姉が年々面倒になっていくのを弟と押し付けあっていたのですが、手に負えない厄介者は他にいたようです

珠宮さくら

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色々ありすぎたが、チャーヤはあれからシュリティたちに語るのをやめたかと言うと直らなかった。


「それでね」
「お姉様。マヘンドラ様の魅力を熱く語られても困るのですが……」
「そうだよ。それで、失敗したんだろ」
「っ、」


弟が、つまらなさげに言うのにチャーヤの顔が強張った。


「ラケシュ。言い過ぎ」
「でもさ」


惚気けられてもつまらないだろと言いたげにする。どうやら、シュリティには気遣えるのにチャーヤには、あまり気遣えないようだ。

昔は、シュリティよりチャーヤに懐いていたのだが、頼りになるのは、弟の中ではすっかりシュリティになってしまったようだ。

仕方がないとばかりにシュリティは、矛先を弟に向けた。


「それより、ラケシュ。良さげな令嬢は見つかったの?」
「そ、そんなの関係ないだろ!」
「あら、いるのね? どこの令嬢?」
「っ、」


姉弟仲は、前より断然良くなった。何だかんだ言ってもチャーヤは姉だ。弟のことをよく見ている。それにあたふたするのをシュリティは、微笑ましそうに見ていた。養子先で、そんな話をよくするようになった。

シュリティたちの養子先は遠縁だが、隣国だった。そのため……。


「楽しそうだな」
「殿下」
「私も混ぜてくれ」


シュリティの婚約者である王太子が、3人姉弟の会話によく混じるようになった。

婚約について解消してくれと手紙を出していたが、そうなることもなく、何なら手を貸す準備をしていたようだが、そんな手を借りることなく仕返しをしきったシュリティたちを面白がっていた。


「それで、チャーヤ嬢の惚気か?」
「っ、ち、違います!」
「ラケシュについに春が来たみたです」
「春は、終わっただろ?」
「そ、そうですよね!」


誤魔化せると思ったラケシュが声を大きくしていたが……。


「だが、私も春は好きな季節だ。どんな春が訪れそうなんだ?」
「え……」


とぼけたふりをしていただけだったようだ。

王太子にまで、どんな令嬢なのかと聞かれることになるとは、ラケシュも思ってはいなかったのだろう。間抜けな顔をしていた。

それを見て姉2人は、ふふっと笑っていた。

すると弟が、ムスッとしてしまい、機嫌を損ねたなとなり王太子は何事もなかったように矛先を変えた。


「それにしても、チャーヤ嬢はなぜ、そんなに語るんだ?」


疑問に思ったようだ。シュリティとラケシュは、それに何と答えるのかと気になって、長女を見た。

それこそ、長年の疑問だ。


「幼い頃に2人が、とても喜んでくれていたから、ついしてしまうんです」
「そうなのか?」
「……学園に入る前までは、外にあまり出なかったので」
「僕ら、行きたいところには自分たちで行けるから語らなくても大丈夫だよ」
「そ、そうよね」
「というか。お姉様、その延長だとしても、今のマヘンドラ様とのデート先の話は、ただの惚気よ」
「でも、シュリティはずっと聞いてくれていたでしょう?」


ふと、チャーヤも素朴な疑問のようにして聞いて来た。

ラケシュは、それにニヤニヤした顔をしていた。助ける気はないようだ。


「だから、殿下。色んなところに連れて行ってあげてくださいね」
「お姉様?」
「そしたら、ラケシュにしなくていいから、私にしてちょうだい。今度は、私が聞くわ」
「お姉様、流石に惚気合いより、別のことを話しましょう」
「別のこと……?」


どうやら、シュリティたちの姉は、天然なようだ。この調子で、友達がいないようだと弟妹たちはようやく気づいた。

実の両親は、チャーヤの子育ての頃から普通について教えていなかってようだ。それに普通が未だにわかっていないのは、元々天然が強めだったせいのようだ。

そんなところが、マヘンドラは裏表がなくて好ましいようだ。

確かにチャーヤに裏なんてない。それが、シュリティたちにもよくわかった。

そんな姉とシュリティたちを取り出してくれたのは、王太子だった。シュリティは、ひとりっ子で義姉と義弟ができて喜んでいた。

シュリティは王太子に溺愛され、チャーヤもマヘンドラと変わらず相思相愛の仲となり、幸せいっぱいとなった。

ラケシュは姉たちとは違う令嬢をわざと選んだようだが、あまり上手くいっていないようだ。それどころか。ラケシュは、姉たちの悪口を聞かされて、それに怒るとシスコンだと喧嘩になっているようだ。

何はともあれ、シュリティは姉と競うかのように笑顔の絶えない人生を送ることができた。


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