歴史から消された皇女〜2人の皇女の願いが叶うまで終われない〜

珠宮さくら

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『隠された皇女』

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ご飯を頼んで怪我の手当てをされようとしているハオランは、武官を目指している若者だ。

父と兄は文官をしていて、そっちの家系で初めて武官を目指している。

だからといって頭が悪いわけではないが、最初の頃は女心どころか。脳筋と呼ばれるような子息だった。成長したものだ。その頃は、武官になるのに頭脳は、そんなに必要ないみたいだったが、それではよい武官になれないとわかったようだ。

リーシーが何か言ったわけではない。


(私は特になにもしてないけど)


特に普通に接していた。むしろ、彼にちょっと面差しが似ている彼の兄とのやり合いの方が、面白いことになっているか、この調子だと……。


(お兄さんが来てるのは、知らなさそうなのよね)


そんなことを思ってみていた。特に内緒にしてくれと言われていないから、あちらも知らないのか。


(いや、あれは、バレるまで楽しむタイプよね)


弟でも遊べるものは、おもちゃにするような男だが、それでいて……。


(どうにかしたいことには、情熱的なのよね)


そんなことを考えていたら、ちょっと考え込んでしまったようだ。


「薬箱貸してくれれば、自分でやる」
「なら、訓練場に薬箱を置いたら、どうですか?」
「……」
「そこで、怪我した人たちで手当てしあったら、いいと思うんですけど」


リーシーは、前々からそう思っていた。それを聞いて、ハオランは眉を顰めた。そして、こう言った。


「それは、絵面が悪いだろ」
「絵面??」


(いや、そこで、絵面って何よ。良からぬことをするわけでもないのに。……いや、待てよ。むさ苦しいのが、寄り添って訓練上がりに手当てしあっていたら……)


想像して、腐女子が喜びそうだと思ってしまった。リーシーは、そこまでの腐女子ではない。そこまでは、というところを強調しておく


「それにあらぬ誤解をされて噂になったら、立ち直れなくなる」


ハオランは思わず、そんなことを言ってしまった顔をした。すると店のそこかしこで想像したのか吹き出していた。


「??」


リーシーだけがわからない顔をしていた。


(うん。わからない。私は、わかりません)


吹き出す中に身なりのよい若者のお付きもいた。

彼は手からして、武官を目指しているはずだ。だから、そういうことになったら、嫁をもらう時に困るのとかも、よく知ってそうだ。


(年齢からして、ハオラン様より、あちらが上っぽいけど)


「リーシー、運んでくれ」
「はーい。ちょっと待っててくださいね」


パタパタと小腹が空いたと言っていた人のところにそれを出した。


「お待たせしました」
「あの、お茶を頼めるか?」
「え? あ、すみません! すぐにお持ちしませね」


お付きの方が、お茶というのは珍しかった。いつもは、リーシーから話しかけないと答えてくれないのだ。


(しまった。お茶を忘れてた。早く帰ってほしいのが出てた)


だが、あちらは忙しいと思ってくれたようだ。


「おい」
「っ、すみません」


お付きが茶を頼んだことに若様に謝罪していた。


「お待たせしました。どうぞ」
「あぁ」
「どうも」
「いいえ」


そう言いながら、リーシーはハオランにもお茶を出した。


「ハオラン様、どうぞ」
「あぁ、ありがとう」


ハオランは、ギロッと睨まれたことに気づいて、そちらを見た。そういうのに鋭くないとやってはいられないのだろう。


「じゃあ、手当てしちゃいますね」
「あぁ、頼む」


言いながら、ハオランはリーシーの方を見ずに、若様の方と睨み合いをしていた。

それにリーシーが気づくことはないように見えて……。


(もっとわからないようにしてくれないかな)


バッチリバレていた。


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