見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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「アンネリース様」
「うん。やっぱり勘違いされているみたいね」
「勘違いですか?」


なぜ、誘拐されたのかがわからないフェリーネは、きょとんとした。


(そういえば、フェリーネにはしていなかったわね)


「うん。私が、仮面をつけているのを美人なせいだと思っているのよ」
「え……?」


国王である父がそんなことをマルへリートに言ったのを丁寧に妹は教えてくれた。あの耳障りな笑い声と共に。


「もしかすると宝石と謳われているマルへリートと間違えているのかも」
「っ!?」


フェリーネは、それに口元を手で覆った。それなら、わかると思ったようだ。

とんでもなく嫌な間違われ方だ。アンネリースは、あんなのと間違われているのだ。向こうが散々嫌がっていたが、アンネリースとて同じく嫌でたまらない。

それでも、双子の姉妹なことに変わりはないのだ。


(双子だとローザンネ国の人たちの殆どが、忘れているくらいだし、わざわざ、この国にまで双子の片割れの方をやるなんて言わなかったはず。ご所望の仮面を付けた方をやったのだからで済ませているはず)


アンネリースは、あの人たちの思考はよくわかる。アンネリースのことなんて、使うこともない面倒な存在だと思っていたのだ。


「で、ですが、アンネリース様。あちらには、婚約者がいるのですよ? そちらが来るはずは……」
「詳しいことを知らないのは、お互い様よ。それにあっちじゃ、王女は1人みたいなものだったし」
「……確かに」


誘拐されながら、そんなことを話していた。全てが誤解ばかりなことにこの2人は……。


「何だか申し訳ない気分だわ」
「アンネリース様。仮面を外してはなりません。私も、このベールを外さないようにします」
「そ、そうね。それしかないわよね」


美人ではないと知られたら、すぐさま帰らされることになりかねない。あの国には帰りたくない。


(私は、人の顔には興味がないけど、服装には興味があるみたいね)


元より人の顔をまじまじと見ないようにしていた。そんなことをしていたら、罵詈雑言の嵐だけでは済まされない。

アンネリースは無意識に人の顔より服を見ていた。だから、この国の人の容姿が、どんな感じなのかが未だにわかっていなかったりする。

いや、容姿を見たところでアンネリースは比べるべき、他の容姿を知らないのだ。それも、ありえないことなのだが、アンネリースには普通のことになりすぎていた。

だから、他のことで人を見ていた。特に話をして、その人を見ていたのだが、それをもっと研ぎ澄ませなくては、新しい仮面とフェイル国ではこれまでのようにいかないことにまだ慣れていなかった。

それにアンネリース自身が気づいていなかった。フェリーネも、いつもと違うベールのせいで、そこに気づく余裕がなかったようだ。


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