9 / 30
9 人生相談 à お父様
しおりを挟む
今日は中等学園をお休みすることにいたしましたわ。
怖い子判定された侍女の諫言ですわ。
わたくしの心の内を察してくださるだなんて、さすが我がギーズ家の精鋭侍女としか言いようがございませんわ!
レアから報告を受けたお父様がお話をしたいとおっしゃったので、現在、人生相談という名の尋問を行っておりますわ。
「で、そんなひどいことをされたアリアはどうしたいんだい?」
正直、そこが定まっていないのですわ。
「まだ何とも言えませんわね……。お二人がどうなさりたいのか、ギーズ家にどのような利害を与えるのか、確認してみてから今一度お話いたしますわ」
「損得なんかはどうでもいい。アリアがいやなら、すぐにでも陛下の執務室に乗り込んで直談判してくるが」
「お父様……」
呆れてしまいますわ。
ギーズ公爵家当主たるものが、目先のことに囚われてばかりでは、すぐに没落してしまうんではなくて。
「それとも、シャロウン家を直接没落させるほうがいいかい? 幸いにも既に没落仕掛けている男爵家、それも大きな反発のなかで叙爵された外国貴族だから、一週間もかからないよ」
「やめてくださいませっ」
なんてことをおっしゃるのです、お父様……。
「冗談だよ、冗談」
相変わらずこの方は……言うだけ無駄ですわね。
騎士としてお忙しくしていらっしゃるので今は不在のセドお兄様が、以前、「アリア、気をつけるんだ。父上は『親バカ』という人種なのだ」とおっしゃっておりましたもの。
「それで、正直なところ、アリア自身はどうしたいんだい?」
「ラファエル王太子殿下をしあわせにして差し上げるのですわ」
「相変わらず殿下が大好きすぎる、我が愛しの娘……不憫だ……健気で素直……」
嘘くさいですわね。
大仰でいかにもお芝居ですといった、大根役者も真っ青どころか真っ白なお言葉ですわ。
「明日はきちんと中等学園に参りますので、その際、お二人を見極めてまいりますわ」
「……あー、その、なんだ、まあ、頑張れ」
「はい」
歯切れが悪いですわね。
我が家の当主ならば、そんな情けない声も自信なさげな態度もなさらないでくださいましっ。
まあ、今はわたくししかいませんし、特別に許して差し上げますわ。
「そうだ、久しぶりにボードゲームをしようか」
いつも唐突ですわね。
「受けて立ちますわ」
「いや、なにもそんな喧嘩腰にならなくても……」
「貴族たるもの、いつでも戦場と思わなくてはなりませんわ」
情けないですわね、お父様。
もっとシャキッとしてくださいまし。
「それで、なにをいたしますの? バックギャモンですの? それとも、チェスですの?」
「チェスはここ最近飽きるほどやった。流行だから、そこかしこの貴族がこぞってやってるんだ」
「では鵞鳥のゲームをいたしましょう」
「なぜそこで選択肢になかったものを……」
あら、頭を使うゲームをしたくないのではなくて?
それに、わたくしは曲者ですもの、そんな単純なことをするわけがございませんわ。
お父様より格段に運の良いわたくしは、当然のごとく勝利いたしましたわ。
爽快ですわねぇ、胸がすきますわぁ……。
わたくしの八つ当たりの標的にされてボロ負けだなんて――ご愁傷さまですわね、お父様。
オーホッホッホ!
怖い子判定された侍女の諫言ですわ。
わたくしの心の内を察してくださるだなんて、さすが我がギーズ家の精鋭侍女としか言いようがございませんわ!
レアから報告を受けたお父様がお話をしたいとおっしゃったので、現在、人生相談という名の尋問を行っておりますわ。
「で、そんなひどいことをされたアリアはどうしたいんだい?」
正直、そこが定まっていないのですわ。
「まだ何とも言えませんわね……。お二人がどうなさりたいのか、ギーズ家にどのような利害を与えるのか、確認してみてから今一度お話いたしますわ」
「損得なんかはどうでもいい。アリアがいやなら、すぐにでも陛下の執務室に乗り込んで直談判してくるが」
「お父様……」
呆れてしまいますわ。
ギーズ公爵家当主たるものが、目先のことに囚われてばかりでは、すぐに没落してしまうんではなくて。
「それとも、シャロウン家を直接没落させるほうがいいかい? 幸いにも既に没落仕掛けている男爵家、それも大きな反発のなかで叙爵された外国貴族だから、一週間もかからないよ」
「やめてくださいませっ」
なんてことをおっしゃるのです、お父様……。
「冗談だよ、冗談」
相変わらずこの方は……言うだけ無駄ですわね。
騎士としてお忙しくしていらっしゃるので今は不在のセドお兄様が、以前、「アリア、気をつけるんだ。父上は『親バカ』という人種なのだ」とおっしゃっておりましたもの。
「それで、正直なところ、アリア自身はどうしたいんだい?」
「ラファエル王太子殿下をしあわせにして差し上げるのですわ」
「相変わらず殿下が大好きすぎる、我が愛しの娘……不憫だ……健気で素直……」
嘘くさいですわね。
大仰でいかにもお芝居ですといった、大根役者も真っ青どころか真っ白なお言葉ですわ。
「明日はきちんと中等学園に参りますので、その際、お二人を見極めてまいりますわ」
「……あー、その、なんだ、まあ、頑張れ」
「はい」
歯切れが悪いですわね。
我が家の当主ならば、そんな情けない声も自信なさげな態度もなさらないでくださいましっ。
まあ、今はわたくししかいませんし、特別に許して差し上げますわ。
「そうだ、久しぶりにボードゲームをしようか」
いつも唐突ですわね。
「受けて立ちますわ」
「いや、なにもそんな喧嘩腰にならなくても……」
「貴族たるもの、いつでも戦場と思わなくてはなりませんわ」
情けないですわね、お父様。
もっとシャキッとしてくださいまし。
「それで、なにをいたしますの? バックギャモンですの? それとも、チェスですの?」
「チェスはここ最近飽きるほどやった。流行だから、そこかしこの貴族がこぞってやってるんだ」
「では鵞鳥のゲームをいたしましょう」
「なぜそこで選択肢になかったものを……」
あら、頭を使うゲームをしたくないのではなくて?
それに、わたくしは曲者ですもの、そんな単純なことをするわけがございませんわ。
お父様より格段に運の良いわたくしは、当然のごとく勝利いたしましたわ。
爽快ですわねぇ、胸がすきますわぁ……。
わたくしの八つ当たりの標的にされてボロ負けだなんて――ご愁傷さまですわね、お父様。
オーホッホッホ!
111
あなたにおすすめの小説
婚約破棄寸前、私に何をお望みですか?
みこと。
恋愛
男爵令嬢マチルダが現れてから、王子ベイジルとセシリアの仲はこじれるばかり。
婚約破棄も時間の問題かと危ぶまれる中、ある日王宮から、公爵家のセシリアに呼び出しがかかる。
なんとベイジルが王家の禁術を用い、過去の自分と精神を入れ替えたという。
(つまり今目の前にいる十八歳の王子の中身は、八歳の、私と仲が良かった頃の殿下?)
ベイジルの真意とは。そしてセシリアとの関係はどうなる?
※他サイトにも掲載しています。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
【短編】誰も幸せになんかなれない~悪役令嬢の終末~
真辺わ人
恋愛
私は前世の記憶を持つ悪役令嬢。
自分が愛する人に裏切られて殺される未来を知っている。
回避したいけれど回避できなかったらどうしたらいいの?
*後編投稿済み。これにて完結です。
*ハピエンではないので注意。
【完結】仕方がないので結婚しましょう
七瀬菜々
恋愛
『アメリア・サザーランド侯爵令嬢!今この瞬間を持って貴様との婚約は破棄させてもらう!』
アメリアは静かな部屋で、自分の名を呼び、そう高らかに宣言する。
そんな婚約者を怪訝な顔で見るのは、この国の王太子エドワード。
アメリアは過去、幾度のなくエドワードに、自身との婚約破棄の提案をしてきた。
そして、その度に正論で打ちのめされてきた。
本日は巷で話題の恋愛小説を参考に、新しい婚約破棄の案をプレゼンするらしい。
果たしてアメリアは、今日こそ無事に婚約を破棄できるのか!?
*高低差がかなりあるお話です
*小説家になろうでも掲載しています
【短編】婚約解消を望もうとも、婚約者から言葉を聞かない限りは応じませんわ
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
伯爵令嬢のディアナ・アルヴィエは実家と絶縁し、婚約者であるアーレントの実家である辺境領の屋敷で暮らしていた。魔物討伐や結界の管理などを担う即戦力としていたディアナは、アーレンが成人したら結婚する。
はずだった。
王都に突如現れた黒竜討伐へと赴いた婚約者アーレンと様の部下だと名乗る使いから婚約解消の知らせが届く。それと同時に辺境地の結界に亀裂が入り、答え合わせは後回しとなるのだが、同時にカルト集団の奇襲を受けてしまい──!?
両親に愛されなかった令嬢が幸せを受け入れるまでのお話。
年下情緒不安定ヤンデレ騎士×自尊心の低い年上大魔法使いのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる