歴史から消された皇女〜2人の皇女の願いが叶うまで終われない〜

珠宮さくら

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『隠された皇女』

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何とも平和だが、そこに誰もが聞きたがっていたが聞けずにいたことを聞く者が現れた。


「それより、お母さんの具合は、どうなんだい?」


その話題に店中の初めて来たもの以外が、耳をそばだてた。


「働きすぎたみたい。家で休んでれば、大丈夫だって本人は言ってるんだけど。お医者様に診てもらってほしいんだけど……」


医者にかかるとそれなりのお金が必要になる。その分を別のことに使ってほしいのだ。それが痛いほどわかってしまい、無理に診せるべきだとは言えなかった。


(医者嫌いには見えないけど、やっぱりお金のことだよね。そんなお金あるなら、本が読みたいって煩いんだよね)


そんな程度の元気はある。


「働きすぎちまったんだね。リーシーちゃんも、気をつけないと駄目だよ」


それにリーシーは頷いた。

少し前から、リーシーの母の具合がよくなかった。そのため、学び舎にも、毎日通えずにここの手伝いをしていたが、成績はいいままだ。それこそ、幼い頃からの英才教育の賜物だ。

今更なものばかりだった。でも、庶民はそれではまずいから、必死に勉強している風にしている。


(まずったのよね。試験で、一番になっちゃったんだもの)


そんな大した試験でなかったから、サラッと回答したら一番になってしまったのだ。

そこから、貴族の令嬢や庶民の娘と仲良くなるのに時間を費やしたからこそ、どちらとも仲良くなれた。


(流石に学び舎に通っている理由が、勉強でなくて同年代の同性の友達作りとは思わないものね)


そんなこんなで、毎日通えていないから、皇女にも会えていない。

どんな方なんだろうとは思っているが、信じられないくらいのすれ違いをしていた。

リーシーは、そのことを学び舎で友達になった女子たちに聞いてみるも……。


「あー、なんか、近寄りにくい感じで、話しかけられる雰囲気じゃなかったわ」


(オーラってやつかしら? やっぱり、皇女というだけあって、凄い方なのでしょうね)


「リーシー。会わなくて正解よ」
「?」


その意味するところが未だにわからないが、最近は男子の方ばかりで、女子の方に現れないのでホッとしているようだ。

やはり皇女がいると緊張してしまうのだろう。なんてことをリーシーは考えていたが、実際は……。


「リーシーの方が、美少女だったわ」
「そうよね。化粧をしたリーシーが、凄かったもの」


何気に素材がいいとわかって化粧をしたら、化けたのだ。いや、リーシーからしたら、元々知ってると言うところだが、女子たちは自分たちが見つけた逸材に興奮していた。

仲良くなる前にそれがバレていたら、こんな感じにはなっていなかったはずだ。


「あれを見たら、世の男の子たちは、リーシーに恋しちゃうわよね」
「えぇ、あんなお化粧して、料理屋を手伝ってたら、もっと大変なことになっているわよ」


なんてことをリーシーが学び舎に行けない時に話題にされているとは思いもしなかった。

みんなリーシーのことを気に入っていた。困っていると助けてくれるのだ。他の友達だと思っていた者が、そそくさといなくなろうとも、大して知らなくとも、困っていると近づいて来てくれるのだ。

その辺に、染み付いたものがあるとは思いもしなかった。


「今日は、誰がリーシーの分を書く?」
「私が書いて届けるわ」


その日の授業を分担して、彼女の分を書いて、お店まで届けていた。


「このまとめたのを見て、成績が一番なのにはびっくりよね」
「本当よね。……あの子が、貴族だったら、兄弟を紹介しているところよ」
「私もよ」


貴族たちは、そんなことを言っていた。


「あら、お料理屋さんには身なりのよい若い男性が何人か、通っているって聞いたけど?」
「え? そうなの!?」
「リーシーのお母さんが、元貴族らしいわ」
「あら、私はお父様が元武官と聞いたわ」
「「「「「「……」」」」」」


そこまで話していた女性たちは、それにこんなことを思った。


「……もしかして、駆け落ちしたのかしら?」
「ありえるわ! だって、リーシーもだけど、お母様も凄い気品がある方だったわ」


そんな感じで、リーシーのいないところで、おかしな誤解されていた。

確かに母は、元後宮の側妃だ。

義父もまた元貴族だが、この2人の間に生まれた子供ではない。

駆け落ちしたいほど、想い合っていたが、リーシーの母のジンリーが皇帝の側妃になると決まって別れたのだ。

それをリーシーは、知らなかった。義父が、ジンリーの子供は自分の娘だと言ってくれたのを覚えていて、それが嬉しかった。


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