姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました

珠宮さくら

文字の大きさ
5 / 12

しおりを挟む

あっさりと出て行ったのにイヴォンヌは、ただただ呆然としていた。

そして、婚約者が凄く格好よく見えた。両親だけでなく、兄もできなかったことをやったのだ。その辺にイヴォンヌは感激していた。

一番イヴォンヌが困っていたからではなく、それこそ使用人たちが困っていたことが彼女の中では、大きかったようだが。

それでも、沈んだ顔をしなくなっていた。


「イヴォンヌ様。ランベール様が、お見えになっています」
「すぐに行くわ」


マドレーヌが出て行ってから、日常が目まぐるしく変わったかと言うとそうではなかった。ただ、待ち合わせ場所が変わっただけで、色々変わっていた。


「おはよう、イヴォンヌ」
「おはようございます。ランベール様」


朝になるとイヴォンヌを迎えに来るランベールがいた。彼のことをイヴォンヌの両親はすっかり信用して、イヴォンヌのことを任せていた。

ジェデオン公爵家の子息だが、使用人たちにもフレンドリーで他愛ない会話をしていることもよくあった。

だが、イヴォンヌがやって来るのを見た途端、もっと輝くような笑顔になる。イケメンな彼が、そんな笑みを見せるため、若い使用人たちがきゃぁ~とどこからともなく聞こえて来るが、学園の生徒のように騒ぎ立てることはない。

イヴォンヌと婚約する前は、もっと酷かったが、今はイヴォンヌが側にいても騒がれ始めている。その理由にイヴォンヌは気づいていない。


「その髪型、とても可愛いな」
「ありがとうございます。あそこにいるミュリエルが一生懸命覚えてくれたんです」
「そうなのか。凄いな」
「えぇ、ミュリエルは凄いです。いつもありがとう。あなたのおかげで、褒められたわ」


イヴォンヌは、髪型のことのみと捉えていて、ミュリエルと他の使用人、そしてランベールは苦笑していた。

イヴォンヌ本人を含めているのをわかっていない。イヴォンヌを占める割合がほぼなのだが、彼女は全くわかっていない。

マドレーヌがいなくなって、イヴォンヌの勘違いが増したが、ランベールはずっと婚約者といられて独り占めしても暗い顔をすることもなくなったのに嬉しそうにしていた。

そもそも、贈り物が気に入っていないのかと悩んですらいたが、毎回一番にマドレーヌがあの調子で開けていたのを知って、イヴォンヌがどれだけ傷ついていたかを知ったのが解決してからだったことを誰より悔やんでいた。

だから、そうならないように側にいるようになった。ランベールの周りの子息は……。


「程々にしないと愛想尽かされるぞ」
「……僻みか?」
「違う」
「イヴォンヌなら、大丈夫だ」
「どこから来るんだ?」


そんなやり取りをよくしていたが、イヴォンヌは日に日に可愛く仕上がっていっているのにランベールは羨ましがられるようになって、それを蹴散らすのに忙しくしていた。

もちろん、イヴォンヌがそれに気づくことはなかった。


「イヴォンヌ嬢。こいつがまとわりついて迷惑してないか?」
「まとわりつく……?」
「おい、やめろ」
「まとわりつくって、何のことですか?」
「……いや、ずっといるだろ?」
「えぇ、学園の選択授業は、一緒ですから」
「いや、学園の送迎も一緒だろ?」
「? えぇ、ここに通ってますから」
「……つまり、ついでってことか」
「っ!?」


ぼそっと友人の言葉が聞こえたランベールは、イヴォンヌの応対と友人を交互にしばらく見て、落ち込んだ。


「わ、悪い」
「……もう、何も言うな」
「ランベール様? どうされました?」
「いや、うん、何でもない」
「??」


イヴォンヌは、婚約者が凹んでいる理由が全くわからなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子の恋愛を応援したい気持ちはありましてよ?

もふっとしたクリームパン
恋愛
ふわっとしたなんちゃって中世っぽい世界観です。*この話に出てくる国名等は適当に雰囲気で付けてます。 『私の名はジオルド。国王の息子ではあるが次男である為、第二王子だ。どんなに努力しても所詮は兄の控えでしかなく、婚約者だって公爵令嬢だからか、可愛げのないことばかり言う。うんざりしていた所に、王立学校で偶然出会った亜麻色の美しい髪を持つ男爵令嬢。彼女の無邪気な笑顔と優しいその心に惹かれてしまうのは至極当然のことだろう。私は彼女と結婚したいと思うようになった。第二王位継承権を持つ王弟の妻となるのだから、妻の後ろ盾など関係ないだろう。…そんな考えがどこかで漏れてしまったのか、どうやら婚約者が彼女を見下し酷い扱いをしているようだ。もう我慢ならない、一刻も早く父上に婚約破棄を申し出ねば…。』(注意、小説の視点は、公爵令嬢です。別の視点の話もあります) *本編8話+オマケ二話と登場人物紹介で完結、小ネタ話を追加しました。*アルファポリス様のみ公開。 *よくある婚約破棄に関する話で、ざまぁが中心です。*随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。 拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。

[完結]妹の信者達に殺されかけてましたが、逃がしたつもりだった義弟がやたらかっこよくなって帰ってきました。

雨宮ユウリ
恋愛
 貴族の娘であるソフィーと血の繋がらない弟ウィルは、妹であるメアリーの嘘によって酷い扱いを受けていた。両親はメアリーばかり愛し、メアリーの信奉者というべき貴族の少年たちには嫌味を言われたり、怪我をさせられる地獄。特に、弟であるウィルへの物理的な攻撃が悪化していく中、ウィルだけは守ろうとしたソフィーはウィルを海外留学へ送り、地獄から遠ざけようとする。  そして、五年後。十六歳になったソフィーは強制的に結婚することが決まる。命の危険も増していく中、かつて逃がしたと思った義弟、ウィルがやたらかっこよくなって帰ってきて……。

赤い瞳を持つ私は不吉と言われ、姉の代わりに冷酷無情な若当主へ嫁ぐことになりました

桜桃-サクランボ-
恋愛
赤い瞳を持ち生まれた桔梗家次女、桔梗美月。 母と姉に虐げられていた美月は、ひょんなことから冷酷無情と呼ばれ、恐怖の的となっている鬼神家の若当主、鬼神雅に嫁ぐこととなった。 無礼を働けば切り捨てられる。 そう思い、緊張の面持ちで鬼神家へ行く美月。 だが、待ち受けていたのは、思ってもいない溺愛される日々。 口数が少ない雅との、溺愛ストーリー!! ※カクヨム&エブリスタで公開中 ※ ※がタイトルにある話は挿絵あり  ※挿絵は、清見こうじさん

特殊能力を持つ妹に婚約者を取られた姉、義兄になるはずだった第一王子と新たに婚約する

下菊みこと
恋愛
妹のために尽くしてきた姉、妹の裏切りで幸せになる。 ナタリアはルリアに婚約者を取られる。しかしそのおかげで力を遺憾なく発揮できるようになる。周りはルリアから手のひらを返してナタリアを歓迎するようになる。 小説家になろう様でも投稿しています。

失踪中の義妹を見つけたら、自身の夫とお別れする事になるとは夢にも思いませんでした。

coco
恋愛
失踪中の義妹をようやく見つけた私。 彼女を家に連れ帰ろうとする私を止めたのは、私の夫だった。 彼は私と別れ、義妹を妻に迎えると言い出し─?

病弱な従妹を理由に婚約者がデートをドタキャンするので、全力で治療に協力します!

灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
ピルチャー伯爵令嬢カトレアは、アンダーソン伯爵令息リードと二ヶ月前に婚約したばかり。 今日は五回目のデートだが、リードは同居している彼の従妹ミミーの具合が悪いから延期してくれという。 五回のデートで、ドタキャンは五回目。 しかし、カトレアは抗議もせずに心底心配してリードにこう提案した。 「わたくしが全力でミミー様のお身体を治してさしあげますわ!」 だってカトレアは、聖女クラスの治癒魔法術師なのだから! ※10話で終わる予定です。 ※タイトル変更しました。

名も無き伯爵令嬢の幸運

ひとみん
恋愛
私はしがない伯爵令嬢。巷ではやりの物語のように義母と義妹に虐げられている。 この家から逃げる為に、義母の命令通り国境を守る公爵家へと乗り込んだ。王命に物申し、国外追放されることを期待して。 なのに、何故だろう・・・乗り込んだ先の公爵夫人が決めたという私に対する処罰がご褒美としか言いようがなくて・・・ 名も無きモブ令嬢が幸せになる話。まじ、名前出てきません・・・・ *「転生魔女は国盗りを望む」にチラッとしか出てこない、名も無きモブ『一人目令嬢』のお話。 34話の本人視点みたいな感じです。 本編を読まなくとも、多分、大丈夫だと思いますが、本編もよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/novel/618422773/930884405

姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。

coco
恋愛
殿方との縁がなく地味で可哀相な女。 お姉様は私の事をそう言うけど…あの、何か勘違いしてません? 私は、あなたの代わりになど嫁ぎませんので─。

処理中です...