4 / 71
第4話 魔法
しおりを挟む
俺は今、ハイハイを使って目的の場所へと移動している。
そこは赤ちゃんだけに行くことが許される聖域。
それは……みんなの夢がつまった……
スカートの中である。
メイドのスカートは裾が長く地面すれすれまであり、俺が後ろからスカートの中に潜り込めばすっぽりと納まってしまうのだ。
俺はメイドの1人であるヒルダに狙いを定めた。ヒルダは20代前半くらいで、黒髪は肩くらいで切りそろえられ清楚な印象を受ける女性である。その女性のスカートの中にどんな秘密が隠されているのか………これは是非調査せねばなるまい。
俺はヒルダの後ろからひっそりとハイハイで近づき、目的地の目前まで迫ったら、素早くスカートの中にへと潜り込んだ。そして、仰向けになり、ヒルダの歩くスピードに合わせて地面を這いずった。
そこには楽園が広がって……いなかった。
真っ暗である。
俺は体の動き止めた。すると、スカートの中の暗闇から解放され、視界は明るくなった。仰向けに転がった俺は首を後ろに倒すと、後方にはヒルダが遠ざかる後ろ姿が見えた。
ふむ、パンツの道は一日にして成らずというわけか……
俺はそこで思いついた。
魔法である。この世界に魔法があるというのなら、光を照らす魔法等を覚えられないだろうか。
書斎の位置は把握している。広間から階段を上り、右に進んだ突き当りの部屋がそこである。俺は慎重に階段を上る。2階に到着した時にはかなり疲れてしまったので、少し休憩してから、書斎へと向かう。
なんという事でしょう。ドアノブに手が届かない……
俺は書斎の扉に体当たりをしてみる。
しかし、反動で開くかと思ったが、しっかりとした造りである。ぴくりとも開く様子がない。
どうしようかと扉を見上げていると、扉が自動で開く。
「誰?」
中からお兄様が顔を出す。
「ジークじゃないか。一人で2階に上がってきたのかい」
「あう」
「本に興味があるのかい?」
「あい」
流石はお兄様。俺の考えは全てお見通しですね。
お兄様は俺を抱え上げて書斎の中に入り、扉を閉める。
「ここにはいろいろな本があるからね。ジークは何に興味があるのかな……」
「あおー、あおー」
「ん? 魔王かい。どこでそんな事を覚えたんだ……魔王はね200年前に勇者に封印されたと言われているんだ。こっちの本に、挿絵付きの物語が……」
俺はぶんぶんと首を振る。というか魔王なんている世界なんですね……でも封印されているなら関係ないか。そんな事より魔法ですよ。お兄様。
「あおー、あおー」
必死に腕を振ってお兄様に伝えようとする。
「もしかしてこっちの魔法の本に興味がある?」
流石です、お兄様。
お兄様は、魔法関連と思われる本を本棚から手に取り、俺に見えるように広げてくれる。
そこにはイラスト付きで文字がびっしりと書き込まれていた。
だが、俺には全く読むことができなかった。
「あう」
俺が落胆の表情を見せると、お兄様は声に出して読んでくれる。
「魔法は大気中の魔素を取り込み、イメージを具現化する方法である。人により各々得意な属性があり、火、水、土、風、光の5属性と、それに当てはまらない無属性の魔法に分類される。……ここにはこう書かれているけど、もっと細分化すれば、これ以外の属性もあるからね。それに、悪魔達が使うと言われている闇魔法何てものもこの世にあるんだよ。この本は言わば入門編みたいなものだよ」
まだ喋る事もままならぬ赤ちゃんであるのにも関わらず、お兄様はやさしく教えてくれる。
「何か興味のあるものはあるかい」
そう言って、ぱらぱらとページをめくってくれる。
「あう」
俺は人差し指から光らしきものを発しているイラストを見て、声をあげた。
「【ライト】かい。これは光を出して維持する魔法だね。これを応用して、魔石を使って部屋の明かりにしていたりするんだ」
お兄様は部屋の明かりを指さす。
この世界は電気ではなく魔法の力で明かりをとっているということか……
「あう、あうあう」
俺は了解したとばかりに頷く。
「使ってみようか?」
お兄様は【ライト】を使えるんですか。それは是非。
「あう、あう」
俺のテンションはあがる。
「جمع الضوء【ライト】」
短く何か聞きなれぬ言葉を唱えると、人差し指の先に光が集まった。
「うおい、にいに」
俺は手を叩いて喜んだ。それを見てお兄様は優しく微笑んだ。
「大気中の必要な属性の魔素を集めて詠唱をするんだ。そうすれば精霊さん達の力を借りてイメージを具現化する事ができるんだよ。きっとジークにも使えるようになるはずさ」
お兄様は俺の頭をなでてくれる。
俺としてはすぐにでも使えるようになりたいところだが、練習するしかあるまい。
「あうあう あうあうあう 【あいお】」
お兄様が唱えた言葉を完璧にトレースして、俺は腕をぶんぶんと振る。
「あはは。ちゃんと喋れるようになってからだね」
「あう」
ちぃ、俺の発声器官ではまだもう少しというところか……
その後もいろいろと魔法の本のページをめくりながら、いろいろとお兄様は教えてくれましたが、俺はいつの間にか眠ってしまい、気付いたらゆりかごの中に納まっていた……
そこは赤ちゃんだけに行くことが許される聖域。
それは……みんなの夢がつまった……
スカートの中である。
メイドのスカートは裾が長く地面すれすれまであり、俺が後ろからスカートの中に潜り込めばすっぽりと納まってしまうのだ。
俺はメイドの1人であるヒルダに狙いを定めた。ヒルダは20代前半くらいで、黒髪は肩くらいで切りそろえられ清楚な印象を受ける女性である。その女性のスカートの中にどんな秘密が隠されているのか………これは是非調査せねばなるまい。
俺はヒルダの後ろからひっそりとハイハイで近づき、目的地の目前まで迫ったら、素早くスカートの中にへと潜り込んだ。そして、仰向けになり、ヒルダの歩くスピードに合わせて地面を這いずった。
そこには楽園が広がって……いなかった。
真っ暗である。
俺は体の動き止めた。すると、スカートの中の暗闇から解放され、視界は明るくなった。仰向けに転がった俺は首を後ろに倒すと、後方にはヒルダが遠ざかる後ろ姿が見えた。
ふむ、パンツの道は一日にして成らずというわけか……
俺はそこで思いついた。
魔法である。この世界に魔法があるというのなら、光を照らす魔法等を覚えられないだろうか。
書斎の位置は把握している。広間から階段を上り、右に進んだ突き当りの部屋がそこである。俺は慎重に階段を上る。2階に到着した時にはかなり疲れてしまったので、少し休憩してから、書斎へと向かう。
なんという事でしょう。ドアノブに手が届かない……
俺は書斎の扉に体当たりをしてみる。
しかし、反動で開くかと思ったが、しっかりとした造りである。ぴくりとも開く様子がない。
どうしようかと扉を見上げていると、扉が自動で開く。
「誰?」
中からお兄様が顔を出す。
「ジークじゃないか。一人で2階に上がってきたのかい」
「あう」
「本に興味があるのかい?」
「あい」
流石はお兄様。俺の考えは全てお見通しですね。
お兄様は俺を抱え上げて書斎の中に入り、扉を閉める。
「ここにはいろいろな本があるからね。ジークは何に興味があるのかな……」
「あおー、あおー」
「ん? 魔王かい。どこでそんな事を覚えたんだ……魔王はね200年前に勇者に封印されたと言われているんだ。こっちの本に、挿絵付きの物語が……」
俺はぶんぶんと首を振る。というか魔王なんている世界なんですね……でも封印されているなら関係ないか。そんな事より魔法ですよ。お兄様。
「あおー、あおー」
必死に腕を振ってお兄様に伝えようとする。
「もしかしてこっちの魔法の本に興味がある?」
流石です、お兄様。
お兄様は、魔法関連と思われる本を本棚から手に取り、俺に見えるように広げてくれる。
そこにはイラスト付きで文字がびっしりと書き込まれていた。
だが、俺には全く読むことができなかった。
「あう」
俺が落胆の表情を見せると、お兄様は声に出して読んでくれる。
「魔法は大気中の魔素を取り込み、イメージを具現化する方法である。人により各々得意な属性があり、火、水、土、風、光の5属性と、それに当てはまらない無属性の魔法に分類される。……ここにはこう書かれているけど、もっと細分化すれば、これ以外の属性もあるからね。それに、悪魔達が使うと言われている闇魔法何てものもこの世にあるんだよ。この本は言わば入門編みたいなものだよ」
まだ喋る事もままならぬ赤ちゃんであるのにも関わらず、お兄様はやさしく教えてくれる。
「何か興味のあるものはあるかい」
そう言って、ぱらぱらとページをめくってくれる。
「あう」
俺は人差し指から光らしきものを発しているイラストを見て、声をあげた。
「【ライト】かい。これは光を出して維持する魔法だね。これを応用して、魔石を使って部屋の明かりにしていたりするんだ」
お兄様は部屋の明かりを指さす。
この世界は電気ではなく魔法の力で明かりをとっているということか……
「あう、あうあう」
俺は了解したとばかりに頷く。
「使ってみようか?」
お兄様は【ライト】を使えるんですか。それは是非。
「あう、あう」
俺のテンションはあがる。
「جمع الضوء【ライト】」
短く何か聞きなれぬ言葉を唱えると、人差し指の先に光が集まった。
「うおい、にいに」
俺は手を叩いて喜んだ。それを見てお兄様は優しく微笑んだ。
「大気中の必要な属性の魔素を集めて詠唱をするんだ。そうすれば精霊さん達の力を借りてイメージを具現化する事ができるんだよ。きっとジークにも使えるようになるはずさ」
お兄様は俺の頭をなでてくれる。
俺としてはすぐにでも使えるようになりたいところだが、練習するしかあるまい。
「あうあう あうあうあう 【あいお】」
お兄様が唱えた言葉を完璧にトレースして、俺は腕をぶんぶんと振る。
「あはは。ちゃんと喋れるようになってからだね」
「あう」
ちぃ、俺の発声器官ではまだもう少しというところか……
その後もいろいろと魔法の本のページをめくりながら、いろいろとお兄様は教えてくれましたが、俺はいつの間にか眠ってしまい、気付いたらゆりかごの中に納まっていた……
10
あなたにおすすめの小説
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
転生幼子は生きのびたい
えぞぎんぎつね
ファンタジー
大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。
だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。
神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。
たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。
一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。
※ネオページ、カクヨムにも掲載しています
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる