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しおりを挟むそんな風に楽しい日々の合間にイヴォンヌの家に兄の婚約者がやって来た。
「初めまして、リリアン・ゲルシェです」
「妹のイヴォンヌ・ロカンクールです。こちらは、父方の従姉の……」
従姉と従兄を紹介したのだが、どうもリリアンのことを2人は気に入らなかったようだ。
そして、兄も似たような感じになっているため、紹介をイヴォンヌがしてくれた。
それもこれも、直感が働いたようだ。
イヴォンヌのところに遊びに来たランベールを見るなり、リリアンが……。
「ランベール様が選んだものが、この国の最新の流行を生み出しているなんて素晴らしいわ」
「いえ、着こなしているイヴォンヌがいてこそですから」
「またまた。彼女は着ているだけではありませんか」
何やらこれ見よがしにあれこれ言って、隣を陣取って動かなくなったのだ。
「嫌な女ね」
「本当だな」
イヴォンヌは、ランベールが遊びに来た時に持参したお菓子を切り分けるのに夢中になっていた。
何気に切り分けるイヴォンヌが可愛いと発覚して、ランベールがそういうお菓子を持参して来るようになったのだ。
いつもなら、誰もがそんなイヴォンヌを見て和んでいるところなのだが、この日は違っていた。
「何であんなのと婚約したんだ?」
「両親に押し切られた。前にお前たちの母親に散々な目に遭わされた仮を返せみたいに言われたらしい」
「また、あの人なのね」
「いなくなっても、爪痕をしっかり残してるな。だが、あの人のせいなら、私のとこに振っても良かったはずだろ?」
カッコつけんなとばかりにしたが、姉の方は自分より可愛らしい子息は嫌なのではなかろうかという顔をしていた。
流石に言葉にはしなかったが。弟が、一番気にしていることでもある。この姉弟は、性別を間違えて生まれて来たようなものだ。
「マドレーヌもやらかしていたから、断れなかったんだ」
「そんなとこまで、そっくりでなくていいのに」
どうにも、リリアンはランベール狙いで婚約したようにしか見えなかった。
イヴォンヌだけが、やたらとランベールに話しかけるリリアンに首を傾げて、兄を見た。
その手には、今日も、綺麗に切り分けられたお菓子があった。
「イヴォンヌ、悪いな」
「いえ、あの方」
「ん?」
「きっと、弟がほしかったのですね」
「ん??」
兄は、妹が何を言いたいのかが、すぐにわからなかった。
「……イヴォンヌ、何で、そう思うの?」
「だって、お兄様と結婚したら、ランベール様は義弟になるわけですから、よほどほしかったから、あぁしているのですよね?」
「っ、そ、そうだな」
「ひとりっ子らしいからな」
「私は、これより、イヴォンヌみたいな可愛い女の子がほしかったわ」
「は? 私だって、姉さんみたいなのより、イヴォンヌのような……」
「あ゛?」
「っ、何でもないです!」
「?」
イヴォンヌの頭を兄と従姉は撫でていた。
従兄は、姉に睨まれて縮こまってイヴォンヌの背に隠れていた。
ランベールは、そんなイヴォンヌたちの会話に自分も入りたくてウズウズしていたが、リリアンに捕まって逃げることはできなかった。
義兄になる人の婚約者だ。雑に扱うことはできないが、丁寧に扱う気もなかった。
更には、イヴォンヌに誤解されたらと思っていたが、なぜか生暖かい目で見られていて、それにどう反応していいのかと頭を抱えたくなった。
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