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しおりを挟むそして、エラートの実家は、ヴェブレン男爵家からの手紙で養子に出した息子の兄がやったことを知って、すぐさま息子を問い詰めた。ダグール・イプセンは、それがバレるとは思っていなかったようだ。
「え?」
「お前がしたことはわかっているんだぞ!!」
「っ、」
手紙にまでしておいて、バレないわけがないと思うが、この子息はここまで大事になる前に自分の婚約者を見つけると思っていたようだ。
でも、名前を書いたら流石にまずいから、やんわりとこんな感じだろうというのを書いていた。実際、ダグールも会ったことがないため、自分の婚約者ならそのくらいだろうと思ってのことだ。
そのせいで、エラートは手当たり次第に声を掛けることにしたのだが、この兄は弟のことがよくわかっていなかったようだ。
「か、からかっただけです!」
「養子に行った弟だぞ!? あちらにどれだけ迷惑をかけたと思っているんだ!」
「それは、あいつがそこまで馬鹿だとは思わなくて」
いや、馬鹿だと思っているから利用しようとしたのだが、それを知られるわけにはいかなかったため、ダグールは必死になっていた。
「……お前、弟に婚約を台無しにしてほしかったのではないの?」
「っ、そ、そんなわけは……」
ダグールは、母の言葉を否定しようとした。すると……。
「そんなこと、あるわけないだろ。婚約者なら、こちらに留学して来てきるんだぞ」
父親は、そこまで馬鹿ではないだろうとばかりに話した。だが、ダグールは……。
「え?」
間抜けな顔をしたのを見て、まさか、嘘だろ?みたいな顔をしたのは、父親だった。
「……は? まさか、知らなかったのか?」
「え? こっちに来てる??」
「やはり、知らなかったのね。こちらに来て、令嬢に挨拶されたのではないの?」
「は? 挨拶……? あ、そういえば……」
ふと、思い当たるところがあったようだ。留学生が10人近く来ていたが、その中でもわざわざ挨拶に来た美人がいたのだ。
「あ、え? あの美人が、私の婚約者なんですか?!」
「はぁ、せっかく婚約させたのに。会いもせずにこんなことをするからよ」
「っ、いや、それならそうと言ってくれてもいいじゃないですか!」
「は? 私たちは、婚約者の名前も伝えたわよ?」
「そうだぞ。お前が、婚約者のこと聞いてなかっただけだろ」
「っ、」
この子息の婚約者の令嬢は、挨拶してもスルーされ、その後も何もないまま、留学を終えて戻って、弟を利用して婚約破棄しようとしていたことを知って、令嬢と彼女の家を激怒させて婚約は破棄されることになった。そのため、あちらに慰謝料を支払うことにまでなったのは、すぐのことだった。
こんなのを跡継ぎにしたままでは、更に笑いものになると思い、すぐさま跡継ぎは別の息子が継ぐことにさせたが、笑われないはずがなかった。
更には養子に行った息子のエラートまで、養子を白紙にされて戻って来たのだ。まぁ、そんなことをして、跡継ぎにしておけはしないだろうが、あまりにも、あっさりと返されたことに何があったのだろうかと思い、よく聞けば王太子の婚約者にまで、無礼なことをしていたとわかった。、エラートの両親は流石に隣国の王太子が婚約者を溺愛していることは、よく知っていた。
「お前、王太子の婚約者の顔も知らなかったのか?」
「え? 王太子の婚約者??」
「……その方に無礼を働いたのでしょう? だから、苦情と抗議がされたのではないの?」
「いえ、どの令嬢がそうなのかわからず手当たり次第に破棄したいと伝えたので、どの令嬢だったかわかりません」
「「て、手当たり次第!?」」
両親も、そこまでとは思っていなかった。エラートは、散々男爵家で叱られたはずなのにわからなかったのだから仕方がないとばかりにしていて、それを見ていて、ダグールは……。
「婚約者の爵位を伝えたのに手当たり次第にそんなことしてたのか!?」
「は? そんなこと、言われたくない。嘘ついたのは、そっちだろ! 行ったばかりで、誰が誰だかわからなかったんだよ!」
パーティーにも、呼ばれなかったのだ。それこそ、養子だったあのヴェブレン男爵家を招待するなど、滅多にないことをエラートだけでなく、この家族みんな知らなかったのだ。
ギャーギャーと兄弟喧嘩をする息子たちに両親は、げんなりしてしまった。そんな恥さらしの息子たちを勘当したのは、すぐだった。
そして、それはその後、育て方が悪かったとなり、夫婦喧嘩となって大変だったようだ。
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