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しおりを挟むするとそれを狙った賊が現れた。身なりからして山賊のようだ。
ゆっくりとアンネリースが王宮に向かっていると言うのは、知れ渡っているようだ。無理もない。悪目立ちしすぎているのだ。
その上、大層な荷物を持っている。金になる物を持っていると思われたのだ。
だが、アンネリースはいつかそうなるだろうなと思っていて、別のことを思っていた。
(山賊。初めて見た)
もう二度と失態をおかさないと気合いの入っている護衛が、負けるわけがない。
特にアンネリースとしては、荷物が減る方を期待してしまっていたから、見るところがおかしなことになっていた。
(やっぱり、身ぐるみ剥がされた護衛は、油断していたか。一服盛られたのね。いい動きをしているわ。それに比べて、雑談してばかりの護衛は、あんまりね。鍛錬を怠っている動きをしている。服を盗むなら、あの人たちの方が簡単だったでしょうに)
まだ、制服を奪われたとアンネリースは思っていた。よくしてくれているが、明らかな態度の差が現れていた。
でも、それよりも目の前のことだ。曲がりなりにも国王が遣わした護衛が、山賊に負けるはずがなかった。
あっさりと捕まることになった山賊を殺そうとするのをアンネリースがとめた。
「待ってください!」
「アンネリース様」
捕まえられていた山賊たちは、護衛たちに取り押さえられながら、アンネリースを一目最後に見ようと藻掻いていた。
どうせ死ぬのなら、アンネリースを見たかったようだが、護衛たちはそれを許すことはなかった。
(これは、チャンスなのよ。荷物を持って行ってもらわなくては)
そう思って、アンネリースはこう言った。全くそんなこと考えてもいない雰囲気で、別のことを言った。
フェリーネなら、長い付き合いだから、すぐにわかってくれることだが、それ以外は優しいと思うことだろう。
「それが、お役に立つのなら、どうぞ貰ってください。ですが、それが争いの火種になるのならば、燃やしてください」
そんなことを言うアンネリースに山賊の中でも、頭領をしている者が声を発した。身なりからして、着ているものが違っていた。
(彼のセンスいいわ。好きだな)
これまた場違いなことをアンネリースは考えていた。護衛の服も素敵だが、着こなし方が様になっている。山賊にそんなことを思うのだから、アンネリースも肝が据わっている。
「はぁ? これがいくらするか知ってるのか?」
「知りません。でも、あなたたちの命に比べれば大したことはないはずです」
「っ、あんた、俺らの命が、これより高いって言うのか?!」
「もちろん。命は一つきりです。ですが、もう、これきりにしてください」
賊はみんなそれにポカーンとしていた。
護衛をしている者たちも、何ともアンネリースらしいと思いつつ、困った顔をしていた。
あの2人は、アンネリースのしたことに目を丸くしていた。そんなことを言うと思わなかったようだが、そのうちアンネリースなら、そう言うなと変な納得をしていたが、誰も見てはいなかった。
「アンネリース様、それでは示しがつきません」
「示しなど、必要ですか?」
エデュアルドの言葉にアンネリースは、そんなことを言った。本心だ。
(元よりないのに。私は、王族であって、認められたことのない者でしかない)
そんなことを心の中でアンネリースは思った。何より……。
(荷物がなくなるチャンスなのよ! これがなくなれば、もっと早く移動できるはず。そうでなければ、他の目的が見える)
アンネリースは、そういう性格をしていた。
そんなアンネリースを正しく理解していたのは、フェリーネだけだった。
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