火花が散った。ついでに、激しい金属音が辺りにこだまする。しばらくの間、あたしはひたすら無言で斬撃を繰り出していた。

 刀身の魔力を高めているので、さすがに受けただけでこちらの体勢を崩されるということはないが・・・。 

 やはり、刀身の魔力をもう少し高める必要があるなー。
 
 何度か相手の剣を受けてみて分かったことは、相手の鏡幕を砕くには、さらなる強度が必要だということだ。後々のことも考えて、なるべくなら魔力は温存しておきたいところだが、仕方がない。

 あたしは斬撃を繰り出しながら、魔力をさらに刀身に流した。さすがに全魔力は使えないが、これくらいなら、相手の強度を上回れるはずだ。

 亜人種型デミヒューマンタイプは、相変わらずのニヤケ面であたしの攻撃を受け止めている。その余裕しゃくしゃくと言った面構えが頭にくる。

 今に見ていろ・・・!

 亜人種型デミヒューマンタイプが剣を振り下ろす。それをあたしが受け止めた。

 パリィィン!

 何かが砕けるような音があたりに響いた。

 亜人種型デミヒューマンタイプの剣に亀裂が入っている。どうやら、あたしのエクセリオンの強度が勝ったようだ。初めて亜人種型デミヒューマンタイプの顔に驚愕の色が浮かんだ。

「!」

 亜人種型デミヒューマンタイプが後方に飛んで距離を取る。予想外の反撃に、少しは警戒したのかー。

「やるねえ、お嬢さん」

 亜人種型デミヒューマンタイプ自身の剣を腕の形に戻して、その傷を確認していた。傷・・・といっても、別に致命傷を与えたわけではない。人間に例えるならば切り傷やかすり傷くらいなものだろう。

 だがー。

「僕の体に傷をつけた人間は初めてだよ」

 相手のプライドは大いに傷つけたようだった。

「ああ、そうかい」

 表情が少し険しさを増した亜人種型デミヒューマンタイプに対し、あたしはにっこりと笑顔を見せてやった。

「そりゃ光栄だね」

 とはいえ、相手に与えたダメージなどほとんどないに等しいことには変わりない。今までは、相手もあたしを軽く見ていただろうが、この手の連中というのは、自分のプライドを傷つけられた時が一番危ない。

 これであたしに対して油断を見せることもないだろう。

「君を過小評価していたよ」

 亜人種型デミヒューマンタイプが鏡幕を解除し始めた。代わりに、自身の魔力を解放し始めた。

 無数の魔法球が空中に浮かぶ。その数数十個である。

 さらには、それだけではなかった。

「地中にも魔力を放ちやがったな・・・」

 地面に打ち込まれた魔力の塊は、まるで「地雷」のように地中に配置され、あたしを足元から攻撃しようとしている。しかも、魔力の波動の場所が移動していることから、この「地雷」は地中を自由自在に動けるようだった。

 空中に配置された魔法球は視覚で、地中のものは魔力の波動を頼りに避けなければならない・・・。

 もっとも、相手の攻撃を「捉えられる」だけマシではある。相手によっては、全く確認できない攻撃を仕掛けてくるものもいるからだ。

 ただ数が多い。さすがにすべてを回避しながら戦うのは難しいだろう。

 多少ダメージを受ける覚悟は必要になりそうだ。

「さあ、このまま一気に決めてしまおうか、お嬢さん。君が倒れるまで何発でも食らわせてやるよ」

 亜人種型デミヒューマンタイプが再び笑う。いやな笑い方だ。自分の勝利を確信しているのだろう。

「君たち人間より圧倒的に魔力容量は多いからね。おそらく君の数十倍くらいはある。君が跡形もなく消えてなくなるまで撃ってあげようか」

「おもしれえ、そんなボール球であたしをどうにかできるってんなら」

 あたしはエクセリオンを構え直した。

「やって見せてみろってんだ」

 こうして、第2ラウンドは始まろうとしていたー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...