Rasanz‼︎ーラザンツー

池代智美

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区域清掃 side

区域清掃 side:ルイス

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 区域清掃。
 今日はシェルアさんとブラッドさん、サン、俺のメンバーで、そこにセシリオさんも加わるらしい。
 集合場所である公園に着くと、俺はサンと掃除道具を貸して貰いに列に並んだ。

「貰ったらシェルアさんの所に行けよ」
「はい!」

 別の列に並んだが、サンが並んでいる列の方が進むのが早かった。
 先にサンがシェルアさんの所に戻ったようで、セシリオさん達に挨拶をしていた。
 オットーとリタもいるから今回も留守番は失敗したらしかった。
 係員から道具を受け取ってシェルアさん達の所に向かうと、ちょうどブラッドさんがオットーと本気で言い合った後煽っていて引いた。

……精神年齢オットーと同じか?

 おかえりと言ったリタちゃんに、俺はただいまと返事をして頭を撫でる。
するとリタちゃんは無言でシェルアさんの所に走っていってしまった。
嫌われるような事はしていないはずだが、ああいう反応をされると俺が何か悪い事をしたような気分になる。
 サンにそれを言うと、照れているんじゃないかと言われた。
 そうかと聞き返すと、イケメンだからとよくわからない答えを貰ったため、即座に否定しておいた。

——だいたいイケメンって言ったらセシリオさんみたいな人だろ。

 それよりブラッドさんにウザ絡みをされていないか聞くと、サンはされていないから大丈夫だと言った。
 敵意こそないが、あの人はシェルアさんが絡むと厄介だ。
 何かあったら言えとサンに言うと、サンは笑って礼を言った。
 セシリオさんがリタちゃんを抱えてこっちにやって来ると、二手に分かれて後で合流する事になったと説明された。
 流石にサンとブラッドさんを一緒にするのはサンの心労が心配だからシェルアさんが気を遣ったらしかった。
 今回はセシリオさんとリタちゃんだから、気遣いはしてもサンが嫌な思いをする事はないだろう。
 俺はよろしくとセシリオさんに返事をした。
 リタちゃんはセシリオさんの肩に顔を埋めていたが、セシリオさんによろしくしないのかと言われると、下ろしてと言って腕をすり抜けて地面にに降りた。
そして俺達の間に収まると、前を指差して早く行こうと言った。
 子供の機嫌は天気のようだ。
 セシリオさんが先頭を静かに歩くと、俺達は後ろをついて歩きながら道端に落ちているゴミを拾った。
 
 清掃作業を始めてから一時間が経った。
 この辺は割と一般的なゴミばかりだった。
粗大ゴミなんか拾えば持ち運びが面倒だからその点においては良かった。
 セシリオさんは作業の合間に、サンに区域清掃やゴミをポイ捨ての罰金について丁寧に説明してくれた。

 セシリオさんはいい人だ。
 独り身の姉貴と付き合ってくれないかと思った事があるくらいには、常識もあるし優しい。
 以前それとなくセシリオさんに恋人の有無を聞いてみたところ、弟妹の世話があるからそういうのは今は考えられないと言われたが、その答え含めて誠実な人である。
 
 二人の会話を聞いていたが、リタちゃんが重そうな瓶を持とうとしていたため、声をかけて代わりに拾った。
 
「ありがと!」
「どういたしまして」
 
 リタちゃんはきょろきょろ目を動かすと、セシリオさんの所に行った。
そして何故かサンを引っ張って向こうに連れていった。
 何かあったのかセシリオさんに聞くと、リタちゃんはセシリオさんに子供扱いされた事に怒って、サンを連れていったらしい。
 二人の方を見ると何やらこそこそ話している。
 上の立場にいる兄貴は大変だと言うと、そう見えるかとセシリオさんは表情を変えずに言った。
 俺は姉貴は大変そうだったと個人的な見解を話した。  
 セシリオさんの返事は短かったが、目はリタちゃんを追っている。
 不意にサンに名前を呼ばれた。
 一言断ってサンの所に行くと、リタちゃんの名前を出されて頭の上にクエスチョンマークが浮かんだ。
 リタちゃんは恐々と自分を嫌いになったかと俺に聞いてきた。
それを聞くに至った経緯が気になったが、ひとまず嫌いにはなっていない事を素直に言うと、リタちゃんは俺を見るとドキドキするから避けたのだと謝った。

——どうもリタちゃんは俺を見ると緊張してしまうらしい。

 俺は姉貴やシェルアさんみたいに物腰柔らかじゃないし、ブラッドさんみたいに本気で物を言う訳でもないし、サンみたいに優しくもない。
 特に話す必要がなければ黙っている性格だから、子供に嫌われたとしてもまあ仕方ないかくらいに思っていたが、リタちゃんはそんな俺でも仲良くしたかったようだ。

 俺は泣き出しそうなリタちゃんを励まそうと、屈んで目を合わせた。
 リタちゃんの頭にそっと手を置くと、リタちゃんは涙を溜めた目で俺を見上げる。
 罪悪感が一気に募った。
 言葉を慎重に選んで返事をすると、怒ってないのかと聞かれて胸が痛くなった。
 素直に嫌われているのかと思って心配した事を言うと、ごめんなさいと更に謝られた。
 どうにか泣くのだけは阻止しようと、優しく声をかけてリタちゃんの涙を指先で拭う。
 ハンカチを渡せば良かったと少し後悔しながら頭を撫でていると、サンにリタちゃんが恥ずかしがってるからやめてほしいと言われてしまった。
 ごめんと謝ると、リタちゃんは顔を赤くしてサンの脚にくっついた。
 女の子相手に頭を撫でるのはあまり良くない事らしい。
 サンにはイケメン怖いと言われて意味がわからなかった。

 担当場所の作業が終わると、俺達は待ち合わせ場所に戻った。
 今回は全体的にスムーズにいったらしく、よそに手伝いに行かなくても大丈夫だそうだ。
 セシリオさんは一人で俺達の持っているゴミを引き受けると、指定場所に置きに行った。

「僕これ返してきますね!」
「ありがとサンちゃん!」
「あ、おい——」

 止める前に二人はさっさと行ってしまった。
 大人用の飲み物を貰えるのは別の列のようで、俺はそっちの空いている列に並んで係員から飲み物とおまけで菓子を貰った。
 菓子は子供用に置いていたが、余ったから大人にも配っているらしい。
 
「あ、すみません飲み物もう一本貰えます?」
「はーい」
「ありがとうございます」

 ついでにサンの分の飲み物も貰っておいた。
 二本のペットボトルを持ってサンの並んでいた列に行くと、菓子を貰うのを渋っていたから声をかけた。
 多分自分が貰ったら他の子供に悪いと考えているのだろう。
 さっき俺も菓子を貰ったと教えると、サンはすんなり菓子を受け取った。

 ハロウィンみたいだと言うサンに子供の頃に参加したのかと聞いてみると、菓子を貰った事しか覚えてないと言葉が返ってきた。
 貰った炭酸のジュースを渡して、待ち合わせ場所に向かう。
 シェルアさんがおかえりと言うと、続いてオットーがお疲れと手を振った。
 オットーの手には食べかけのチョコチップクッキーがある。
 ブラッドさんは俺達が菓子を貰っている事に突っ込んできたが、いるのかと聞くといらないと言ってきた。
それに対してオットーがブラッドさんに菓子が欲しいのかとからかう。
 ブラッドさんは安い挑発に乗るとオットーの頭を掴んで悲鳴を上げさせて、直後にシェルアさんに叱られていた。馬鹿である。
 オットーはシェルアさんの後ろに避難すると、ブラッドさんに向かって舌を出した。
 
 リタちゃんとサンが菓子を交換する様子をぼんやり眺めていると、オットーがセシリオさんに拳骨を落とされて頭を抱えていた。
 不意にサンから欲しい菓子はあるか聞かれて、強いて言うならチョコだと答える。
 チョコを貰ったため、代わりにウエハースをサンに手渡した。
 貰った小さなチョコをラッピング袋に入れると、リタちゃんがチョコを俺に差し出してきた。
 あげると言われたが、子供の物を取る気はない。
 リタちゃんが食べるよう促すと、クッキーの方が好きだからチョコはあげると言われた。
 どうしようか迷っていると、サンが俺に目配せして貰えとジェスチャーする。
 俺はサンの必死さに目を瞬かせると、屈んでリタちゃんにチョコを貰った。
 リタちゃんにつられて笑うと、緊張したのかサンの後ろに隠れてしまった。

……交換しようにもクッキーはないから今度だな。

 仲良くなったと言うシェルアさんに、サンはリタちゃんがいい子だからと言葉を返す。
 シェルアさんはサンもいい子だと言って頭を撫でたが、ブラッドさんが滅茶苦茶睨んでいて俺は呆れた。
 
 セシリオさん達と挨拶を交わして、リタちゃんとオットーに手を振り返した。
 二人はどこにそんな元気があるのか、大きく手を振り続けている。
 シェルアさんの楽しかったかという問いに、サンは無邪気な子供みたいな返事をした。

「っふ……元気すぎだろ」
「笑わないでくださいよ~」

 溢れた笑いを止めるのは無理だった。
 今日はサンのおかげでリタちゃんに嫌われていない事がわかって良かった。
 帰りの足取りは軽かった。


 

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