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しおりを挟む第1王子のジュエルが、直にラヴェンダーの両親に会って謝罪したいと言われて、一緒に実家に行くことになったのだが、母の勘違いにより、娘が好きな人を連れて来たと思われて、大変なことになってしまった。
剣を持ち出して、最大限の威嚇を始めようとする父を落ち着けるのにだいぶ時間を要してしまったのだ。
「両親が大変失礼致しました」
「いいえ。謝らないでください。私も、謝罪し終えたら、話そうと思っていたことがあるので」
「?」
まずは、チャールズがしでかしたことを謝罪してから彼はラヴェンダーと婚約したいのだと両親に言い出して、父はまた剣を持って来いと執事に言うので、母と一緒になり止めるのが大変だった。
「彼女に、ラヴェンダー嬢に一目惚れしてしまったんです。求婚する前に公爵の許しをえてからしたいと思っておりました。どうか、娘さんに求婚することをお許しください」
「なっ、なんだと!?」
「っ、」
「ラヴェンダーとお付き合いしているの?」
「いいえ。何度かお話させていただいていましたが、一方的に惚れているだけです」
そうでもしないと二度と会いなくなりかねないからだともジュエルは言った。
赤面するラヴェンダー。微笑ましそうにする母と忌々しげに敵を見るような目をする父。そわそわする使用人たちがいた。
ラヴェンダーの父は、ジュエルを睨み据えていたが、妻の顔を見て、また彼を見てをしばらく繰り返したあとで、深いため息とともにこう言った。
「わかった。求婚したければするがいい」
「ありがとうございます!」
「ラヴェンダー、庭を案内してやれ」
「そうね。それがいいわ」
「わかりました」
まさか、そんな話の展開になるとは思っていなかったラヴェンダーは、ぎこちなく案内を始めた。
そこで、片膝をついて求婚されることになり、最初は断ろうと思っていた。でも、ジュエルの目を見ていたら、こんな素敵な男性に二度と巡り会えないのではないかと思えた。
(彼を初めて見た時になんて素敵な人だろうと思ったのよね。今も、そう。断ったら絶対に後悔する)
そう思ったら、断るなんて出来るわけがない。しばらく、考えさせてくれとも言えたのだが、答えが決まっているのをラヴェンダーも誠意を持って応えたいと思った。
「お受けします」
「っ!?」
ジュエルに抱きつかれてしまい、それを見ていたらしい父にそれは、まだ早い!と怒鳴られて、慌てて離れることになった。母は、おめでとうと抱きしめてくれ、学園も予定通りに通うことに決まった。
チャールズの方はというと成人をまたずして、平民の身分に落とされ、リリアは男爵家から勘当された。
この元男爵令嬢は、相手も平民になったとしるや彼を見限って、別の王子と結婚するだの、未来の王妃は自分だのと喚き散らしながら、王宮に潜りこもうとして、衛兵に何度も取り押さえられ、ついには国外へと追放処分となったらしい。
国王と王妃は、謝罪のみでなく、ジュエルが求婚してラヴェンダーを連れて戻って来たことに心底、驚いていた。どうやら、その話もしてなかったらしい。
とんでもないとばっちりを受けて、どうなることかと思ったが、素敵だと思っていた男性に求婚されて、ますます勉強することが増えてしまった。
それでも、2人で幸せな家庭を築くためだと思えば、苦労も楽しめるから不思議なものだ。
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