見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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アンネリースは、焦っていた。学園に通ったことないなんて、王女としてありえない。


(どうしよう。流石にまずいわ。でも、ここで本当のことも、嘘もつきたくない)


ここにフェリーネがいたら、フォローしてくれていただろうがいない。

アンネリースは、困ってしまった。あからさまに落ち込むなんてアンネリースは、これまで見せたことはない。

するとオリフィエルたちは……。


「姫さん。だから、やたらと学園に通いたがったんだな」
「やっぱり、身体が弱いと巷の噂で聞きました。ご無理なさらないでくださいね」
「えっと、」


またもや変な誤解をされることになったが、オリフィエルが……。


「姫さんが、楽しそうなら、それが一番だ」
「……そうかしらね」
「どうした? 何かあったか?」
「私が通いたいって言ったから、大事になってるのよ」
「アンネリース姫」
「っ、」 


名前を初めて呼ばれて、アンネリースはドキリとした。

いや、これは姫と呼ばれたことと名前を呼ばれたことに対してだ。ときめいたのもちょっとあったが、この間の残念さで、霞んでいる。あれさえなければ、物凄くときめいていた。


「大丈夫だ。俺がいる」
「……」
「上手く使え。得意だろ?」
「……」


(人のことをどこぞの悪女のように言うのね。でも、使っていいと言うなら遠慮はしないわ)


アンネリースは、仮面の下で微笑んだ。


「なら、あなたの送迎は、これからは必要ありません」
「え?」 
  

コルネリスは、なぜそうなるのかと言わんばかりの顔をした。

オリフィエルは、ニッと笑っていた。それを言わせたかったのだ。

アンネリースは、それに気づくことなく、こう言った。王太子の名前なんて呼ぶ気はない。


「殿下は、何かとお忙しいでしょうから」
「いえ、そんなことは……」
「オリフィエルがいるので、結構です。執務に専念なさってください」
「っ、」


(もう、あんなのを聞いていたくないのよ。何で私が、愚痴に付き合わなきゃならないのよ)


楽しい話なら、オリフィエルがしてくれる。……そのはずだ。

ちらっとオリフィエルの方を見た。制服より、私服の方が好みだ。


「そりゃいい。姫さん、学園のことも暗記したから問題なく案内できるぞ」
「流石ね」
「使える男だろ?」
「えぇ、とても頼もしいわ」


アンネリースは、オリフィエルが学園で男避けになれそうなことに必死になっていることに気づくことはなかった。

ただ、悔しそうにしている王太子にお前の出る幕はないと言わんばかりの顔をしていることにも気づくことはなかった。


(この状態が続いてくれるといいけれど。何で、あんなポンコツになったんだろ?)


アンネリースに完全に誤解されているとも知らず、オリフィエルは上機嫌となっていた。だいぶ、これまで稼いだポイントがすり減っていることには気づいていなかった。

むしろ、好感を持てていると本気で思っていて、勘違いだけでなく、すれ違いまで起こっていることに気づいていなかった。


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