22 / 50
『認められた皇女』
18
しおりを挟む(ユーシュエン視点)
学び舎で好きなことに時間をお互い使おうと皇女が言い出したから、そうした。父に皇女の面倒を任せられているから、世話をやくのにも疲れていたから、丁度良かったが嬉しそうにしたら面倒だから一応は不満そうにしておいた。
婚約するのに学び舎に来ているというのに、私が側にいるせいで話しかけられないと思っているようだが、そんなことはない。
近づきにくいオーラを発しているのに気づいていないのだ。最近益々、酷くなっている。私は、幼なじみなこともあり全然平気だが、慣れない者にはきついはずだ。
それにその辺の令嬢なんかと一線を画した美貌のせいだ。本人は、その辺がまるでわかっていない。
幼なじみであり、護衛長の期待されている息子として、忙しくて訓練も鍛錬もする暇もない。
それに比べて、兄は皇太子となった皇子の護衛となった。しかも、婚約者の女のために。まったくもって意味がわからない。
まぁ、そのおかげで父の期待を一身に背負うことになったが、最近は母までも兄の味方となっている。どうやら、兄の婚約者を気に入ったようだ。女にうつつを抜かして出世を妨げた女のどこがいいのやら。
「お前、訓練どころか。日々の鍛錬を怠っているな?」
「っ、」
「そんなことでどうする。ジュンユーは、皇太子の側にいるが欠かしたことはないぞ」
「っ、」
女を選んだ兄の方ばかりを父は口にするようになった。それにどれだけ腹が立ったことか。
そんな時にそばを離れて休んでいたら、ディェリンの側に変なのがいると言われて、駆けつけた。……ちょっと、鍛錬を怠っていたようだ。息が切れて大変だったが、余裕そうにするのに休憩を挟んだ。誰にも気づかれていないはずだ。
そこにあいつが現れたのだ。ハオラン、兄のことでも忌々しいのに皇女に気に入られたと思って媚びを売るのに必死なところが、哀れだ。
そんなことを思っていたのに。これは、どうなっているんだ?
気づけば、みんなが白い服を着て喪に服していた。
あれ? さっきまで、皇城にいたはずなのにおかしい。
皇女は眠っているだけのように見えるのになぜ、みんなこんなにも静まり返っているんだ?
「ユーシュエン。しっかりしろ」
「?」
父や兄に何か言われているが、ちゃんとしているのに2人共、おかしなことを言う。
それになぜ、母までも、そんな顔をするのだろうか?
あぁ、ちゃんとしているし、しっかりもしているのに。なぜ、わけのわからないことばかりを言われるのかがわからない。
そうだ。皇女のところに行かなくては。私は、護衛なのだ。
これまた、いつの間にかいつもの服を着ていた。いつから、部屋にいたのだろうか? まぁいい。ここにはいられない。
「父上、皇女様は、どこですか?」
そう聞いても、うる覚えになってしまって、気づくと同じ事を聞いてしまっているようだ。疲れているようだ。
「休め。お前は、病気なんだ」
あぁ。そうなのか。通りで頭がぼんやりとする。
皇女の死によって幼なじみであり、護衛として側にいた若者は気を変にした。
でも、本人はさして辛そうではなかった。周りが辛そうだったが、ユーシュエンがそれに気づくことはなかった。
それにディェリンを好いていたが、好かれていなかったことにもこの若者は気づいていなかった。ただ、突然のことにディェリンの死を受け止められなかった彼は、自分の受け入れられる範囲で生きるしかできなかった。
27
あなたにおすすめの小説
【完結】精霊姫は魔王陛下のかごの中~実家から独立して生きてこうと思ったら就職先の王子様にとろとろに甘やかされています~
吉武 止少
恋愛
ソフィアは小さい頃から孤独な生活を送ってきた。どれほど努力をしても妹ばかりが溺愛され、ないがしろにされる毎日。
ある日「修道院に入れ」と言われたソフィアはついに我慢の限界を迎え、実家を逃げ出す決意を固める。
幼い頃から精霊に愛されてきたソフィアは、祖母のような“精霊の御子”として監視下に置かれないよう身許を隠して王都へ向かう。
仕事を探す中で彼女が出会ったのは、卓越した剣技と鋭利な美貌によって『魔王』と恐れられる第二王子エルネストだった。
精霊に悪戯される体質のエルネストはそれが原因の不調に苦しんでいた。見かねたソフィアは自分がやったとバレないようこっそり精霊を追い払ってあげる。
ソフィアの正体に違和感を覚えたエルネストは監視の意味もかねて彼女に仕事を持ち掛ける。
侍女として雇われると思っていたのに、エルネストが意中の女性を射止めるための『練習相手』にされてしまう。
当て馬扱いかと思っていたが、恋人ごっこをしていくうちにお互いの距離がどんどん縮まっていってーー!?
本編は全42話。執筆を終えており、投稿予約も済ませています。完結保証。
+番外編があります。
11/17 HOTランキング女性向け第2位達成。
11/18~20 HOTランキング女性向け第1位達成。応援ありがとうございます。
聖なる森と月の乙女
小春日和
恋愛
ティアリーゼは皇太子であるアルフレッドの幼馴染で婚約者候補の1人。趣味である薬草を愛でつつ、アルフレッドを幸せにしてくれる、アルフレッドの唯一の人を探して、令嬢方の人間観察に励むことを趣味としている。
これは皇太子殿下の幸せ至上主義である公爵令嬢と、そんな公爵令嬢の手綱を握る皇太子殿下の恋物語。
【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。
里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。
でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!!
超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。
しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。
ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。
いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——?
明るく楽しいラブコメ風です!
頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★
※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。
※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!!
みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*)
※タイトル変更しました。
旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』
すべてを奪われた少女は隣国にて返り咲く
狭山ひびき
恋愛
サーラには秘密がある。
絶対に口にはできない秘密と、過去が。
ある日、サーラの住む町でちょっとした事件が起こる。
両親が営むパン屋の看板娘として店に立っていたサーラの元にやってきた男、ウォレスはその事件について調べているようだった。
事件を通して知り合いになったウォレスは、その後も頻繁にパン屋を訪れるようになり、サーラの秘密があることに気づいて暴こうとしてきてーー
これは、つらい過去を持った少女が、一人の男性と出会い、過去と、本来得るはずだった立場を取り戻して幸せをつかむまでのお話です。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
隠された第四皇女
山田ランチ
恋愛
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
婚約者を喪った私が、二度目の恋に落ちるまで。
緋田鞠
恋愛
【完結】若き公爵ジークムントは、結婚直前の婚約者を亡くしてから八年、独身を貫いていた。だが、公爵家存続の為、王命により、結婚する事になる。相手は、侯爵令嬢であるレニ。彼女もまた、婚約者を喪っていた。互いに亡くした婚約者を想いながら、形ばかりの夫婦になればいいと考えていたジークムント。しかし、レニと言葉を交わした事をきっかけに、彼女の過去に疑問を抱くようになり、次第に自分自身の過去と向き合っていく。亡くした恋人を慕い続ける事が、愛なのか?他の人と幸せになるのは、裏切りなのか?孤独な二人が、希望を持つまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる