姉の八つ当たりの対象の持ち主となっていましたが、その理由まで深く考えていなかったせいで、色々な誤解が起こっていたようです

珠宮さくら

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(アダルベロン視点)

婚約者であるオルテンシアと離れたくなくて留学から戻るのに無理矢理着いて来たが、学園に通う年齢ではなかったため、婚約者の家族に挨拶するだけでなく、もっとたくさん滞在するために王弟としての執務をいれたことで、王宮で会議やらがあって、それに参加していた。そのため、中々オルテンシアと一緒の時間を取れず、この国のことを見て回るなんて恋人同士のデートなんてできずにいた。

忙しくしていた間にオルテンシアは、実の姉であるエルマンガルドと和解していて、兄のマクシミリアンとの仲を悪化させていた。

しかも、レティシアと婚約すると言っていたのにその相手からは手酷く拒絶されたと聞いて、何とも言えない顔をした。

エルマンガルドの方は、オルテンシアが花嫁修業するのに私と戻るなら、自分も花嫁修業に婚約者の家に行くと言い出したのに目を瞬かせた。


「もう、この家に、あれと一緒にいたくないんです。でも、妹が残るなら、あれに何を言われるか気が気じゃないので残りますけど」
「オルテンシアは何と?」
「あの子は、優しいから、あれのためより両親のために残りそうなんですよね」


兄のことをあれとしか言いたくなくなっているようだ。

レティシアの方は言った通りに厄介者として扱われて、せっかくの婚約の話を断ったとして勘当されることになっていた。

それに前までのエルマンガルドなら大喜びしていたようだが、今、私の目の前にいるのはオルテンシアを心配する姉でしかなかった。


「学園を卒業して花嫁修業するより、すぐにでもしてくれるなら、2人共、結婚の時期が早められるな」
「私は早める気はないんですけど。オルテンシアは、早い方がいいかと思ってはいます」
「なぜだ?」
「あれが、この家を継ぐんですよ? 潰さないなんて、ありえないでしょ。オルテンシアが、あなたのところにお嫁に行くのに実家が、腑抜けていたら舐められるわ。そんなの許せないもの」
「……」


エルマンガルドは、もしかすると自分が実家を継ぐことになるかもと思っていたようで、それにアダルベロンは何とも言えなかった。

それこそ、そうなれば今の婚約も見直すことになるのだが、エルマンガルドは妹が幸せになるのを優先しているのにアダルベロンは、そんなことをオルテンシアに内緒にしていたら嫌われそうだと思ってしまった。








姪に似ているところがあるようで、アダルベロンはエルマンガルドを義理の姉として気にかけるまでになっていた。それをオルテンシアに伝えると嬉しそうにして笑った。

婚約者が、姉を気遣っているのが嬉しくて仕方がなかったようだ。その笑顔を見て、中途半端なまま戻るなんてことをアダルベロンはできなかった。

見届けてオルテンシアととことん話し合って、今後のことを決めることにした。

それをオルテンシアから聞いたエルマンガルドは、妹たちが仲良くしていることがわかって微笑ましそうにした。

それは、オルテンシアが留学する前まで考えられない光景だった。


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