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『認められた皇女』
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しおりを挟む学び舎では他の生徒と同じでいたいから、普通に接してもらえるようにしているつもりだった。でも、ディェリンはこの通りボッチとなっていた。
それも、ここしばらく疲れが取れないせいで、益々近寄りがたいオーラを発していたからなんてことにディェリンが気づくことはなかった。
それが、本来彼女が力を使えなかったら、そうなっていることの現れでしかないことに気づきもしなかった。
皇帝の命令で護衛をしている影であり、ディェリンに花を送ってくれて勝手に花影と呼ぶ者が、完全にいない状態になることはない。それは、後宮でも変わらない。
常に側にいてくれるから、ディェリンは、安心していられた。他の誰が側にいてくれるよりも、ずっと良かった。
話しかけても答えてはならないと皇帝に言われて、その通りにしている花影に一方的にディェリンは話しかけるのを楽しみにしていた。
その姿を見たことは滅多にない。そんな彼が、姿を現すほどの異常事態が起きていた。
(久しぶりに見た)
こんな態度を取る男子など、これまで見たことがなかった。普通の生徒は、こんなことにあったりするのかと思うなんてことより、ディェリンの思考は花影を見れたことが嬉しくて仕方がなかった。
そのせいで、名乗りもしない初対面の男性にぺらぺらと好き勝手なことを話していたが、全く聞いてはいなかった。
それこそ、無礼にも無遠慮に近づいて来る子息に彼女を守るために現れた花影は、相変わらずどんなことからもディェリンのことを守ってくれる存在だった。
口を塞いで両手をねじ伏せて、しゃがみ込みされていても、おかしくはないのにしなかったのは、ディェリンが花影の服を掴んでいたからだ。
「っ、」
花影は、それに明らかに動揺した。それが面白くて、益々ディェリンは掴まえた。そのせいで、彼は動くに動けなくなってしまった。
これもまた思考がいつも以上に鈍っていたせいだ。最近やたらと皇妃の話を聞かされ、その通りにしてやる通りも義理もないのに時間を無駄にしていたから、花影を見ていたかった。
そんなことをしながら、頭の片隅では虎視眈々と皇妃を引きずり落とせないかと思っているディェリンがいた。それをしたら皇太子が、皇帝に近づくからやっているのではない。
真逆で、皇太女になって女帝になりたいディェリンが、それを狙っているのだ。そんな自分が嫌なのか。皇妃が嫌なだけなのかはわからないが、思考がどうにも引きずられてしまっていた。
ディェリンは、本心から皇太女になりたいのかがわからなくなっていた。ただ、そうなれたら、馬鹿げた皇女の特権をことごとくなくせるとは思っていた。
あんなものがあるから、縛られ続けるのだ。生まれるたび、利用する気でいるような気がして嫌でたまらなかった。
花影を掴まえていたからか、その答えが出てきて、それにディェリンは驚きつつ、皇女に期待している面々がそれをを良しとはしないのが目に見えてしまって、何とも言えない顔をしていた。
(でも、いいわ。花影が出て来たのだもの)
学び舎の授業は退屈で、ディェリンにはつまらないものばかりだが、真面目に出ているのは、彼女の身分が関係している。生徒の模範となるために真面目に行動しているわけではない。
それよりも探しものをしている方が、近頃はかなり大きい。その存在を切望していた。
残念ながら、中々見つからなくてつまらない毎日に辟易するどころか。益々疲れが溜まってしまっていたところだが、そこに目の前のような残念なものが現れたが、そんなものを探していたわけではない。そんなものにわざわざ会うために頑張るわけがない。
こういうのを珍獣とでも言えばいいのか。ディェリンがこれまで相手にしたことのない人種と言うと他の人に失礼な気がする。比べてはならないものだろう。
そんな男が、彼女の目の前にまだいた。そして、ペラペラと好き勝手に話し続けていた。
いい加減、可哀想なことになった花影の服をそっと離してやれば、すぐに消えてしまった。
(残念。それにしても、どっかの誰かさんと同じね。要点をまとめてくれたら、すぐに終わるでしょうに)
そんなことを思いながら黙っていたのは、花影がいたからにほかならない。
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