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第3章
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しおりを挟むそんな風にフィオレンティーナが、日に日に悲しそうで、寂しそうにするのに妖精たちも、蔦も気づいていて元気がなくなっていた。
もはやフィオレンティーナの気分の浮き沈みで、この国の雰囲気が決まるかのようになり始めてすらいたが、フィオレンティーナはそんなことになっていることに気づいていなかった。
オギュストは、以前から動かなければ、兄がやりたくないことには及び腰で、やらずに済むならいくらでも知らぬ存ぜぬをし続けるのをよく知っていたというのに。兄だからと義理立てして、こんなことになってしまったのだ。
妹であるリディアーヌも、それをどれほど見てきたことか。それで、兄であるオギュストの方が王になれば、この国のためになるとすら、散々言われていたし、妹以外にも言われていたが、それがここまでになるとは思いもしなかった。
まぁ、そちらよりも、フィオレンティーナの扱い方だ。このままでいいはずがない。そのため、とあることを計画した。リディアーヌの娘のキャトリンヌとその婚約者のジョスランの両親とリディアーヌの夫とも話してある。
リディアーヌは、今回のことを話した時から、怒り心頭だった。兄であるこの国の王が、花の守り手に未だに挨拶を済ませていないことに。オギュストは見たことないほどの怒りっぷりだった。それも、無理はないが。
そして、オギュストが未だにフィオレンティーナのしたいことをやらせずに兄である国王に義理立てして放置していることにも、物凄く怒っていた。それは恐ろしかった。それも、無理もない。妻にすら、そのことで怒られているのだ。それは、妻の方が妹を怒らせるよりも、大した事はなかった。
フィオレンティーナは、何やら顔色を悪くしているオギュストを心配していたが、それにすら彼は気づく余裕はなかった。
そんなことを考えていたが、フィオレンティーナの方は別のことで余裕がなくなっていたが、それに気づくこともできなかった。
全ては、やりたいことを止めたせいだと思ってはいたが、どれほどまでにその気持ちを止めているかをオギュストは、まだわかっていなかった。
それは、クラリスたちも同じようなものだったが。
「あの、動くっていうのは、どういう意味ですか?」
「国王は、あなたの婚約者が、自分の目をかけている者から出るのを待っているようなのです」
「? でも、リュシアン様は、ご子息なのですよね?」
「あの子は、私に懐いているので、気に入らないのですよ」
「……」
弟に懐いているから、何だというのか。身分の低い母を亡くして、頼りにならない父より伯父を頼って何が悪いというのか。フィオレンティーナには、さっぱりわからなかった。わからなかったが、1つわかった。
(ここの国王って、物凄く器が小さそうに聞こえるのは、私の気のせいかな?)
どうにかして、フィオレンティーナの婚約者に息のかかった者の息子をあてがいたいのにそれができていないようだ。
そうこうしているうちに婚約者が2人となり、フィオレンティーナの側に寄れる者もすっかり限られてしまっているため、益々困難になっているようだ。
そんなことになるとは思わなかったオギュストが、兄に義理立てしたことで、更にとんでもないことになっている。まぁ、それで何もかも放置せざるおえなくなっているのだ。
「……あの、それって、国王陛下も、私に会えないってことないですか?」
「「え?」」
ふと、フィオレンティーナは、そんなことを思ってしまったが、養父母たちが何とも言えない顔をしたので、そんなわけないかと誤魔化した。
「ないですよね」
「……いや、あるかもしれない」
「え?」
「そうですわ。そちらの方がありえそうです。もしかして、試してみて来れなかったとか?」
「いや、来るなら、そう知らせてくる。目立つことが好きだから、こっそりとなんて動かない」
「……」
それを聞いて、益々王が小物に思えてしまったフィオレンティーナだが、そのことは口にしなかった。
そんなこんなで、オギュストたちは他の者たちを呼んで、フィオレンティーナのところにたどりつけないから挨拶できていないという噂を密かに流した。
それで、色々言われれば、流石の王も動くと思ったのだ。
そんな噂がまことしやかに流れて、王は嘘をつかれてはたまったものではないとフィオレンティーナに元に挨拶に行くことにした。
そうは言っても、とっくに挨拶していると思っていた国民は、その噂のあとには花の守り手のところに王が挨拶に出向くと知らせが回ってきて、それに失望していた。色々と払拭したいのもあったようで、代々的にしすぎたことで、色んなことが台無しになっていたが、王はその辺をあまり気にしていないようだ。
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