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しおりを挟むそんな誤解だらけの中で、元山賊となった者たちに持ち物を平気でやったり偽善的なことをする王女なんて、世間知らずもいいところだと思われ始めていた。
「はっ、なんだかんだ言っても、他所から来た姫だ。そんな風に施して、よく見せたいんだろ」
「んなのにやるなら、あたしらみたいに真面目に働いてるのにくれりゃいいのにね」
もちろん、一部の者にだけだ。そんなのがフェイル国の王太子と婚約したら、この先の国がどうなるかわからないと彼女を売り払おうと現れた者がいた。
山賊なんかより、もっとマシな人間に施しをすればいいと思ってのことだ。それこそ、自分のような人間にこそ、恵みをもたらすべきだとすら思っていた。
そこに誤解がある。アンネリースは、センスの悪い親の持たせたものを押し付けたかっただけだ。大事なものをやってはいない。
更には、山賊の心根が優しくて純粋なことに後ろ暗い事を考えてすらいた。
だからといって、真面目に働いていると豪語している面々に会っていても、それをやる気にはならなかっただろう。
だって、そう言っている人たちが、両親やマルへリートによく似ているから、そんなのにやる気になるはずがない。
だが、金に目が眩んだ宿屋の主人の手引きによって、フェリーネと一緒にアンネリースは再び、悪意の塊に誘拐されることになった。
護衛やオリフィエル、侍医までも寝こけていたから、変だと思っていた。
思わず、フェリーネと目配せしあって眠ったふりをした。すると誘拐されてしまったのだ。
アンネリースたちの身体に眠り薬なんて利かなかったことにちっとも気づいていない間抜けさにアンネリースは……。
(護衛が身ぐるみ剥がされたのより、インパクトないわね)
アンネリースは、二度目の誘拐で、そんなことを思っていた。それと今回はフェリーネも一緒なこともあり、妙な余裕もあった。
眠くなるはずのようだが、逆に目が冴えて眠れない。筋トレしたくとも、縛られているからできない。
はた迷惑な誘拐だ。夜の予定が、これで台無しではないか。
もっとも、台無しなのはアンネリースの思考なのだが、それにフェリーネは気づいていなかった。
彼女は初めての誘拐に戸惑っていた。こちらも、怖がっているようには見えない。
流石は、アンネリースの侍女だ。こんなことで、パニックになることはない。
1回目の誘拐の時は、アンネリースだけが拐われたからだろう。でも、一緒に誘拐されてみて、される理由がないことに気づいたようだ。
そう、冷静になってみれば、アンネリースは王女だとして誘拐しても、ローザンネ国では身代金なんて出すわけがない。
フェイル国の国王は会ってもいない王女のためにどれほどのことをしてくれるのか。
そちらがどれほど動くかもわからないとなると高く売れるとは思えないアンネリースたちを必死になって拐う理由がわからないのだ。
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