見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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フェリーネにそんなことを言われても、アンネリースは仮面を取る気にはなれなかった。

するとフェイル国にローザンネ国の王女と名乗る者が現れたという噂を耳にした。


(まさか、マルへリート?)


だが、物凄く信じられないくらい不細工な顔をしていたとかで、とんでもない嘘つきが現れたと思われているようだ。

しかも、あの国から、こぞって仮面を付けてフェイル国に来た者たちは、着くなり仮面を外して、自分たちの容姿が不細工なのを棚にあげて、あの港町の人たちを不細工だと罵ったらしく、それを聞いてアンネリースは……。


(何だか、物凄く懐かしいわ。まだ、そんなこと言う元気があったのね)


ローザンネ国で、生きていけなくなったから、ローザンネ国からフェイル国に来たようだ。みんな、酷い格好をしていて、口を開けば罵詈雑言で美しいのは自分たちだと言い続けて迷惑していると言うではないか。

それを聞いてアンネリースは……。


(美醜が逆転しているのは、本当なのね。まぁ、それより、よくこちらまで来れたわね)


そんなことを思いつつ、ローザンネ国の仮面を付けさせられていた面々は、ちゃんと生活できているのかと気になった。


(あの国から離れて1年近く経つもの。仮面を付けていない人たちが、普通に生活なんてできるわけないのはわかっていたけど、こっちに来るとは思わなかったわ)


王女が来たのなら、国王と王妃も一緒なのではなかろうか。

マルへリートは、バーレントと婚約を破棄したようで、自分のような美人こそ、フェイル国の王太子に相応しいと言いに来たようだ。相変わらずのようだ。

詳細は、本人に会えていないから知らない。会いたくもないし、何があったかなんて知りたくもないのにアンネリースが耳にしない日はなくなった。


(本当にどこまでも目立つことばかりするのね。それが許されていたから、怖いもの知らずで、人の気持ちなんてまるでわからない)


アンネリースが、こちらで幸せになっていると聞いて来たのか。それとも、あちらで誰も自分の世話をしてくれなくなって、こちらに来たのかはわからないが、体型的に見れば、ローザンネ国以外は仮面を付けているような姿形が多い。

ちょっと走れば息が上がったり、何かを運んでも動けなくなるような者もいない。

ちゃんと顔を見ていたら、美醜逆転していることなんてすぐにわかったことだが、それをしないように徹底して叩き込まれてきたせいで、アンネリースは気づくことができなかった。

懐かしい名前を耳にしただけで、アンネリースの心はざわつくのを止められなくなった。

まるで、アンネリースが幸せになるのを阻止しようと過去が追いかけて来たような錯覚すらした。


(まるで、これは呪いみたいね)


言われ続けた罵詈雑言が思い起こされてアンネリースは、悪夢に苛まれるようになった。

もう二度とあちらに帰らなければ会うこともないと思っていたのに向こうからやって来るとは、アンネリースはあまり考えたくなかったが、それが現実になったようだ。


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