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しおりを挟む侍女が面白いことになって、そちらを見ていて、エデュアルドがじっとフェリーネを見ていることに全く気づかなかった。
何気にフェリーネが慌てていて、エデュアルドは顔がニヤけそうになっていた。彼の目的も、フェリーネの側にいられる丁度よい仕事だと思っていた。ここでの護衛なんて、簡単だと思っているのだ。
だが、そんなことはしていられない。さっさと決めなくては、仕事ができないと思われる。
「ごほん。よろしいですか?」
「っ、」
「もちろん」
アンネリースは、にっこりとした。でも、仮面に阻まれて見えはしないだろうが。エデュアルドに笑顔を見せた。
それが見えたわけではないのにエデュアルドは、何やら狼狽えた気がするが、すぐに冷静になった。
それこそ、フェリーネとの仲を認めるようなことを言ったからだとアンネリースは思っていた。あながち間違えていない。
「その、一癖も二癖もある者ばかりですが、アンネリース様の護衛をやりたいと言う者ばかりです」
「なぜ、そこまでしてやりたいと言うの?」
「陛下の前での会話が原因のようです」
それを聞いて、アンネリースはぽんと手を叩いた。
「あぁ、好みとか。タイプの話?」
「っ、いえ、そこではなくて、王太子とその婚約者への応対です」
(そっちか。よかった。好みうんねんじゃなくて)
エデュアルドの言葉にアンネリースは、思っているのとは別のことを口にした。
「……みんな、耳がいいのね」
「噂好きなのもいますが、全員ではありせん。口は硬いです。二心など抱くこともありません」
(二心ね。それはつまり、王命ではなく、私の命令にのみ従うってことよね)
あの国王に仕えるより、アンネリースに付きたいのもいるのかもしれない。
責任を取るのだろうと臣下が言ってくれたから、そういうことになった。それは、ありがたいことでしかない。
「わかったわ。その人たちと会って話すことにする。それで、思っていた人と違ったら、別の仕事をしてもらうわ」
「侍女殿も、合わないと思ったらお伝えください」
「私は、アンネリース様に一任いたします」
「……わざとでしょ?」
アンネリースは、侍女がその言葉を使いたかっただけだと思っていた。フェリーネは、まぁ、同じになってしまいましたとおどけたのに半眼でアンネリースが見ているとエデュアルドが笑っていた。
「失礼しました。お2人は、ずいぶんと仲がよろしいのですね」
「まぁ、幼なじみのようなものというか。腹違いの姉妹のようなものだから」
「アンネリース様」
「私の乳母は、彼女の母君なの。乳母と彼女がいなければ、私はとっくに死んでいたもの」
「っ、」
その頃に比べたら、ここは天国のようだ。そう思っていたが、エデュアルドと侍女はアンネリースが儚く消えてなくなりそうに見えていたことには気づいていなかった。
フェリーネは、その話をする頃のアンネリースのことを実母から聞いていて、俯いていた。
(本当によく生きてここまで来れたものよね)
幼い頃は、自分のいるところこそ、地獄ではないかと思ってしまうほどだった。
そんなアンネリースを支えてくれていたのが、フェリーネの母であり、アンネリースの乳母だ。
もはや二度と墓参りもできない。
(……お墓参りできないのは、フェリーネの方が辛いのに。何やってるんだか)
つい、考えても仕方がないことを考えてしまい、無理やりそれをやめた。
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