見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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「え? 婚約破棄になったの?」


王太子とその令嬢が、婚約を破棄したと聞いてアンネリースはびっくりした声をあげた。

エデュアルドは、そんな話をアンネリースにすることになるとは思ってもいない顔をしていた。

それも、王太子が破棄すると言ったのではなくて、令嬢の方からしたことにアンネリースはびっくりしてしまった。


(なんで、あの令嬢からするんだろ?)


アンネリースは、あの令嬢がさっぱりわからなかった。

こんなことがあったそうだ。


「お前のようなのをこのまま王太子にしておくわけにいかない。王太子は、お前から第2王子に変更する」
「そんな! 待ってください!」
「もう、決めたことだ」


国王と王太子が言い争う中で、王太子の婚約者の令嬢は……。


「なら、婚約破棄します」
「「は?」」


まさか、令嬢の方がそんなことを言うとは思っていなかった親子は、そっくりな顔をしていた。

王太子が婚約者を連れて来たのは、彼の方が婚約破棄したいと国王である父に言うためだったのだが、おかしなことになっていた。


「おい、何を偉そうにしてるんだ?」
「偉そうなのは、そっちでしょ。王太子でもないのに」


いや、おかしいのは、この令嬢だ。王太子でなくとも、第1王子なのだ。


「それにこの間のことでも、両親に物凄く叱られたし、あの場に連れて行ったのは、あなたなのにとんでもとばっちりだわ」


どうやら、叱られたのも王太子だった第1王子に連れ回されたせいと思うことにしたようだ。


「それと王太子との婚約が駄目になったら勘当するって言われたんで、第2王子と婚約します」
「お前、そこまでなのか?」
「?」
「第1王子、お前が選んだんだ。お前がどうにかしろ」


その令嬢が、希望通りに第2王子と婚約することはなかった。

彼女の両親は、そんなことをした娘を家に置いておくはずがなかった。更にあり得ないことを言ったことは、すぐにバレた。


「お前は、どこまで馬鹿なことをして恥をかかせれば気が済むんだ!」
「っ、」


勘当されることになった彼女は……。


「何よ。そんなに怒ることないのに」


ブツブツと愚痴りながら、婚約してくれると言っていた王太子だった第1王子がライバル視していた子息のところに彼女は、すぐさま向かった。

そこは、何とも彼女らしかった。でも、彼女の期待している方向には進むことはなかった。もっとも、期待していたのは、彼女だけだったようだが、そこに何とかたどり着くとこんなことを言われた。


「令嬢でもない君と婚約するわけないだろ。そもそも、婚約する気なんてなかったんだ」
「え?」


彼女だけではなく、これを他の者が聞いていたら、みんなが同じ顔をしていたはずだ。

彼は、自分に会えば、どうにかなると思っている女性にこんなことを語った。

それは、ありえないことだったが、彼は平然としていた。


「王太子だった第1王子が、何かとライバル視してきて面倒だったんだ。あんなのにライバル視されても、面倒以外の何物でもないのに。同じレベルだと思われているだけで笑いのネタにされていたんだ。それに君のお姉さんと婚約もしたかったから、そちらも婚約が駄目になるかと思っていたんだが、流石に無理だったみたいだ」
「……」


つまり、彼女は厄介払いと共に利用されただけのようだ。

彼女は、この後、彼に怒鳴り散らしても、しつこくしても、二度と会うことはできなかった。

勘当されて行く宛もなく、あの調子でお馬鹿過ぎてまともに働くのは難しいことに途方にくれ続けたかというと……。


「あいつらのせいで、私の人生が最悪になってしまったわ」


そんなことを言い続けて、自分の頭の悪さを嘆くことはなかった。

まぁ、その辺は周りが悪いせいだと思い続けた。


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