姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました

珠宮さくら

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ある日、現れたのは、留学していた兄と父方の従姉と従兄が来た。

元より兄は帰って来ることになっていたが、従姉兄たちは……。


「イヴォンヌ!」
「益々、可愛くなったな」
「お前にはやらないからな。イヴォンヌは私の妹で、溺愛している婚約者もいるんだ」


兄は、従兄にそんなことを言っていたようだが、イヴォンヌは従姉に抱きしめられていて聞こえてなかった。


「会いたかったわ」
「あの、色々と申し訳ありません」
「あなたが、謝ることなんてないわ」
「そうだぞ。あの人が勝手に連れ帰って来て約束を破ったのが悪いんだ」
「そうよ。これまでのことでも、好き勝手にしていたけど、全くわかってなかったみたいだけど」
「とっくに離婚されていたはずなことをわかってないままだっただけだ」
「??」


イヴォンヌは、とっくにと聞いてなぜ、そのままになっていたのかがわからなかったが、どうせならマドレーヌも道連れにと思ってのことだと気づくことはなかった。

そして、今回2人がやって来たのが、イヴォンヌの婚約者を見に来たことにも気づくこともなかった。


「益々、義兄に似て来たな」
「そうですか?!」
「あ、いや……」


父が見たのは甥っ子ではなく、姪っ子だった。

それに気づいて、母が眉を顰めている。更に姪は、それ以上にいい笑顔になっていた。


「伯父様。私は、お祖母様に似たのよ」
「……お祖母様、逞しかったもんな」
「は?」
「っ、」


この会話をするとまずいとなり、別の話題となった。

どうやら、イヴォンヌは知らされていなかったが、留学に来る話は前からあったようだ。

それこそ、マドレーヌが数ヶ月前にあんなことになった後だ。こっちに来るとしても、色々と大変だったはずだ。


「イヴォンヌ? どうした?」
「いえ、賑やかだなと思って」
「そうだな。……賑やかというか。喧しいかもな」
「お父様は忙しい方だし、あの人はあんなんだから、弟の顔を見ながらの食事は飽き飽きなのよ」
「それは、こっちの台詞なんだけどな」
「お2人で、食事していたんですか?」
「そうよ。どっちかが、寝込んでいない限りね」
「……そんなこと言って、私が寝込んでると側で食事取ったりするだろ」
「いいお姉様でしょ?」
「どこだよ! 私の好物ばっかり食べて、あれは嫌がらせだろ!!」
「そのおかげで、風邪がすぐよくなるじゃない」


仲の良いエピソードのようでいて、嫌がらせのようにも聞こえる。

いや、嫌がらせだなと捉えたのは、イヴォンヌ以外の全員だった。


「相変わらず、仲良しですね」
「……イヴォンヌ? 話し聞いてたか?」
「えぇ、聞いてました」
「……」
「ふふっ、そうよね。あんたみたいに汚れてないのよ」
「??」


ぎゃいぎゃいと騒ぐのにイヴォンヌだけが、首を傾げて兄を見た。


「イヴォンヌ。賑やかすぎるだろ?」
「いえ、楽しいです。お姉様と2人の時は、1人でしたから」
「は?」
「一緒に食べてなかったのか?」
「……えっと、私の顔を見ながらだと美味しく感じないと言われてしまって」
「イヴォンヌ。時間を区切って、ここで食べていたのよね?」
「……」
「違うの?」


イヴォンヌは、曖昧に笑うだけで答えなかった。

ついうっかり姉のことを話してしまった。2人っきりの時は、色々壮絶だったが、思い出すと落ち込む程度でしかなかった。

だが、両親や兄、従姉兄たちは、それを聞いて各々が殺気立ったのに気づいたのは、使用人だけだった。

使用人たちは一斉に目が合わないようにした。とっくに誰かが、そのことを話していると思っていたため、まずいと思っていた。


「どうやら、私たちがいなかった時のことを聞き残していたようだ」
「そうですね」
「伯父様、伯母様。私たちも、ぜひ、知りたいわ」
「父上、母上。私も、知りたいです」


そんなこんなで、イヴォンヌはマドレーヌと2人っきりの時を共有した家族と従姉兄によって、過保護なことになった。


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