自己中すぎる親友の勘違いに巻き込まれ、姉妹の絆がより一層深まったからこそ、お互いが試練に立ち向かえた気がします

珠宮さくら

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半月近く経ってからシャーリーが学園に行くとみんなに心配された。


「シャーリー様、もう、大丈夫なのですか?」
「えぇ、この通りよ。心配をかけて申し訳なかったわ」
「謝らないでください」
「そうですわ」


そう言いながら、アンゼリカに平手打ちをしたと言うのを彼女たちは知っていた。

ジェレマイアが話したとは思えなかったシャーリーは、不思議に思っていると……。


「本当に信じられないわ。見てよ。まだ、腫れているわ」
「……そう?」
「よく見てよ!」
「元々、そういう顔だったと思うけど?」


相手をするのも面倒だと言わんばかりにアンゼリカの話を聞いていた令嬢の1人がそう言うと周りが吹き出していた。


「な、何を言うのよ!!」


それを見ていたシャーリーとアンゼリカが目があった。その途端、こっちに来ようとしていたが、シャーリーは逃げも隠れもする気はなかった。

周りの令嬢が、逃げ腰になっていたのは、アンゼリカに捕まるとあぁして同じ話ばかりされていたからだろう。

だが、そこにジェレマイアが現れた。今日は、一緒に学園に来ていなかった。


「やぁ、シャーリー嬢。おはよう」
「おはようございます。ジェレマイア様」


アンゼリカは、それでも止まることなく、こっちに来た。シャーリーしか見えていないようだ。


「シャーリー!!」
「ご機嫌よう。伯爵令嬢」
「白々しい!」
「……」


ギャンギャンと喚き散らすのにシャーリーは、耳をふさぎたくなったが、ジェレマイアと一緒にいる男性を見つけて、そちらが気になっていた。

アンゼリカが何を言っているかなど聞いてもいなかった。ただ、直せと言った呼び捨てをやめていないことにイラッとしてしまったが、それは後だ。


「ジェレマイア。シャーリー嬢は、侯爵令嬢と言っていなかったか?」
「そう言いました」


ジェレマイアのことを呼び捨てにするほどのようだが、シャーリーは見かけたことがない男性に誰だろうかと思っていた。


「この令嬢は、礼儀を知らないようだな」
「はぁ? 失礼な男ね! どこの子息よ?!」
「君のような令嬢に答えたくない」
「なっ、」


その男性は、シャーリーの方を見てにっこりと微笑んだ。まるで、アンゼリカなどいないものとして話し始めたことにシャーリーより、側にいた令嬢たちが驚いていた。


「初めまして、ジェレマイアに君の話を聞いて会えるのを楽しみにしていたんだ。具合がよくなかったそうだけど、もう平気かい?」
「はい。よくなりました。あの、ジェレマイア様のご友人ですか?」
「うん。私の側近なのに留学して、中々戻って来ないから、私もこちらに来てしまった」
「……そうでしたか。名乗っていませんでした。シャーリー・オールポートと申します」
「おっと、私も失礼なことをしていた。ダレイオスだ。君のお姉さんにも挨拶したいんだ。具合が、姉妹揃って良くないと聞いていたから、街でぶらぶらしていたんだ。いいところだね」


どうやら、この方は留学しに来ていながら、お目当てのシャーリーがいないとわかってサボっていたようだ。

ジェレマイアは、それを聞きながら何とも言えない顔をして苦笑していた。こういう方のようだ。


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