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しおりを挟む熱中症と過労と診断されたシャーリーが倒れたと聞いてダレイオスは王妃にこれまでに見たことないほど激怒したのは、すぐだった。
「日傘もない庭に何時間も座らせるなんて、何を考えているんですか!!」
「何よ。そんなに怒ることないでしょ。王太子妃の教育で疲れているだろうから、息抜きに誘っただけよ」
「息抜きに週に何度も呼びつけるのか?」
「それは……」
「お前のしていたことは、息抜きとは真逆のことだ」
「そんな、熱中症で倒れたくらいで大袈裟ですわ。全く、根性がないんだから」
現場を見ていた国王も、この時の王妃の大袈裟という言い方に今後、もっと最悪なことになることを危惧した。
それこそ、懐妊しても病気じゃないとあれこれ言ってやらかすのは目に見えていた。そもそも、王妃はこれまでも色々と暴走をしていた。報告を受けていたが、今回はたまたま通りかかったから、軽い熱中症で済んだことすら王妃はわかっていないのだ。
王太子の婚約者に意地の悪いことをしていたのを目の当たりにした国王は、このままほっとくわけにはいかないと動くことにした。病気を理由に王妃は表舞台にほとんど姿を現すことをさせないことにしたのだ。
「な、なんで、私がこんな目に合うんですか!?」
「お前が、何を言っても理解しないからだ。元より病気だったんだ。おとなしくしていてくれ」
「そんな!? 私は、どこも、悪くありません!」
どんなに騒ぎ立てても、王妃の言うことが通ることはなかった。
それによって、王妃のお気に入りの令嬢たちも、夫人も、シャーリーに意地の悪いことをするのをしなくなった。わかりやすく、何もしなくなったことに拍子抜けを受けた。
シャーリーは王妃に仕返しする機会がないまま、時折会っても大した話をすることもなく、虚ろな目をしている王妃に拍子抜けをした。
王太子の婚約者にシャーリーがなっても、まだ自分にチャンスがあると思っていた令嬢たちはちょっかいかけて来なくなって、それにも拍子抜けしてしまった。
元より王太子に見向きもされず、逃げ惑われていた時点で諦めていればよかったのだろうが、引き際を間違えた令嬢たちは婚約者を探すのに苦労することになったようだ。
それこそ、シャーリーに意地悪いことをしているのをバッチリ目撃されていたこともあり、そんな令嬢を婚約者にしたら、王太子に目の敵にされて将来の出世に響きまくると思ったようだ。
そのため、この国で婚約者を見つけるのは難しいと隣国にも探したようだが、シャーリーの実家の方の国でもシャーリーに散々なことをしたことが知れ渡っていて、そちらの国でも婚約者を見つけることができなくて苦労し続けたようだが、そんな人たちにシャーリーが同情することはなかった。
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