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しおりを挟む眠り続けるシャーリーの側にエイプリルがいた時に目を覚ました。それを側にいる者は、どれほど待ちわびたことか。
「シャーリー。起きた?」
「……お姉様?」
「えぇ、おはよう」
「おはよう、ございます」
シャーリーが目を覚ました時の姉は、いつもの姉だった。いや、寝起きでいつもと同じだと思っていただけかも知れないが、無理をしている顔ではなかったはずだ。
寝すぎた感じのするシャーリーは、ぼーっとしていた。その間にエイプリルは側にいたメイドに知らせを頼んでいたのも見聞きしていなかった。
ただ、シャーリーは目が覚めて一番に姉がいたのが嬉しいと思ったが、なぜ付き添っていたのかがわからなかった。
起きたと知らせを聞いた両親は、またもすぐに駆けつけた。それだけ心配していたのだが、その光景はエイプリルの時によく見ているもので、シャーリーは自分がされる側になっていることに思考が追いつかなかった。
寝起きなのに寝たりないような変な感覚にシャーリーは思考がぼんやりしたままだった。
「シャーリー! あぁ、よかった」
シャーリーが起きているのを見て、母親は抱きついた。それはエイプリルによくしていた。
「気分は?」
「……眠たいです」
母に抱きつかれながら、父がそう聞いてきたので、そう答えた。するとエイプリルが笑った。
「ふふっ、シャーリーはたくさん頑張っていたから、ゆっくりした方がいいみたいね」
「そうみたいだな。シャーリー、ゆっくりすればいい」
「そうね。でも、眠る前に何か少し食べては、どうかしら?」
シャーリーが、ぼーっとしているのは珍しいことだった。両親たちは、それを心配していた。
目が覚めたと聞いて医者が診察に来たが、その頃にはシャーリーが好きな果物を食べて、またうとうとしていた。医者は、好きなようにさせて問題ないと帰って行った。
そして、また眠り始めた頃にジェレマイアが立ち寄った。
「シャーリー嬢が起きたのか?」
「はい。でも、寝たりないらしくて、また寝てしまいました」
「……」
3日寝ていたのに寝たりないと言うエイプリルにジェレマイアは、何とも言えない顔をしていた。
「頑張り屋さんだから、無理していたのでしょうね」
エイプリルは、そんなことを呟いた。病弱で学園には通うことがままならない分をシャーリーが頑張っていることを姉は知っていた。
隣国のように自宅で課題をこなせば単位を取れて卒業もできるシステムが、この国にないせいで色々と言われているのも知っていたが、そのことをこの家で話すことはなかった。
ジェレマイアは、それを聞いて……。
「君に似ているな」
「え?」
「気づいていないのか? シャーリー嬢は、君に似ている。君も、頑張り屋だ」
「私は……」
そこで父親が、エイプリルたちに声をかけた。
「あの令嬢が、両親と一緒に謝罪に来た」
「……今更ですか?」
「そうだ。お前たちも、会うか?」
「会います」
エイプリルは、父の言葉に何を今更と思っていた。3日がすぎていた。シャーリーたちの父親は、それを聞いた次の日には、苦情と抗議をしていて、今日辺りにジェレマイアの家から苦情と抗議がなされた。
隣国の公爵からの苦情と抗議にアンゼリカの家もようやく動く気になったようだ。
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