娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)

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誤解

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私がそう言うと、シーク様は途端に嬉しそうな表情へと変わる。
そんな彼の反応に私も嬉しくなった。


「ちょっと、いいかしら。」


シーク様と和んでいると、遠慮がちに寝室の扉が開いた。
そして現れたのは義父母だった。


「私達も、貴女に誤解させてしまったわ。」


申し訳なさそうにそう言った2人に、私は首を傾げる。


「私達、貴女が離れに来てくれることを邪険になんか思ってないのよ。
もっと仲良くなりたいと思ってたんだけど…」


「なにぶん、息子の嫁にどう接したらいいか分からなくて無視をしてしまった。」


申し訳なさそうにそう言った姑と舅。
私と話したくなくて無視じゃなくて、話したかったけど話せなくて無視…?
義父母の意外な告白に私は混乱する。


「そ、そんな…」


「また、離れに来てくれる…?
今度はちゃんと言葉を交わしましょう。」


そんな姑の願いに私は強く頷く。


「はい、ぜひ行きます。」


なんだ、嫌われてたわけじゃないのね…
私は安心する。

私が家を飛び出した原因が全て解決する。
もうこの家にしこりはない。
だから、私が離婚する必要はない。


「…ご迷惑おかけしました。
改めて、よろしくお願いします。」


私はシーク様と義父母にそう挨拶をする。


「全く…可愛いんだから。」


そんな私を感極まったという様子の義母が突然抱き締める。


「お義母様…」


そんな義母に今度は私が感極まってしまった。
胸がジーンとする。


「母さん、アリスを泣かせないでくれ。」


「貴方に言われたくないわ、そうよね?」


シーク様の言葉に義母がそう言って私に同意を求める。

確かに…私も同意して頷き返した。


「アリスを返してくれ。」


そんな私に拗ねたような口調でシーク様が、そう言った。
そんな彼の様子に私は笑ってしまう。

なんだか、新たな一面を知った。
面白くなった私が吹き出すと、続けて義父母も笑い始める。


「独占欲高い男は、嫌われるぞ?」


突然、そんな声がして辺りを見ると、声の持ち主はシーク様の友人カイルだった。

あら、すっかり忘れていた。


「忘れてましたよね?
僕の存在…」


わざとらしく悲しそうな表情を浮かべた彼に、今度はシーク様が吹き出した。


「確かに、すっかり忘れていた。」


そして瞬く間に笑いの輪は広がって、私も、義父母も笑い出す。

なんて幸せなのかしら。
私はそんな空間に心地よさを感じた。

離婚届を置いて逃げ出して、娼婦になって…
この半年色々なことがあった。

でも私は、再びこの屋敷に戻ってきた。
そして今、幸せだと感じている。

そんな自分の変化に嬉しくなる。
そして夫を見上げた私は、こっそり彼に耳打ちした。


「貴女のことが、好きです」


そして先ほど自覚したばかりの気持ちを言葉にした。


──完──
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感想 5

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みんなの感想(5件)

αぶたふさ
2025.11.23 αぶたふさ

多少ネタバレあり




せめて侍従や他の人が奥さんのフォローでもあればね。拠り所がない上に放置は無理だよな 売った宝石やら 元お客とかと出会ったらまたエピソードが出そうな想像した カイルさんが奥様の顔覚えててよかったわ
知らなくてプレイしてたとか その後知ったとか 地獄になりそう

解除
さとぷぅ
2025.09.21 さとぷぅ

復縁できてよかったですね!とは思いますが、非現実的すぎてちょっと⋯
貴族の生まれでも理由がなんであっても、娼館の女性が貴族夫人になるのは無理でしょう。昔の貴族は血統や処女姓第一ですからね。託卵なんてされたらたまりません。
まぁ、創作物にそこまで言うか?って言われたらそれまでですけどね⋯
創作物なのでそんなものなんでしょう。

解除
もと
2025.09.15 もと

娼館にいたことを今は大丈夫かもしれないけど、そのうち何か言いそう。

解除

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